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apoptosis【女】

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私は10歳の時に犯された
お家に帰ってもパパとママには言わなかった
気づいてくれると思ってた
ずっとお股がいたかったけど
どっちも気づいてくれなかった
布団を噛んでその日は寝た

次の日
びっくりした
パパもママもトカゲだった
でも言わなかった
初めからトカゲだったのかもしれないから
私が人間になったのかもしれない
人間?ニンゲン?
何か分からなかった

パパとママだけじゃなかった
友達も先生もテレビの中も漫画の中も
みんなトカゲだった
わたしだけニンゲン・・・
ニンゲン?なんだっけそれ
私は化け物
私だけ化け物


そんなこんなで20歳
もう疲れた
おしゃれをするトカゲ、SEXするトカゲ、卵生じゃないトカゲ
私だけ化け物

気づけば線路
しんじゃお
しんじゃお、しんじゃお、しんじゃお
遮断機が下りる
もうすぐ、もうすぐ死ねる
天国もトカゲがイッパイかな
それともみんな化け物かな
もうすぐ・・・もうすぐ・・・

体が浮いた
遮断機の向こう側に来てしまった
トカゲに余計なことされた
なんか叫ばれたけど、よく聞こえなかった
私みたいな化け物に生きる資格なんてないのに・・・
殺してやろうとポケットの剃刀をつかんだ

でも振り返ると・・・化け物がいた
違う。これは・・・これは
「人間・・・・・」
そう人間だ
私と同じ人間
私は人間?私は人間・・・あなたも人間?あなたも化け物?
「あの~・・・僕バイトがあるんで・・・すいません
もうこんなことしちゃだめですよ?」
そう言って人間は向こうに行こうとした
逃がさない
「まって」
人間が止まる
逃がさない
「まって。こんな馬鹿ことしようとしているのを止めていただき、本当に有難うございました!お礼がしたいので電話番号教えていただけないでしょうか?」


人間は早口で電話番号を言った
覚えた
逃がさない
「ありがとうございます!それじゃあ必ず連絡しますね!」
私は泣いていた
嬉しくて
うれしくて
逃がさない



あのあと私はニンゲンのあとをつけた
どんなに道が込んでいても見失うことは無かった
周りはみんな緑の鱗
そのなかで輝く肌色

綺麗・・・

まるで・・・・
あぁん!!たとえられない!!綺麗・・・
私と同じ
『化け物』
どんなに怖かったか
どんなに辛かったか
どんなに泣きたかったか
どんなに苦しんだか
誰も気づいてはくれなかった

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、

私は一人
この世に一人
ただ一人の化け物
だから何だと納得してた

でも今は違う
同じ化け物がハツラツと自転車を押している
許さない。私と同じ化け物なのに
私に気づかない。私の心に気づいてくれない
許さない

あ、やっぱり許しちゃう♪可愛いから、綺麗だから
食べちゃいたい♪
トカゲ達は共食いをしなかったけど
私は化け物
あの子も化け物
それが私が作った化け物だけの『常識』

あ、コンビニ入った。奥に行った。出てきた。制服きてる
ここで働いてるんだぁ~
あ、誰かと話してる
仲よさそう、あの女、トカゲなのに・・・・
私の分身に馴れ馴れしく・・・・・
コロシテヤル
あ、出てきた
雪かきかぁ。寒そう。かわいそう
あ、あそこでマフラー買ってあの子にあげよう

「いらっしゃいませ」
あぁん!可愛い声
食べたい。わたしだけのものにしたい
「寒くないですか?大変ですね」
はやく顔見せて
私と同じ化け物面を
蹴り上げてもいいのだけれど、崩したくないの
すごく高いトランプタワーを崩すのは勿体ないわ
もっともっともっともっともっともっともっともっと
高く高く高く高く高く高く高く高く

「あ、の~。お礼をしに来ました・・・・
たまたま道を歩いていたら、あなたが雪かきしてるのが見えたんで
そこの服屋でマフラーを買ったんです♪」
早くなんか言え
声を聞かせて
顔をみせて
早く早く早く早く早く早く早く早く早く
あぁ、じらされるとジンジンする
大事なところが

「あの~・・・こんなのじゃ満足していただけませんでしたか?」
足りないよね?
もっとほしいよね
「あの~・・・」
早く!!!!!!!!!!!!!!
「いえいえ!十分過ぎるほどですよ。本当にありがとうございます」
ふざけるな
まあだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ
たりない
気持ちがオサマラナイ

「お~い。何さぼってんの?ん?その子は誰?」

さっきのメス豚、いやメストカゲか
私は笑う。心の中で大声で
「あ~・・・えっと・・・その・・・」
私の君が困ってる
可愛い!!
でも
困らせてるあいつはにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい

「えっと私、実は朝・・・・『わぁぁぁぁぁぁ!!!』」
真実を隠そうとした
なんで?
かわいい
トカゲが怒る。ぽっけの剃刀を握る
「こ・・・こいつは・・・彼女・・そう彼女なんですよwww」

・・・嬉しい
分かってる
言い訳でしょ?
でもにがさない

にがさない

「はい♪そうなんです。ごめんね。寒そうだったからつい・・・・」
にがさない
「そうだったのか・・・やるじゃん君も♪まぁバイト中イチャイチャしないでね?
それじゃ!引き続き雪かきよろしく!!」
うるさい
消えろ
「・・・ありがとう。店長には僕が朝君を助けたことがばれずに済んだ」
にがさない
「どうして私を助けた事ばれたら困るんですか?トカゲだから?」
こまって?
可愛いあなたがみたいの
「いや。色々めんどくさくなりそうだったし」
にがさない
「そうだったんですか♪でも嬉しいです!彼女にしてもらえるなんて♪」
つ~かま~えたぁ・・・・・・・・
「え!?ちょっ・・・・・」
もう遅い
「じゃあ私帰りますね♪また連絡します!090-×・・・・・ですよね?
それじゃ!」



もう離さない・・・・





22, 21

  


あのあと
私はマンションを解約した
一緒に住むため
永遠に離れないため
あの子は私を拒まないだろう
あの子は私に怯えているだろう

にがさない

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと
追い詰めて
私の人形に
私だけの人形に
化け物の私には、化け物の人形
あの子は世界でただ一人の男の『人間』
トカゲのぬいぐるみはいらないの
化け物の人形が欲しい

私は考えた
考えながら歩いた
洋服屋が目に入った
『在庫セール』
私はトカゲの群れに突っ込む
これだ
これで・・・

私は助けられた踏切に来た
あの路地裏で待ち伏せよう
着替えなきゃ
パンツは・・・いいや
あの子がきて
わたしと・・・・
そう考えるだけでイキそうだった
あの子がきた
分かる
思いっきり肩を掴んで引きずり込む
Welcome To Hell
ここは地獄よ
あなたにとって、私にとっては天国だけど
まだ私の格好には気づいていないだろう
暗闇地獄に目が慣れるまで待っててあげる
肩の振動で分かる

気づいた

「あ、気づきましたぁ?」
気づいたんでしょ?
私の格好に
あなたのためなの、寒くは無いわ。暑いくらい
でも服の下がどうなってるか分からないでしょ?
ぐしょぐしょなの・・・
緊張してろ
これからが本番
「もう!そんなに固くならない!・・・って急にこんなとこに連れてきちゃったんだもんね。ごめんね?びっくりした?」
驚け
判断を鈍らせろ
まだまだこれから・・・・
「それでね?プレゼントがあるの。何かわかるぅ?」
わかるかな?
わかんないかな?
どっちでもいい
「え、えっとわかりません・・・」
可愛い・・・
思わず力が入る
「痛!!」
痛かったぁ?
まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ
こ れ か ら
「え~?ほんとに?私がこんな格好してるんだよ?私にきまってるじゃん♪」
そう私が決めた
化け物の交尾
あなたも好きでしょ?
わたしは見せた
私を
「ほら♪もうこんなになっちゃてる♪はやくぅ・・・」
はやく
早くしてくれないと私・・・
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
そんなに見つめないで・・・
ぐしょぐしょなんだから!!
・・・まだ見るの?
イっちゃう!!
「は、はやく・・・私・・・もう・・・」
はやく!!
入れろ!!
逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない
「あ!あの!まだ付き合ったばっかりで、そういう事は出来ないです!
まだ名前も知らないのに・・・それにさむいでしょ?はいこれ・・・」
コート・・・・
欲しかったのはこれじゃない・・・
でも・・・あったかぁい~
でもダメ、ダメ♪
「そ、そうなんですか・・・じゃあ今日はいいです。
そのかわり、あなたのうちに行っていいですか?
私、あなたと暮らしたかったからマンション解約してきたんです
行くところないんです。私あなたに断られたら・・・」
断らないよね?
分かってる
ふふふ
焦ってる
気づいたかな
捕まったことに
「わかりました。僕の家に来てください。ただし早く新しい家を
見つけてください。一緒に住むには狭いんで。」

計画が乱される
だけどダメ
あなたはやさしいから
「え~?ずっと一緒にくらしてくれないんですか?・・・でもいいです。
いつか大きな家に引っ越して、そこで一緒に暮らしてくれるんですよね?
うれしぃ~♪」
馬鹿ね
もう逃げられないでしょ?
私は蜘蛛の様にあなたを雁字搦め
どんどん化け物になっていく私
でもいいの
「あ、私の名前は来羽 狂子って言います♪あなたは?」
名前を教えて?
お人形には名前がないと
ままごとには使えない

「あ、僕は有栖 仙璃っていいます」
せんり・・・・
かわいい
「仙璃さんですか~♪」
これから一生傍に居てあげるからね♪
「じゃ、寒いんで行きましょうか?」
行こう?地獄から抜けだしたいんでしょ
でも無駄
地獄は暗闇じゃない
地獄は私
「はい♪」
私は腕に腕を絡ませる




Welcome To Heaven・・・・


彼の家に着いた
お世辞にも広いとは言えないけど
男の子としては綺麗な部屋・・・
でもそれ以上に綺麗な化け物

あったかい

腕から体温が伝わってくる
生まれたての卵のよう・・・
あ、私の顔見てる。私はトカゲに見えてないでしょうか?
早く家に入ろう
押し倒してあげる
早く
何を戸惑っているの?
もう私のお人形のくせに・・・
「あの~やっぱり私・・・」
私じゃダメですか?
私じゃ・・・
「あ!あはははははは!寒いですね!!早く中はいりましょうか!」
そう寒い、あなたが遠くに感じるの
もっと近くに
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと

『ガチャッ』
あなたと私の愛の巣箱
いいかんじだわ
「クシュン!」
寒い
暖めて
あらためて気づく
私は化け物だと。くしゃみをしても虚空に包まれない
でも
悲しくはなる。だから暖めて
「あんな格好してるからですよ?お風呂はそこなんで入ってきたらどうですか?」
あなたへのプレゼントだったのに・・・
気に入らなかった?
「あ、いいんですか?じゃあ入ります・・・覗いて・・・・もいいですよ♪」
そう、覗いてもいいのよ?
私の全てを・・・・・
見て
みてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみてみて
私はお風呂場に入る
シャワーを出す
冷たい
でも初めだけ・・・・
あったかい。あの子の体温を通り過ぎ。熱い
でもまぁシャワーの温度としては丁度いいかな

あぁ我慢できない
私は秘め事を始める
彼が何もしてくれないんだから。仕方ない
「う・・・あぁん・・・」
吐息が漏れる
あぁ終わらないで欲しい
ずっとこの感覚を味わっていたい
この快楽を・・・・
でも始まりには、終わりがあるわ
「っく・・・う・・あ!!」
いつもは虚しかった
想像するのは『あの時』
でも今は違うの・・・・・
あの子だけが頭に浮かぶ

はやくあの子が欲しいけど
ゆぅ~くり手に入れるのも悪くないと思い始めている・・・
じっくりいきましょうか
それまでに深く深く
もう私無しでは生きられないくらいに

私は風呂場をあとにする
鞄からタオルを出し、体を拭く
服は・・・着ない
「あ~きもちよかった♪君も入ったほうがいいよ?」
彼がこっちを向く
そして吹き出し、下を向く
可愛い・・・
「ちょっ!服は無いんですか?無かったら貸しますから、きてください!」
あるよ
「あるよ?鞄に。でも君に見て欲しいから・・・」
君に溺れて欲しいから
一歩一歩彼との距離を縮める
動かない。誘っているの?
私が見える?どこまで見える?
もう触れられる
私は彼の頬に触れる
あったかい。どこまでもあったかい
そして
顔を引き上げる
私が、見えるでしょ?隠してるものなんて何も無いのよ
徐々に上がる顔
綺麗
きれい
目が合う
人間の目
化け物の目
「ねぇ?しっかりみて?」
私だけを
狂いそう
今すぐ首をへし折りたい・・・
でもまだ、だめ

私は唇を重ねる
やわらかぁい
逃れられぬよう、しっかり鎖で繋ぎましょう
私は舌を絡ませる
逃れられぬよう、しっかり刻印を押しましょう
激しく、長く
これでもう私のもの
私は彼を愛してる・・・
二人の唇の間に唾液の橋が出き・・・・落ちた

「ッハァ!ッハァ」
苦しそうに息を乱す
「どうだった?私をわかってくれたぁ?」
どうだった?まだ足りない?
「あ・・・う・・・」
何で泣くの?
大丈夫?
私が助けてあげる
私が・・・・
私が・・・・
「?どうしたの?どこかいたい?」
私は彼を愛でる
二度と離さない
永遠に鳴り止まない鎮魂歌
「あの!お風呂行ってきます!!服、着ててくださいね」
彼はお風呂場に逃げる

もう彼は私のもの
人間という化け物
戻らない時の代わりに私はこの子を連れて行きます


私は歌う
永遠に・・・・・



24, 23

  

私はおとなしく服を着る
押し殺してるようだけど、泣き声が聞こえる・・・
あの声を肴に何か飲みたい
私はキッチンの傍の冷蔵庫を開ける
あの子の冷蔵庫には何も無かった
しかたない
テレビでも見よう
テレビをつける
箱から流れる面白いお話
しかし映るは、トカゲ、トカゲ、トカゲ、トカゲ、トカゲ、トカゲ、トカゲ・・・
『ガチャッ』
お風呂場から、あの子が出てきた
少し濡れている髪
気づいていないようだけど、赤く腫れている目

あぁ
この子はもう、私のもの
同じ化け物
人間という枠組みに縛り付けられた化け物
この世はトカゲに支配されたというのに、真実を知らないみたいに純粋な瞳
またうずく
だめぇ・・・・・
見てる・・・
見られてるからぁ・・・
「あ、あの・・・ご飯・・・まだですよね?僕が作りましょうか?」
オママゴトハハジマッテイルノヨ?
「うん?いいよ私が作る・・・って言っても冷蔵庫何も無かったよ?」
私がママで、あなたがパパ
ウフフフ・・・楽しい
「フフフ・・・私材料買ってくるよ?何食べたい?」
私は良いママを演じる
「あ、いや・・・俺が行ってきますよ。」
パパは待ってるものよ?
「いいわ・・・行かせて?」
夜はイカセテ?
「あ、っじゃあ、お金・・・」
いいわ。持ってる
いいわ。待ってる
ア ナ タ を
「大丈夫。お金はたくさん持ってるから」
私は部屋から出る
外は雪が降っていた
私は歩く
段々歩みを早くする
そして
走った
「あはははははははははははははははははははははははははははははは」
馬鹿なトカゲたち
私はここよ?
化け物はここよ?
片割れを見つけた私は
もう何も恐れない・・・・・
スーパーについた
何にしよう
私はママ
良いママ
そうだ、今夜はすき焼きにしよう
籠はすぐいっぱいになった
帰ろう
愛しのあの人が待つところへ

「たっだいま~♪今日はすき焼きにしようか~」
嬉しい?
「あ、鍋出します」
ままごとは続く
私たちは料理の準備を続けた

グツグツ

「おいしいですか?」
夜は私
「おいしいで・・・す」
もっとおいしいはずよ
「あはは♪嬉しいです」
今度は私を嬉しくして?

彼を見ていると
思い出す
似てる
誰に?
似てる・・・・
「あの~・・・ゲームしませんか?お互いに質問して、答えられなかったほうが
罰ゲーム。う~ん内容は『なんでも一つ言う事を聞く』」
・・・・おもしろそう
「いいわよ!フフフ・・・こういうゲームは好き。仙璃君からどうぞ?」
私が勝ったら・・・玩具になってもらおうかな・・・
もう私の『モノ』
「じゃあ・・・さっき『お金はいっぱいある』って言ってましたけど
何の仕事してるんですか?」
普通ね
「・・・・よいっしょ」
私は立ち上がる
そしてカーテンを開ける
雪はやみ、月が輝いている
・・・・ちょうどいいわ
私はつきを指差す
「・・・アレを形にする仕事」
空想を、届かない憧れを、隠れた穢れを
私は少しずつ指の位置をずらし
第三関節の上に月を乗せる
「私ジュエリーデザイナーなの、結構有名なブランドよ?知らない?『Jack=Moon』」



彼は驚いたような顔をして立ち上がる
そして机の引き出しを開け何かを取り出して私に見せた
「これもJack=Moonなんですけど・・・」
これは・・・
なんて偶然・・・
嬉しい
「それ私がデザインした奴!名前は・・・『月光華』」
月光華・・・
私はコレの説明をしてる間、過去を思い出していた
別になりたくてなったわけじゃない
私は18の時に家を出た
トカゲの家族に嫌気が指した
私は歩いた、そしてぶつかった。それもトカゲ
「あんた・・・家出?」
メスのトカゲ
「あたしんち来るか?あたしは社長なんだよwwww」
私は付いていく
汚い部屋
何枚もの紙が吊るされている
「ほんとに社長?」
疑う
「あははははwwwマジマジwwまだ生まれたばっかりだけどね」
彼女は続ける
「まだちっちゃいけど、いつか必ずでかっくする!!」
私には、それが眩しかった
「あんたも書いてみ?ほれ?」
メスは汚い紙と、色鉛筆を私に渡した
「ほら?デザインして!君が思い描く『夢の輪』を!!」
私は言われたとおり書く
夢なんてないから、絶望を描く、今まで居た世界を、ありのまま・・・
「出来た・・・」
私は紙を渡す
「お~うおう出来たか!?・・・これは・・・」
メスは黙ってしまった。そんなに下手だったか?
「・・・・んよっし!あんた此処で働かない?いくとこないんでしょ?」


それから私は何枚も何枚も描いた
地獄を・・・
絶望も・・・
まるで誰もが羨むサクセスストーリー
会社は二年で急成長した
私に入ってくるお金も、あくせく働くサラリーマンの数倍にまでなった
でも満たされない
トカゲに囲まれているから
同じ化け物が居ないから
寂しい・・・
さみしい・・・
それで今日の朝・・・・
「どう?」
可愛い顔した救世主に問う
「あ、いえ・・・でもすごいなぁ。こんなの作れるなんて」
あなたも私なのよ?
今度は私の番・・・
「次は私の番ね・・・そうだなぁ、家族について」
・・・
私は答えを出していた
でも確かめないと不安なの・・・
「母親は・・・死にました。二年前」
違う
女はいい
「お父さんはぁ?」
もうだめぇ
「父は・・・僕が六歳の時に母と離婚しました・・・
よく僕と母を殴りました。だから母は別れたんだと思います
ソノ後の暮らしがどんなに辛かったか。父は暴力はふるいましたが
金は入れてくれていたので・・・」
それで?
続きは?
「僕が八歳の時に父が捕まったと母から聞きました。
なんでも連続婦女暴行事件を起こしたとかで・・・
被害者の中には幼い子もいたらしいです。あんな屑みたいな男の血を引いてる事を
恐ろしく思います・・・。そのあと僕らのところにも警察が着たりで
まぁ大変でした」
ククク・・・あはっ!あははははははははははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははははは
あはっ!
ここで二つ
いや三つ答えが出るなんて
悲しそうな顔・・・
「そっか。でも大丈夫。もう一人ぼっちじゃないよ?私がいる・・・」
そう
私が居る・・・
「さぁ僕の番ですよ?あの僕たち今日あったばっかりなのに
なんでここまでしてくれるんですか?」
突然だわ

だめ
答えられない
失いたくない



『あなたが、あなたのお父さんに似てるから』



なんて・・・・
「・・・・ゴメンね?それには答えられない」
でも
「あ~ぁ負けちゃった!・・・何でもお願いして?」
何でもいいのよ?
何でも・・・・
「あの・・・一緒に寝てくれませんか?」
フフ・・・
「かわいい・・・・」
私は今にも泣きそうな顔をしている彼に近寄る
楽しいわ・・・・

パズル
パズル
終わったあとは飾りましょう
崩れないように


しっかり固めて・・・・



朝だ
お腹の痛みで目を覚ました
この痛み・・・・
股の間にも不快感を感じた
私はトイレに行く
寝巻きを下ろし
下着を下ろし
『アレ』を外し便器に座る
いつまでたってもこの痛みには慣れない
でも心のほうが以前は全然痛かった
でも今はコッチのほうが痛い
嬉しい
ん?
彼が起きたみたい
私を探しているのね
おいで、おいで
人間はここよ
人間は私だけ
『コンコン』
驚かそう
彼はドアを開ける
そして見る
私を、持っている物を
・・・・・・・・・
「来羽さん!?だ、大丈夫ですか!?それ血ですよね?」
何も知らないのね
真っ白
私は真っ黒
染めてあげる
「フフフフ・・・」
貴方も人間の刻印を・・・
「これ・・・ナプキン。私生理」
彼はキョトンとする
「う・・・あ・・・ごめんなさい!!」
扉を閉められる
トイレにゴミ箱がないのは当たり前か・・
それにしても可愛い・・・・
あぁ
今は出来ないのが残念
指が汚れる
私はトイレを出る
「ねぇ。これどこ捨てれば良い?」
後姿
隙だらけ
私のポケットには剃刀があるというのに
「え~っとゴミ箱でいいです」
つまらない
もっと焦って
「舐めてもいいよ?」
残さないように
綺麗に、綺麗に
「い!いいですよ!!」
フフフ・・・
「冗談♪」
本気
私はゴミ箱に捨てる
そして私たちは朝ごはんの用意をして、食べた
「じゃあ行ってくるね。昨日は仕事サボっちゃったし。マンションは解約しちゃったし
社長が怒ってると思うから」
私は家を出る
愛する人が居る家がある
人間が居る
化け物が居る
一人じゃない
一人じゃない
もう怖くない



それから私たちは
何日も一緒に暮らした
嬉しかった
彼は何もしてこなかったから
私はいつも秘め事をしたが
快楽は二倍だった

二人とも愛している
だから二倍
『ちがう!!!』
あの時も怖かったけど・・・
『嘘!!!』
私は
『あなたは逃げてる!!!』
感じていた
『私はトカゲ。あなたのなかのトカゲ』
過去の扉
『あなたが自分で鍵をかけた』
・・・貴女誰?
『私はあなた。あなたは私』
私は知らない
『あなたは捨てたの』
何を?
『人間の心』
私は人間。周りが捨てたの!!!
『あなたは悔しいの!心を失ったから。だからわざと醜く見せている』
誰に?
『あなた自身』
嘘。私は人間。周りが悪いの!!
『そうやって
うるさい!!!!!!!!
黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!
私は!!!
私は!!!
わたしはぁ・・・
人間?
分からなくなった
私は人間なの
あの子も人間なの
二人だけ
お願い・・・・
もう止めて
真実なんていらない
偽りでもいいから傍に居たい
もういや!!!!
もういやぁ


彼の部屋
「クルウさん・・・」
彼の目だけは綺麗なまま・・・
「なぁに?」
彼が近寄ってくる
「あなたを失いたくない」
私も・・・
「大丈夫よ?どこにも行かないわ」
だからあなたも・・・・




初めて得た正しい『繋がり』は
あまりに儚く
あまりに切なく
それでも、あなたとあの人を重ねてしまう



私を許してください・・・・・・



26, 25

  

私は目を覚ます
ぬくぬくと布団の暖かさを噛み締める
そしてデートの準備を始めた
私たちは・・・繋がった
形の違う同じ繋がりを求めていた
けど繋がってから気づいた
致命傷・・・

彼が目を覚ます
「おはよう♪」
私は顔を覗き込む
「おは・・・・」
見る見る顔が赤くなっていく
「あははw照れなくてもいいのに~。初めてって訳ではなかったみたいだし」
私もそうだから
本当は罪悪感に押しつぶされそうだった
私は悪くないのに・・・・
「フフフ・・・さっ!今日はデートの約束でしょ?ほら!用意して?」
彼は気の抜けた返事をして用意をし始める
・・・・終わったようだ
「よっし!それじゃあ行きましょ?」
私たちは家を出る
合鍵を私は作ってもらったが
今日は彼の鍵で扉を閉めた
体が痛む
でも内緒だ
内緒
ナイショ・・・・


ガチャリ


今日は映画を見る約束だ
確か題名は・・・
『テメンニグル』
私たちは映画館に入った
「おもしろいかな?」
私は問う
本当はどうでもいい
傍に居られさえるれば
「う~ん見ない事にはなんとも」
私たちは黙る
映画館が暗くなる
私は彼の手に自分の手をのせる
愛してる人がドチラか分からなくなってきた


映画が始まった
『・・・我々は塔を作った。その塔は人間の憎悪、嫉妬、憤怒、・・・負の感情を吸い
高くなる。地に落とされた我々が神に復讐する手段。・・・思ったより人間界は
悪意に満ちている。成長のスピードが速い。このまま行けばすぐ天界に届くだろう』



『この塔、まるであなたみたい』
またあなた?
『あなたは逃げて、逃げて、覆い隠すの。真実を。本音を』
私の本音は・・・
『そのたび塔は大きくなり、昔の恐怖に近づく。でもそれを貴女は置き換えた』
何を何に?
『恐怖を愛に。こうすれば怖くないから』
ちがう!!
『あなたも気づいてるでしょ?本当の鍵は』
うるさい!!!

もう
もうゆるして・・・・・・・・・・・

映画が終わる
「あぁ~終わった!腰いたぁ~い」
私は大きく伸びをする
「ちゃんと見てました?」
その言葉にむっとする
「ぶ~。見てたよ!まず主人公が神に選ばれて塔を作ったルシファーを倒しに行くんだけど
一回目はずたぼろにやられるんだよね。で、いろんな修行をするの。まず・・・」
私は記憶力は無駄に良い
「あ、もういいです・・・・すいません」
私は説明をやめない
「・・・で最後はヒロインとキス・・・」
ここでやっと口を塞ぐ



良い感じの喫茶店を見つけた
「あそこは入ろ~?」
私は言う
「・・・ご飯まだですしね!」
入る
私はパエリアを頼む
彼はきのこのパスタ
・・・・食べ終わる
彼はどこか上の空だった
悲しい
私たちは店を後にする
「次どこいこっか?」
う~ん
「Jack=Moon行きましょ?この前新作出来たって言ってたじゃないですか」
!!!
覚えてて・・・・
私は笑う
猟奇的な笑みではない
初めての・・・微笑み
私たちは手を繋ぎ、歩く
地面は凍っていて危ない
何度も彼は滑った
そのたびに私は笑った
Jack=Moonに着く
Jack=Moonの前も凍っていた
「またこけるよ~?」
私は走って中に入ろうとする
「おっ先~」
そう言って中に・・・・

私の体は宙に浮いた
あ、地面が近づいて・・・
「おい!!」
腕を掴まれる


ドクン


『おい!!』
離して!!!
『うるせぇんだよ!糞餓鬼!』
や!いや!!
腕が痛い
『おら!!暴れんじゃねぇよ!!もっと痛くなるぜ?クク・・・あぁっははははははは!』
いや!!!いやあああああああああああああああああああ
痛い
痛い
痛い
助けて
助けて
私はもがく
手に何か当たる
・・・剃刀
痛い
痛い
動かないで
痛い
いたぁい!!!!!!
私は剃刀を振るう
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
想像は優しかった
現実は・・・・
現実は怖い
殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!
殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!
殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!殺してしまえ!!!!






ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!






ドスッ











はぁはぁ
終わった
あいつは居ない
あいつは殺してやった
私は奴の顔を見・・・・

何で?
何で君なの?
あれ?
血が・・・・出てる
私の手にもついてる
あ・・・・あ・あ・・・・
彼は倒れる
血がイッパイ・・・・
いや・・・

いや・・いや!







いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!










ドサッ



27

サナ 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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