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機動えっちバスタブSEED

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 バスタブのなかにいる。
 整備兵が清掃した浴槽にはべたつきひとつなく、指で軽くこすってみるとキュキュッといい音がする。少し手狭だが、人二人分は入れるスペースは確保されているし、緊急時のフットペダルとコントロールブレードさえなければ大の字にだってなれるだろう。もっとも、テラに実況中継されているのでそんな不謹慎な真似はできない。ロジャー=ハインライン大尉は軽く背をバスタブにあずけ、肘かけ用の段差に肘を乗せ、透明なエナジーチューブと、その先のスクリーンを見るともなく見た。エナジーチューブは視界の上部を破って首を上向けないとどこへ繋がっているのかは見えない。スクリーンに映っているのは、重油のような暗闇。いま、いくつのユニットがこの星ひとつない宇宙空間を見上げているのだろう。
 注水が始まった。強壮作用のある薬剤を混ぜた緑色の水がロジャーの裸体を包んでいく。水かさはロジャーの下半身を覆うかどうかというところで止まった。バスタブ一杯まで入れてしまうと万一転んだりした場合、溺れてしまう場合があるのだ。まぬけな事故ほど馬鹿にできない、年間それで何人かは実際に死んでいるのだ。
 エコーのかかった通信が壁に乱反射して幾重にもなって聞こえる。
『ロジャー=ハインライン大尉、聞こえるか。いまから一二〇秒後に戦闘を開始する。エナジーポッドの射出は一〇〇秒後。復唱せよ』
「その必要はない」
『エラー。復唱せよ』
「われは残存救世軍、全戦闘における指揮権を有している、”リターナー”ロジャー=ハインライン大尉だ。生き残った全人類の中で俺が一番偉いんだ。ポンコツは黙ってろ」
『エラー。復……コード変更命令を受理。以後、ロジャー=ハインライン大尉の命令復唱義務を免責する。繰り返す……』
 人類の命運がかかった最終決戦の前に、なんてまぬけなやり取りだろう。コンピュータと口論だなんて。しかもそれを権力を持ってして捻じ曲げてしまった。お笑い種だ。こんな自分が、人類最後の希望のひとつだとは。
 いや、もっとお笑い種なのは、この戦争の戦い方だろう、やはり。
 一〇〇秒が経ち、突然、エナジーチューブから丸まった柔らかい肌色のものが飛び出してきて、ロジャーのバスタブに水没した。緑色のどろっとした液体を跳ね飛ばして、肌色の物体はロジャーに覆いかぶさってきた。
 素っ裸の女の子だった。
 ロジャーはその汚れを知らない桜色の唇を無精ひげの生えた口で強引に奪い、身体をバスタブの中に深く沈めた。女の子――メアリー=クラーク慰安少尉は初めて味わう接吻に、ん、と息を漏らした。
 スクリーンの闇のなかで、いくつかの花火が弾けて消えた。



 ○


「ん――いや――」
 戦争は変わった。パイロットに技術が必要とされたのは遠い昔だ。戦闘はすべてコンピュータがやってくれる。だが、いまだに恒星間戦闘機の中から人間の姿が消えることはない。なぜか。
 それは、ひとつのエネルギー革命に端を発している。石油、原子力、反重力素子、人類はいろいろな資源を持ってしてエントロピーとの果てしない負け戦を挑んできたが、二三一五年の七月七日、とうとうエネルギー保存の法則をぶち破るシステムを開発した研究者がいた。研究者は本人にしか解読できない複雑なそのシステムの学術論文と、実際に高機動体を動かすことによって自身の研究の正しさを証明した。
 すぐに全世界へ向けてテレビ会見が開かれた。もちろん世紀の天才に記者たちがマイクを突きつけて最初に発した質問は、こうだった。
「どうやってその莫大なエネルギーを作り出すんです?」
 天才は言った。
 もちろんセックスだ。





 こうして、男と女二人で一組のユニットを『原動力』とした機械が生まれたのである。そして、まるでその研究の完成を待っていたかのように敵が攻めてきた。
 最初は、ユニットの男たちはパイロットとしての能力も求められていた。けれど高性能AIの開発が進むにつれてその必要は消滅した。いまやフットペダルもコントロールブレードもオートパイロット・プログラムが重大な損傷によってランしなくなった時のための気休めである。そんな事態になったとき、ロジャー大尉もメアリー少尉も生きてはいないし、どの道、濃厚なセックスをやりながらCブレードを操って敵と戦うなんて無茶だった。APPが死んだらユニットも死ぬのだ、性交したまま。
 でもまァ死に方としては悪くない、ということで、入隊志願者は旧時代に比べて若干増えている。もっとも、だいたいのユニットは初陣で死ぬが。
 ロジャー=ハインラインは、もう二十年も戦場でセックスし続けているベテランだった。その指が、丁寧によどみなく自信をもって、メアリー少尉の豊かな乳房をまさぐっている。顔をそむけているくせに強張った乳首を指先でつんつん突き、男性経験のまったくないメアリー少尉の頬を赤い屈辱で染めている。ウェーブがかったブロンドの髪が、檻のようにメアリーの顔を部分的に隠し、それがロジャーの興奮を煽り立てる。ロジャーは腰を上げ、メアリーの細い腕を掴み、乳房に赤子のように吸い付いた。
「あっ……ん、いや……やめて……見てるから……みんな見てるからぁ……」
 無視した。外で起こっている戦闘機同士の交戦と、中のパイロットたちの『任務』はテラの生き残ったシェルターのレーザーディスプレイで余すところなく公開されている。オール無修正で視聴率100パーだ。コックピット内の任務については、ユニット同士のサイコテストの結果次第で秘匿されることもある。はっきり言ってしまえば見られていると萎えるカップルの映像は公開されない。当たり前だ、これは慈善事業でも娯楽映画でもなく、戦争のための重要な仕事なのだ。
 そして、ロジャーとメアリーは公開されている。
 つまり、見せたいのだ。見られたいのだ。
 ロジャーはメアリーをうしろから抱きすくめて、エナジーチューブと、戦闘の爆発光を映し出すスクリーン、そしてどこかにある極小のカメラのレンズに向かって、メアリーの身体を開いて見せた。いや、いや、とメアリーはもがくが太くて固いロジャーの腕はがっしりと彼女をさらし者にしたまま動かない。メアリーの拒絶の声がだんだん泣き声に変わっていった。彼女を戦場に送り出したどこかのシェルターにいるであろうクラーク夫妻は、娘の頑張りをまざまざと見せつけられているわけだ。その想像がロジャーの性器をさらに膨張させた。ぎりぎりと筋肉が締まって痛いくらいだ。
 ロジャーはちらっとスクリーンに一瞥をくれた。大型のタイプBが牙を向いてこちらにを向いている。周囲にいくつかの戦闘機が旋回しているが、その巨大さと強固な外殻に手をこまねいているようだ。いたいけな処女を前にしてどうしていいかわからない童貞のように。
 よし。
 ロジャーは一息に、メアリーの膣へ破裂しそうな肉棒を突き入れた。
 甲高い犬のような悲鳴をあげてメアリーの白い身体がびくんと跳ね、すぐにバスタブに赤い色が広がった。ロジャーは構わずにピストン運動を続ける。メアリーは両腕をうしろから掴まれてどうすることもできずに、せめて優しさを乞うために、みだらに喘ぐしかない。有無を言わせず軍に徴兵され、子宮にエネルギー伝送用回路を埋め込まれ、いま知りもしない上官に犯されている娘を見てテラの両親はなにを思っているのだろうか。ロジャーの口元に屈折した笑みがうかんだ。この想像はイイ。
 スクリーン上に、銀色の閃光が走った。
 間髪入れずに赤い血のりがべしゃっと画面を覆いつくした。すぐにマニピュレータ・ワイパーが血の汚れをふき取ってくれる。なにもない。
 画面がくるっと反転すると、そこには両断されたタイプBの骸が無限の虚空のど真ん中に漂っていた。
 ヴァージン・アクセル。
 処女を貫いた際に発する極大のエネルギーを戦闘機に送り、一時的にあらゆるスペックをアップさせるやり方だ。ただしもちろん、一度しか使えない。ロジャーは舌打ちした。できれば奥の手は親玉までとっておきたかった。大型のタイプBは獲物としては十分だが、いまは最終決戦の場なのだ。撤退も再戦もない。
 しかし過ぎたことを考えていてもしかたがない。
 ロジャーはバスタブの中にメアリーを沈め、呼吸だけはできるように顔だけ出し、その身体を舌で愛撫した。苦痛にしかめられていたメアリーの眉から険がだんだん取れていく。コックピット内の照明は実験に実験を重ね、人間がもっとも安心する光量と色彩を維持している。すぐ外で殺し合いが行われていることを忘れれば、温暖湿潤気候の尊い土地に転がったバスタブのなかでセックスを楽しんでいると思うことも可能だ。実際、ユニットの中にはこれが戦闘行為だということを忘れて楽しんでいるカップルも多い。そして、そういうタイプほど生真面目でカタブツな二人よりも長生きするのだ。だからロジャーもそうした。いったんペニスを引き抜き、メアリーの頭を水面から抱え上げ、横抱きにして、耳元で囁く。
「どうだ、気持ちいいだろ?」
「…………」
 メアリーは目を逸らす。ロジャーを責めることはできない。これは仕事なのだから。メアリーがセックスを拒否すれば、この戦闘機は落ちて、二人は敵の餌食になるだろう。
 ロジャーはメアリーの顎を乱暴に掴んでいやらしく唇を吸った。メアリーの手がロジャーの厚い胸板を押すが、びくともしない。呼吸することさえ苦しくなったころ、ロジャーは唇を離した。
「嬉しいです、と言え」
「は?」
「おちんちんを挿れてもらえて嬉しいですって言え」
「そんなこと……任務に関係ないです」
「いいから言えっ!」
 ロジャーはメアリーの身体をバスタブに押しつけ、その口に勃起した暴力を突き入れた。
 メアリーはいままで一番抵抗し、えずいたがロジャーは構わずに口の中を犯し続ける。
「言うかっ? あっ? そら答えろよっ、おらっ」
「んんっ、んっ、ん゛っ!!!」
「言うならバスタブを二回叩け」
 すぐにメアリーは二回叩いた。ロジャーはペニスを上の穴から引き抜き、メアリーはごほごほと咳き込んだ。
 これまでで一番怒りと憎しみを孕んだ瞳がロジャーと、彼の男の子に注がれる。
 だがロジャーにはわかっていた。相方のサイコカルテは必ず暗記するようにしている。精神医療部門のテレパシストが行ったサイコダイブによって、メアリー=クラークが普段どんな性的欲求を望み、自慰するときに何を考えているのか、ペース配分や絶頂の継続時間までそらんじることができる。彼女はレイプ願望があるのだ。珍しいタイプだったが、暴力的なロジャーとの相性はバツグンだった。
 ロジャーは癖の強いブロンドを掴んで、メアリーのサファイアのような瞳を覗き込んだ。
「言え」
 その青い瞳からツゥ――と一筋の透明な涙が流れる。
「お、おちっ、おちんちんをい、いれ……」
「もっとはっきりと」
「いれて、もらえて……嬉しい、です」
「濡れるか? もっと欲しいか?」
「は、い……」
「よし、ご褒美だ」
「えっ……あっ!」
 メアリーの膣は、さっきよりも柔らかく、すんなりとロジャーの接続を受け入れた。
 その顔にはっきりと悦楽の影がよぎるのを見て、ロジャーは頭の中で、彼女の性的満足感と自分の快感指数が機体にどれだけの影響を与えるかを冷たく計算していた。
 メアリー=クラーク慰安少尉は、この二十年間、ロジャーと組んできた相棒の中でも、一、二を争う相性だった。
 そして相棒との相性を考えるたびに、ロジャーは、いまは亡きあのお方と自分の相性はどうだったのだろうと、してはいけない妄想に思いを馳せてしまうのだった。






 マリアン=ブラッドペリにはもっと長い、王族らしい本名があったけれど、人の名前を覚えるのが苦手なロジャーはもっとも重要な姓と名しか覚えていない。
 戦場で、しかも刹那的な交尾ばかりしているロジャーには、物理的な結果以外を重要視できない職業病がいつもまとわりついてきた。だから、多くの敵を倒し、とうとう騎士の称号を受勲するにあたっても、ロジャーの心は空ろで、虚しくて、鐘のようだった。打ち鳴らせばいい音がする。けれど、中はなんにもない、空洞なのだ。空洞だからこそ、役目を果たせるのだ。
 そんなロジャーに兜を下賜するとき、女王マリアンはぼそりと呟いたのだ。
 ――――あなたは、風が欲しいのでしょう。清らかで濁りをしらない、澄んだ風が。
 何を言っているのか、学のないロジャーにはわからなかった。ただ、その言葉は枯れの空っぽの心にかつてないほど響いた。
 その日から、ロジャーとマリアン、ただの兵士と星を代表する女王の文通が始まった。
 ロジャーはいい加減なままにしておいた自分の読み書きを徹底的にやり直した。小学生用のドリルを買ってきて、訓練後にやっていたこともある。知らない単語、洗練された言葉、なんでも貪欲に吸収した。王侯貴族が嗜みそうな古典文学ものきなみ漁ったし、流行の恋物語や戦童話もかじった。少しでも彼女に相応しい男になりたかった。彼女が自分だけを見てくれるなら、この陰茎が二度と使い物にならなくなってもいい。
 そう思って、思い続けて、一年、二年が経っていった。
 机の上に溜まっていく手紙の厚さはどんどん増していって、紐でくくらなければならなくなった。
 たかだか敵を百体殺した兵隊に女王はきちんと手紙の返事をくれた。
 それだけでよかった。
 彼女を守るためだけに、他の女を抱いて犯して、敵を壊して殺した。
 それだけでよかったのに。





 西暦二三四五年。
 ユーロ帝国は異星からの外敵に、その拠点である王宮を奪取された。地球の半分は焦土と化し、ほとんどの戦えない人間は地下へと潜んだ。
 女王マリアン=ブラッドペリが死んでいてくれたらいい、とロジャーは思う。
 生きていたら、それは、つまり、
 異なる星の生き物に犯されているという、ことだから。




 ○



 そのエイリアンにはメスがいない。なぜ、どうして、それはわからないが、長い恒星間移動の際になんらかの理由で種のメスだけが死滅したのか、あるいはメスが死滅したために星の海へ繰り出してきたのか。どちらにせよ、彼らはメスを求めていた。それは、まさに手段を選ばず相手を好まず、だった。
 まだ戦争が始まる前、ジャポニカ・コロニーの女性が三日間行方不明になった後に帰ってきたことがあった。その女性は股の間から血を流した形跡があり、何者かに暴行を受けたのは明らかだった。しかし、本当に恐ろしいのは見境なく婦女子を襲うものが勃発するようになったジャポニカの治安悪化ではなく、処女喪失してから三日のはずの女の腹が膨れあがっていることだった。
 ジャポニカはそれから一月後、地図から姿を消した。一切の連絡が取れなくなり、他国が派遣した兵士たちが見た、ジャポニカ本土を埋め尽くしていたもの。
 それがいま、ロジャーたちが戦っている『敵』である。
 厳密にいえば、ジャポニカは全滅してはいなかったのだ。たったひとり生き残りがいたのだ。
 例の女は、同じ人間の手で殺されるまで、幾百、幾千のけだものを嬉々として産み続けたという。兵士のなかでは信じないものも多い噂だった。



 ○



「ああっ、んあうぅ、いっ、んんっ!」
 力強く突かれるたびに、メアリーの身体が小刻みに跳ねる。手の平に収まりきらない柔らかな乳房が、もぎ取れそうなくらいに烈しく揺れる。下半身を慎ましく隠す金色の茂みにもう赤色はほとんど残っていない。緑色の湯が二人の接合を潤滑にしてくれているが、もうだいぶ前からそんなものに頼らなくてもよくなっていた。上気した顔を見せつけるようにロジャーに上目遣いを送り、媚を売るメアリーはもはや言い訳しようもなく、快感に酔いしれていた。ロジャーが少しでも腰の動きを弱めるとすぐに自分から積極的に求め、動き、喘ぐ。ロジャーの肩にはいくつもの歯型が残っていた。
『ロジャー=ハインライン大尉、およびメアリー=クラーク慰安少尉』
「なんだ」とロジャーは振り返りもせずにエコーがかった合成音声に答えた。メアリーには聞こえてさえいないだろう。彼女の視線と意識は自分を貫いている雄々しく濡れたものに釘づけになっていた。
『もうすぐ親玉だ。おめでとう。ここまで生き残ったユニットはきみたち二人だけだ。ほかのユニットはすべてエクスプロージョンした』
「エクスプロージョン、ねぇ」
『司令塔を倒せば他の連中も活動を停止する。タイプ・キングだ。ぬかるなよ』
「ずいぶん人間らしい言葉遣いになったもんだ」
『そういう風にプログラムされている。きみの士気が上がるように。――見ろ』
 ロジャーは震える女の乳房から視線を上げて、
 それを見た。





 それの外見は機械に似ていた。青い外骨格は鎧にも見える。だが、間接部から覗く桃色の肉はたしかに生物のものだった。大きい。他の個体の三倍はあるだろう。きっと外から見比べれば、ロジャーの機体は豆粒のようだろう。
 スクリーン越しに、ロジャーとそいつは視線をぶつけ合った。そいつの巨大な瞳は、薄いグリーンだった。なにを思っているのだろう、自分のペニスに女がしゃぶりついているのを感じながら、ロジャーは目を細めて敵の瞳の奥に潜む心を探ろうとした。
 すると、声が聞こえてきた。しかし、宇宙空間を音が伝達することはない。
 テレパスだ。
 それはノイズのようにロジャーの脳に少しずつ入ってきて、だんだんとボリュームを上げた。
 それは、


「……ぁ、あっ、あっ、あっ、あっ」


 女の喘ぎ声だった。
 ロジャーはそれですべてを察した。
 あの鋼鉄と脂肪の要塞のなかで、いまなにが起こっているのか。薄いグリーンの瞳が、こちらを嘲っているような気がしてならなかった。
 ロジャーはフェラしていたメアリー少尉の惚けた顔を手の甲でなでると、仰向けにした。いくらか湯を飲んだのだろう、性欲を何倍にも増幅させ、理性を喪失させるドラッグ・バスに長時間浸った女は精神を破壊され、交尾するだけの動く生殖器になる。メアリー=クラーク慰安少尉は死んだのだ。それがいつだったのかはわからないが、気持ちよくなって死んだのだから救いもある。あう、あう、と幼児のような声を出して、女はロジャーのペニスを弱々しくぎゅっと掴み、自分の秘所に入れようとしていた。ロジャーはその手を外してゆっくりと挿入する。
「はううん……」
 糸のように目を細めて、女は満足げに身をくねらせた。もっと、もっと、と腰を動かす。
 ロジャーのなかで何かが切れた。
 腰をがっしりと掴み、トップスピードで腰を動かす。ああん、ああんと女が悶える。嫌がるそぶりもしない。ロジャーはなんとかして女を苦痛に陥れてやろうとしたが、女は喜ぶだけだった。もうただの単純動物なのだ。
 ロジャーが腰を振るたびに、機体が敵の外殻を削っていた。かつてない高機動戦闘だった。メアリークラークの脳が、許容限界を超えた快楽に溺れているからだ。この肉体が死んでしまう前にカタをつけなければならない。
 ロジャーは、別の女のことを考えながら、ブロンドの女の乳房を吸った。
「あああん……」
 諦めなければならない。
 いままでは、一度もそういう対象として想像に使ったことはなかった。彼女はそんなことをしていい存在ではなかった。
 なにを格好つけていたのか。ただの野蛮な兵士のくせに。こんな感傷、まるで童貞だ。馬鹿らしい。
 終わりにしよう。
 ロジャーはけもののようにメアリーにのしかかり、がっしりと身体を押さえつけ、膣の中をペニスでこすりまくった。
 女がとうとう苦しげに悲鳴交じりの絶頂を迎えたが、構わずに頑健なイチモツで犯し続ける。
 メアリーの鼻から血があふれ出した。少しでも快感を高めようといまも女は腰を振る。
 そんなに欲しいならくれてやる。
 ロジャーは女の最奥に二度と外れなくなるくらい深く強く、ペニスを押し込んだ。スクリーンは見なかった。
 女の口から淫らな絶叫が迸り、少しずつ鎮まっていった。膣からあふれ出した精液が湯船のなかを漂った。
 ロジャーは顔をあげて、空を見た。




 美しい、蒼い鉱石の破片が、太陽のひかりを受けてきらきらと輝いていた。一秒ごとに変わるグラデーションの宝石にロジャーは心をありったけ奪われた。
 あの方が好んで使っていた言葉を思い出す。
 ――――ロマン。


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