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けだもの

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ずっとずっと昔 まだ言葉すら話せなかった頃だろうか
気がつくとよく僕はずぶ濡れで風呂場に転がっていた
朦朧とした意識の中、父さんの怒鳴り声がしていたのは覚えている
まるで鍾乳洞の中にいる時のように、その声が何度も響いて
また意識を失い、気がつくと僕はよくベッドに寝かされていた
その顔を母さんが泣きながら覗き込んでいたっけ

「気がついた?」

意識を覚ました僕の顔を覗き込んでいたのは
さっき海岸で知り合った女の子だった

「よかったぁ~……」

彼女は僕が目を覚まして本当にホッとしていた
その顔から、彼女の心配そうな顔が容易に想像できた

「ホント ごめん! 無理矢理 泳がせて!」

彼女は申し訳なさそうに頭を下げ、僕の手を握り締めた
あー そういえば無理矢理この子に腕引っ張られて
海の中にドボンさせられたんだっけ?
確かにあれは苦しかったなぁ
でも、なんだか責める気になれなかった

「いいよ いいよ そんな謝らなくて……
 僕のトラウマ直そうとしてくれたんだろ?」

僕は彼女の手を優しく握り返した
きっと罪悪感を感じてる彼女の強張った手を
少しでも柔らかくしてあげたかった

「僕の方こそゴメン 迷惑かけたね
 ここ、君の家?」

「う……うん」

彼女の強張っていた手が解れる気がしたのと
同時に彼女の顔からも少しばかり緊張が解れていった
口を閉じ、大きな目を開いてうんと頷くその顔は上手く言えないけど
なんだかのほほんとしていて、かわいらしかった

「わざわざ 家まで運んでもらって有難う」

「ううん、いいよ!いいよ!気にしないで!」

かわいいなぁ……癒される
もう溺れたのとかどうでもいいや
だけど、あんまり居続けるのもどうかと思うし
あんまり乗り気じゃないけど、帰るとするか

「邪魔したね……もう帰るよ」

ベッドから降りた僕はそのまま玄関へと歩いていった
けど、そんな僕を止めるかのように彼女が右手を掴んできた

「もう帰っちゃうの?」

「え?」

彼女の悲しそうで寂しげな物言いに僕は何故かワクワクしていた
もしかして 彼女……僕を帰したくない?

「今日は泊まってってよ それとも私のこと嫌?」

またも彼女は悲しそうで寂しげな物言いをした
やばい……そんな物言いされたら、胸が沸騰しそうだよ

「嫌じゃないよ!!むしろ、好きだ!!」
きっと、僕は顔真っ赤にしてたんだろうなあ
本心からの叫びってなんか照れるなあ

「よかったぁ……ちょっと"お詫び"もしたいし」

そう言いながら、彼女は着ていた服のボタンを一つずつ外していった
徐々に胸の谷間が露になり出し、彼女がブラをつけていないことが分かった
彼女は袖を通したまま、はだけた服から両肩をだし、
その綺麗な乳首を僕の前に曝け出したのだった 

「ごくり!」

僕の喉は唾を大きく飲みこみ、
目は服をまとった裸の彼女に釘付けにされていた
顔を桃色に染め、こちらを見つめてくる裸の彼女の顔が
心臓と僕の"ケダモノ"を締め付けてくる

「す……好きなようにして……いいから……」


そ そんなこと言われたら


ぼ     僕は 








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