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歌集第一集

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◎ 旋律



おどまぼんぎりぼんぎりと 不定形なる旋律に心惹かれる



まだ見ぬもう見る能わざる青春を「川本真琴」に仮託してみん



線路沿い「II(一時停止)」をふと押せばプレイリストに虫たちの唄



十七や三十一(みそひと)文字と表せぬ 百四十字の新しき文





◎ フルタ記念日



グラウンド ただひとり皆に正対す あなたに見とれた夏の夜の夢



白の地にピンストライプ赤が映えこれ以上なき「フルタ記念日」



一塁側外野フェンスに脚を掛け半身乗り出す秀才のび太



あの人の屈む背中を追いかけて 今では襤褸(ぼろ)の青いミットよ





◎ 無題



古書の隅誰が付けたる汚点(しみ)を見つ思うページを手繰る指先



高速の出口近くに咲く花に人為と自然の分かれ目を見る



知らぬ女(ひと)の履いた下着を競りにけり 悲しみ半分されど興味も



彫り深き瞳の底に何を見る テレビの向こう本田翼よ
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