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第十九章『婿の帰還』

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 ――神の刃は人の愛。
「これで普岳プリシラ姫と結婚する事になるのでありますな」
「さぁな……」
若葉は曖昧な返事を金剛吹雪にした。
「幸い、我が校に死者は出なくってよ。けれど、このタイミングは不謹慎ではなくて?」
一応、空戦機甲部隊及び、フリートエルケレスのクルーに戦死者は出なかった。
「帰国したら一先ず、修理だな。エルケレス城へ打電、我ラ魔王ゲルキアデイオスヲ討伐
セリ」
数日後、ラティエナでは凱旋パレードが行われた。
「二階級特進で大佐になるのは、悪い気はしないが……犠牲を考えれば素直に喜べないな」
山城アーチェは若葉に話掛けた。
「ですね。でも、今日の主役は僕等じゃないですから」
街頭から声援が送られる。その向こう側に例え、悲しみが待っていたとしても――
『――金剛吹雪=ストックウェル万歳!』『真の勇者に祝福を!』『スダドアカ・ワールド
の救世主、この世界のメシアだ!』
 魔法学園ではご無沙汰だった久しぶりの論功行賞が行われる。ラティエナ王の手により
金剛吹雪の胸元に騎士十字章が付けられた。
「大義であった」
金剛吹雪は跪いた。
「先刻の盟約に誓い、普岳プリシラ姫と、光の戦士金剛吹雪との婚約を宣下する」
『ワー、ワー!』
 歓声が沸き起こる。
(当人の了承が得られないのは不本意なのであります……が)
こうしてパレードの幕は閉じた。
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