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第四十一章『偽りの聖人、諸悪の根源』

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 一ヵ月後――ラティエナ国王とクックルーン『法王』 NATO・ルーン・響は、和平
交渉の為、それぞれ主力艦艇を率いて合流地点を目指していた。
「ん?」
遠くに、まばゆい光が艦橋からは確認できた。次の瞬間――ラティエナ王、クックルーン
『法王』 NATO・ルーン・響、それに幾万の兵士は帰らぬ命となった。
「我が忠勇なる高雄の兵士達よ。今や、クックルーン教皇庁圏内諸国の艦艇の八割が、我
が、ソーラ・レイによって塵と消えた。この輝きこそ、我等、祖国の正義の証である! 決
定的打撃を受けたラティエナに如何ほどの戦力が残っていようと、それは既に形骸である。
敢えて言おう、カスであると! それら、愚鈍な王制が率いる軍勢は、この空中神殿ズル
ド・フェニムスを抜く事はできない。教皇庁圏内の無能なる者どもに選民思想の誤りを思
い知らせ、人類の明日の未来の為に、我が、ブラナタス共和国は立ち上がらねばならない
のである!」
 歴史は一気に加速し、教皇庁圏内は剣呑な情勢となった。何かが壊れて、何かが生まれ
る。どの道、世界は行く所まで行かねばならなくなったと、人々は恐怖した。
 ――ルーン・ミドガルド大陸、最東端に位置しラティエナ王国を形成する最有力都市エ
ルケレス。そこに君臨する姫、普岳プリシラ=ラティエナは、父、ラティエナ王、戦死の
報を聞き、思わず手にしていた杖を取り落としたという……
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