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4/2 AM2:00 港湾倉庫

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 この港湾倉庫は、海外から船で運ばれてきたコンテナを一時保管する目的で様々な企業が利用している。広い面積のわりに警備員は少なく、安全性の面ではいまいち評判が悪い。碁盤のように敷き詰められた2段積みの巨大コンテナは背後を堤防に塞がれ、更にその先は湾となっている。警備員詰め所のある道路側とは違い、深夜になると海側はほとんど誰の目にもつかない。

 侵入者は海側からやってきた。酸素ボンベを堤防に置き、ウェットスーツのままで目当てのコンテナを探す。彼が上司から与えられた任務は、企業が保管するコンテナの中から、ある金属のサンプルを盗んでくる事。任務は途中まで順調であり、コンテナの鍵を破壊し、中から金属を入手する事に成功した。

 その時、侵入者の顔にライトで強い光が当てられた。侵入者が目を細めてライトの発生源を向く。そこにいたのは一般の警備員ではなく、どこかの企業に雇われたもっと厄介な「組合」警備だった。


 侵入者 男 20歳

 目的

 1.入手した金属を1km先の指定地点まで届ける。
 2.生存する。
 3.相手にどの企業に雇われたかを聞き出す。

 警備 男 20歳

 目的

 1.侵入者に奪われた金属を回収する。
 2.生存する。
 3.侵入者を生け捕りにする。
 侵入者が口を開いたが、そこから出てきたのは言葉ではなく高熱を発する火の玉だった。

 侵入者の発動。

H22
対象: 自分
条件: 大きく空気を吸い込む。
効果: 対象の口から威力Cの火の玉を速度C-で吐き出す。
代償: クールダウン1分。

 警備は咄嗟に手に持ったライトを投げ捨て、右腕の能力で対応する。

 警備の発動。

A17
対象: 半径距離D(あなた以外)
条件:
効果: 対象全体が氷結する冷気を速度Cで放出する。
代償: クールダウン24時間。

 火の玉は凍りつき、氷柱を地面まで落として完全に固まった。侵入者にも冷気は届いたが、火の玉を凍らせる事にエネルギーは消費され、凍結には至らない。そして互いが能力者である事を理解した2人の次の行動は早かった。

 侵入者の発動。

L38
対象: 自分
条件:
効果: 能力を持たない脚を2本増やす。
代償: 24時間以内の解除不可。再発動不可。

 まるでケンタウロスのような4本の脚が地面を蹴り、一気に距離を取る。当然、反射的に距離を詰めようと身を乗り出した警備だったが、1歩目で何かを踏んだ。

 侵入者の発動。

L26
対象: 地面
条件:
効果: 対象に見えない足跡をつける。踏んだ者は10秒間移動出来ない。
代償: クールダウン30秒。

 約10秒間の硬直はこの状況において絶望的であり、侵入者は逃亡の成功を確信したが、その時頭部を突然の衝撃が襲った。

 警備の発動。

H28
対象: 環境
条件:
効果: 直径10cmの雹が降り始める。半径距離A。
代償:

 音をたてて海に落ちていく氷の塊。一帯が異様な光景になった。春にも関わらず巨大雹の被害を受けた侵入者に、更に追い討ちがかかる。

 警備の発動。

L8
対象: 半径距離C内の地面
条件: 対象にこの足で触れる。
効果: 対象を耐久Dの氷にする。半径距離C。
代償:

 勢い良く地面を蹴ったのがまずかった。摩擦が0になった地面は容赦なく侵入者の4本足の安定を奪い、盛大に転ばせる事に成功する。その拍子に金属が吹っ飛び、それを見事に警備がキャッチした。警備は罠にかかった位置から1歩も動かずに目的を達成した。

 侵入者が両手を挙げた。当然、その行為は降参の意思を示している。警備はその様子を見て少し考え(優先順位 2>1>3)、侵入者を逃がしてやる事にした。まだ侵入者のFIVEが2つ判明しておらず、先ほどの火の玉がもし再度繰り出された場合、警備にはもう防御手段がない。

 ゆっくりと立ち上がる侵入者。両手を挙げたまま警戒しつつ距離を取り、4本の脚で堤防を上りながら酸素ボンベを装備する。
 そして海に飛び込むと同時、

 侵入者の発動。

A6
対象: 触った事のある無機物
条件: 対象を視界に捉える。
効果: 対象をこの手に速度Bで持ってくる。
代償: クールダウン1分。

 警備の手を離れ、弾丸を超えるスピードで手元に戻ってくる金属。それを侵入者は見事にキャッチする。ここまでは侵入者の計画に狂いはなかった。

 警備の発動。

A47
対象: 無機物
条件: 対象を手だけで持つ。
効果: 対象を耐久Bにし、刃状にする。
代償: 血液を1リットル失う(致死量は約2リットル)。

 既に警備は金属を刃状にしていた。それはさながら日本刀がライフル銃から発射されたような物であり、

 侵入者の発動。

A2
対象: 自分
条件:
効果: 両方の腕は耐久Bになる。
代償:

 ガードを試みるも、十分に速度のついた刃を止めるまでには至らない。

 結果、手首から先を勢い良く切断し、堤防から海に落ちていく侵入者。
 水中で片腕を失ったまま警備の追跡を振り払い、更に海の底に沈んだ金属を回収する画期的な手段など、侵入者には残されていなかった。
 沈んでいく侵入者を見下しつつ、警備が携帯を取り出す。
「霜月 凍馬(しもつき とうま)です。侵入者の排除に成功しました。回収班をよこしてください」


 リザルト

 侵入者の目的

 失敗 1.入手した金属を1km先の指定地点まで届ける。
 成功 2.生存する。
 失敗 3.相手にどの企業に雇われたかを聞き出す。

 警備の目的

 成功 1.奪われた金属を回収する。
 成功 2.生存する。
 成功 3.侵入者を生け捕りにする。

 1-3 で警備「霜月 凍馬」の勝利。
2, 1

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