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第十三章『オープンキャンパス』

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 二日目の晩はHDDの中身を若葉が削除してから、全員が寝床に入った。
 三日目の朝――
「今日は魔法学園に帰る序に、ルリタニアに学内見学を案内するぞ」
山城アーチェに許可を取った。まさか転校して来ると言い出すとは思わなかったが。
「ここが魔法学園にして、人類の最前線だ」
「何これ? ……ひょっとして、戦艦!?」
驚くのも無理はない。全長四キロもの巨大な建造物が、人類その全てをかけて飛び立つ艦、
我等の希望、なのだから。
「あれがレーザー口、あれがブリッジだ」
「まだ、完成はしてないのね」
所々、レーザー口の内部のパーツが剥き出しに為っている。
「クリスタル製のレンズだからな、集めるのに苦労しているんだ」
「寮に向かうのに、何で戦艦の内部へ入るの?」
ルリタニアは不思議そうに聞いてきた。
「空戦機甲科の寮はこの中にあるんだ」
ぽかーん……
「あまりの職権乱用っぷりに思わず唖然。流石は軍隊ね」
「仕切っている教官が鬼だからな」
タイミングが悪く、曲がり角で山城アーチェに出くわした。
「ほほぅ、若葉君。誰が鬼教官なのかな?」
山城アーチェが若葉の頬っぺたを抓る。
「い、痛いのであります、上官殿」
「言語道断っ」
 むむ……山城アーチェがルリタニアの姿に気付いた。
「これがお前の妹か? 嘘を付け。生徒会長と言い、わた……いや、また、どこで誑かし
て来た?」
「始めまして、先生。私の名はルリタニア=秋雲と言います」
ぺこりっ、とお辞儀をするルリタニア。
「私の名は山城アーチェ、階級は少佐だ」
山城アーチェが手を差し出して握手を求める。ルリタニアは之に笑顔で応じた。
「新学期から空戦機甲科に転校したいと言ってるんですけど、量産化の目処は立ちました
か?」
「魔高炉の方は大丈夫だが、本気なのか? 私と若葉ですら、何度か九死に一生を得た事
すらあると言うのに」
山城アーチェは心配したが、却って、それは、逆効果だったようだ。
「命の危険に兄が曝されているのに、妹として、黙って見殺しにはできません」
「ふむ。まぁ、そうだな……」
山城アーチェは敢えて止めはしなかった。編入試験で受かると決まった訳でもなく、生半
可な受験者はそこで落とすつもりでいるからだ。合格する実力の持ち主なら、後悔先に立
たずだ。
「自分の信じる道を歩め」
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