吐露。
結局の所、自分はなんだろうという答えのない問で眠れぬ夜をすごす。
あぁ、此処はひどく暗くて狭い。これは自分が選んだことなのだと怠惰を自己陶酔で誤魔化しきり、今日も朝日のない朝を迎える。昼時の腹はぐぅぐぅと鳴るが別に食べなくとも死にはしないと布団にもぐる。昔、寝ているだけでも体力を使うんだよとどこかで聞いたような気がするがそれだというのなら一体どこで休めばいいというのだろうか。本体はナメクジにも劣る速度で日常を食い荒らすが、対照的にそのコアたる心臓は主人が嫌だと言っても寡黙に仕事を続ける。むしろ、それしか出来ないから。これが償いだからと十字架を背負う罪人のごとく今日もその流れを組む。
もう死ぬしかないんじゃないかと白く細くなった自らの腕に刃物を突きつけてみるがカチカチ震えでそれ以上刃は進まない。鼓動が耳にうるさく、スピーカにつながれたみたいだ。決意を持って力をこめる。柔い肌はスポンジのように一度は凹み、切れずに刃物を包み込む。プチリとかわいらしい音と共に皮膚が切れる。滲む血潮にあわてて刃を放り出し手首を押さえて出血を止める。事実、止血しなくともただのかすり傷だろうが死んでしまうのではないかとあたふたと血が止まるのを待つ。
案の定、真っ赤な腕輪は地面に滴り落ちることなく凝固する。なんとなったかと一息をつき蛇口を捻る。使われていないシンクはやけに綺麗で、まるで毎日使っているかのようだ。
詰まれたグラスの一つを手に取り冷たい水を流し込む。鉄のような香りとざらりと背中を舐めるカルキの刺激。これこそが安全の証だと大人は言ったがどうもこの味が好きになれない。
流石に腹が減ったなと冷蔵庫を開けてみたが、冷気すら感じることが出来ない。そういえばつかわないからコンセントを抜いたのだったかと物置と化した箱を閉め、辺りを見回せばしなびた玉ねぎと小さくなった人参があった。幸いな事に米はあった。手早く炊飯器にスイッチを入れると玉ねぎと人参の皮を手早くむき、トントンと小さく刻む。やけに手際は良かった。
飯が炊けるまでは時間があるなと刻んだ野菜をまな板に置いたまま包丁はもう使わないからと軽く水ですすいでからラックにかけた。
のろのろとベッドにもぐりこみ、そっと瞼を閉じた。眠りすぎなのかちっとも眠くはなかったが、ぼんやりと天井のしみを数えて意識を手放す。
目が覚めたら深夜だった。僕は残り物でチャーハンを作った。
ちゃあはん
うめぇ・・・。