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番外編という名の相関性のない戯言の夢に揺れるポストロックに君は形而上を描く

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「お便りきてるわよ」

「構わん読みなさい」

「コメント41さんで『ポストロックで良いのがあったらぜひ教えて欲しい』」

「ほうポストロックか。なかなか音楽が分かる人だね」

「最近はあまり陽の目を浴びてるジャンルとは言い難いけど私も好きよ」

「うん、じゃあ頼んだ」

「む?」

「分からないんだ…普段あまり聴かないから…」

「…ようやく可愛らしいとこ見せたわね」


 では、いつもの薀蓄馬鹿に変わって私めが。
 そもそもポストロックとはなんぞ?と思う人も多いでしょう。
 実は作者もノータッチだったジャンルです。

 ポストロック。
 このジャンルは概ねインストバンドが多いわね。つまりボーカル抜きのバンド。稀にボーカルがいることもあるけれど、その場合は大抵「声」という「楽器」程度の扱いをされてることが多いわ。
 第二の特徴として、前例の無い破天荒な音や型破りのコードなどを取り入れること。一般的なインストとの差がこれね。曲の構成は「モチーフがあり、それを音色や強弱などを変化させながら繰り返していく」ことが多い。曲が異様に長いことも多いのも一つの特徴かしら。


「プログレとは違うのかい」

「傍目(はため)には分からない人も多いけど、似て非なるものね」

「三行で例えてくれ」

「型破り。繰り返しが多い。楽器中心のロック」

「なるほど。分からん」

「型破りというのは従来のパワーコード中心の曲構成から逸脱しているという点、ギターはリードメロディーを弾くことは少なく、コードをあえて破綻させたりしたものもあるわ」

「要は、ロック楽器をロックっぽくない使い方して、音にこだわってるってことかい」

「効果音的な使い方が多いみたい」

 youtubeを開きながら。

「聴いてみると同じポストロックと云われるものでもバンドによってかなり違いがあるね」

「ジャンルの明確な定義というものが非常に曖昧なせいよ」

「ロックっぽいもの、プログレっぽいもの、ハウスっぽいもの、シューゲイザーっぽいもの…本当に広いんだね」

「作者が一夜漬けで勉強したくらいじゃこの程度が限界かしらね。ごめんなさい」


※筆者注:間違ってたら本当にごめんなさい。


「それで、最近の邦楽でポストロックっていうと…」

「te`やtoeだね」

「・・・」

「でもこのジャンルを知っててこれらの金字塔を知らないってこともないだろう。洋楽ならモグワイはよく耳にする」

「ちょ…」

「『モグワイ』はスコットランド出身のバンドでダーティーな歪みのギターが印象的だ。マーティー・フリードマン(元メガデスなどのギタリスト)も気に入ったバンドとして挙げている」

「アイスランドのバンドで『シガー・ロス』。こちらは一転メロディアスで透き通ったボーカルが特徴となる。比較的アンビエンスな音使いに加え女性と聞き違えるほどのファルセットボイス。シューゲイザーに近い、というより混合した感じだと思う」

「この様にポストロックはアメリカやイギリスみたいな巨大マーケットではなく、非商業的な音楽芸術集団という捉え方も出来ると僕は思う」

「待って…あんた…」

「先ほど挙げた邦楽、『te`』はロックな音が多い。タイトルがいちいち中二病的に長いのが特徴。曲毎にテーマが違い色んな楽曲があって一概にこんな曲のバンド、と表現するのは難しい。最高に間違った表現をしてる自信があるが「Perfect Vanity」の大嶋啓之氏のインストのセンスが好きなら好きかも知れない」

「『toe』は幻想的なインストバンド。女性ボーカルも交えたことがあるね。比較的ブルーズやジャズの匂いを感じることもある。演奏技術も高く特にドラムの柏倉氏のドラミングは玄人が聴いたらドラムスティックを投げる程だろう」

「反論はあるかも知れないがジャンルの特徴だけを見ると『凛として時雨』もかすっているかもしれない。インスト曲「a over die」はそれっぽい感じがする。非常に斬新なコード、フレーズが多く演奏力も異常な3ピース。頭おかしい。ツインボーカルだが男性高音ボーカルが苦手で合わないという人も多い」

「凛として時雨が気にいるなら洋楽の『the fall of troy』もお薦めだ。まぁ一言でいえば「洋楽版凛として時雨」だ」

「もう少し薀蓄を垂れるならポストロックはアメリカの『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』の影響を強く受けている。音楽に文学性や芸術性を開拓した歴史的なバンドだ」

「近い匂いがするシューゲイザーというジャンル。これは「ひたすら靴を見ながら演奏する」という意味からつけられたジャンルで、必要以上に歪んだ音、実験的なサウンドを取り入れた前衛的な音楽だ。ただあまりアップテンポということはないので苦手な人には退屈な音楽である可能性は否定できない」

「シューゲイザーが好きなら金字塔は『マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン』。邦楽なら最近は『プラスティック・ガール・イン・クローゼット』『死んだ僕の彼女』『コールター・オブ・ザ・ディーパーズ』なんかがよく耳にする名前かな」



「はぁはぁ…どうだい?こんな感じでよかったかな?」



 帰ってた。



 ごめん、反省してる。
 もう少し考えてうんちくも垂れる。
 だからお願いだ、見捨てないで欲しい。


「RE:ごめんなさい 本文:バンドしろよ」

「RE:ごめんなさい 本文:…やります」


 そうさ僕らはアナルファックピストルズ。
 受け入れられない異端児の集い。
 いつかは僕らもゲットアップルーシー。
 君に届けたいこのメロディー。


「凛と咲いて」

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