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「おーーい、笹野どこに向かってんだよ」
笹野からの反応はなし。完全に無視。つーか、シカト状態じゃね。
いや、無視されるのは別に慣れてるからいいんだが・・・それより。
さっきから右側にあるこの高い白い壁は何?上のほうに鉄柵がついてるし。
侵入禁止みたいな感じだ。
しかも、この白い壁が現れてすでに結構歩いてる。
どれくらい長いんだと思った。
俺は笹野の後ろを歩いていたが途中から横を歩き出した。
それでも無言。辛いわけではないが・・・なんか重い、笹野との無言重い。
「笹野さーん。一体どこに向かってるんですか?」
「・・・・・・」
はい、無視。
ここで帰ってもいいがさすがに女の子を危険な夜道に一人にして帰るわけにはいかんしな。
どうするか・・・。一応、最後までついていこう。

少し歩くと何かが見えてきた。白い壁の終わりだろうか・・・。
あいにくと目がそんなに良くないから、よく見えん。
徐々に近づく、でっかい門が現れた。
「なんじゃ、これ」
びっくりした俺よそに笹野が切り出した。
「これ、私のお家よ」
「へぇ~、笹野の家・・・家――――――――!?」
「なに、驚いてるのよ?」
「いい、いやーだってこの白い壁・・・」
俺が歩いてきたのは、この門を中心とする半分だけだ。
ということは、あわせるとどんだけ広いんだよー。
まじか、まじなのか。とないにこんな広い場所が・・・しかも家!
でも、門から覗くと何も見えない。って、わけでもないが明かりが空にうっすら見えるだけ。
建物自体はまったく見えない。
しかし、一応俺の目的は達成された。笹野を家に送り届けた。ミッションコンプリートだ。
「そうか・・・笹野の家に着いたか。笹野じゃな、俺帰るわ」
俺はまた元に道を歩き出そうとしてあいさつをした。
そのとき、笹野に呼び止められてしまった。
これ以上何があるのか。
「ちょっと待ちなさい。よって行きなさいよ」
「はい!?」
笹野は頭がおかしくなってしまったらしい。
俺に家によって行けという。
どうしたんだ・・・何かの陰謀!?なんてあるわけねーか。
「なんで?」
「いいからきなさい!」
「別にかまわないけど」
そうすると笹野が門に近づく・・・急に門が開く。
「どうなってんだ?」
しかし、門をくぐると歩く距離は門のときよりは短いと思うがかなり長い。
やっと建物が見えてきたと思ったら・・・。
「デカイ・・・デカイ・・・デカイ」
「でかいでかい、うるさいわよ」
そういうと笹野は扉を開けた。
その瞬間扉の向こうから何かが飛んでくる?
いや、誰かはわからんが人が突っ込んでくる。しかも、なにか叫んでる。
「姉さんーーーーーーーーー!」
姉さんと叫んで突っ込んできていたのは男だった。
笹野に抱きつこうとしたのかはわからんが、あっさりかわされ地面をすべる。
「姉さん、何でよけるんだい?」
「うるさいわよ、道彦」
「だけど、姉さん」
道彦と呼ばれているらしいその男は笹野のことを姉さん・・・姉と呼んでいる。
つまりは姉弟か。
「姉さん、そこの男は一体なんなんだ!?」
道彦とかいうやつは俺を指差した。
なぜかすげー睨まれてる。
「あ、おれは笹野の友達の赤城、赤城龍刀。よろしくな」
手を差し出す。しかし、無視して俺の手を叩く。
握手はしないようだ。
「姉さんの友達?」
「そうだよ、なぁ笹野」
「そうね、友達よ」
「そんなのはどうでもいい」
「自分から聞いといてどうでもいいのかよ!」
なんか、ツッコんじまった。俺ってツッコミじゃなくてボケだと思うんだが。
そんなことはお構いなしに道彦はどんどん俺に質問してくる。
半分どころか全部、興奮しているのか何言ってるか分からん。
そして、うるさい。叫びすぎだ。
そんなとき、もう一人ドアからでてくる人がいた。
今度は女の子だ。
「お、お兄さま。お姉さまが困ってるから・・・その・・その辺にしたら・・・」
「ただいま、美花」
「あ、お姉さま。・・お・・・おかえりなさい」
「それより、道彦はいつまでもうるさいわよ。早く入りましょう」
「あ、・・姉さん。しかたない」
笹野たちが家に入っていく。
「早くしなさい、龍刀。」
「あぁ、」
何か、この先不安だらけだ。
不安だが、この家は探検してーな。庭も。
おもしろそうだ。
「お帰りなさいませ、理沙お嬢様」
「えぇ、ただいま」
笹野の家に今俺はおじゃましようとしていた。
いざ、入ってみるといきなりメイド服姿の女の人たちが並んで挨拶してきた。
それに答える笹野。
メイドといってもたくさんいるわけではない。二十人くらいだろうか。
この屋敷に二十人では少ないかもしれない。いや、少なすぎるのでは・・・。
掃除とかどうしているか気になる。バイトの件に役立つかもしれない。
「入りなさい」
「あ・・・・・あぁ・・・・・あー」
俺は、口を大きく開けた状態で笹野に招かれ家の中に入った。
俺が家に入ると、メイドさんたちがヒソヒソ話をはじめた。
何を話しているのか、皆目見当もつかないね。
そんな状態の俺。やたらデカイ階段が真ん中に。
俺の実家の四百倍もあるのではと思ってしまう、庭も入れて。
「理沙お嬢様、そちらのお方はどちらさまですか?」
「私のと、友達よ」
「お友達でいらっしゃいましたか」
そう言ったメイド姿の女性はこっちを睨むように見てきた。
そして、上から下までじっくり見られた。
俺を・・警戒しているのだろうか?わからん
そして、もう一度家・・・いや、屋敷の内装をじっくり見てみる。
すごすぎる・・・それただひとつだ。
そのほかに何が言えようか。否、言えまい。これ見たらなー・・・。
「姉さん、本当に友達だけなの?」
こいつは・・・笹野の弟の道彦は何を想像しているのか、大体は予想つくけど。
「お兄さま・・・」
なんか、道彦の後ろに心配そうに突っ立ている妹の美花が声をかけていた。
そういうことは聞かないほうが、という感じに弟の道彦をみつめている。
当の俺はというと、メイド姿の女性と弟の道彦に指差され、睨まれ、はさまれている状況だ。
面倒なことになるよなーと思う。
「来なさい、龍刀」
俺は、笹野に呼ばれて屋敷に招かれた。

さて、今度は一体どこに向かっているのだろうか・・・ってわけでもないが変な大ホール的な場所に来た。
広すぎる部屋に、壁にはまったでっかいテレビ、でかく長いソファ・・・ここはリビング的なところなのだろうか。
「何、突っ立てるの?座りなさいよ」
「お、おぉ」
この部屋は何畳あるのだろうか・・・三十畳は超えてるな。
はぁー、やっぱり変に緊張するような気がするがそうでもないような気がするのも確かだ。
たぶん緊張はしてないが・・・というか、それ以上にびっくりし過ぎていて・・・これも違うな。
なんかこう・・・ワクワクしている?みたいな感じになっている。
こういうのとことんすきなのが俺だから。
体験したことないのに興味がありすぎるのが困るなーと子供のころから思っている。
とか考えてる俺が今ここにいる。場違いだ。
なぜここに俺がいるのか笹野に聞かねば。
「おい、笹野。なんで俺はここに招かれたんだ?」
「道彦よ、道彦が連れてこいってうるさいからよ」
「道彦?・・・あいつと俺、どこが関係あんのさ?」
そうだぜ、なぜ道彦?疑問だ・・・。
「連れてこいってうるさかったのよ」
「連れて来い?誰が?」
「道彦よ。あなたの名前を出したとたんに連れてこいって何回も言うから、しかたなくね」
「しかたなくですか・・・」
深くため息をつく・・・そのとき、勢いよくドアが開く。
現れたのは道彦君です。はい。
しかし、なんでこいつは俺に会いたがったんだ?謎だ。
「姉さん、本当にただの友達なんだね?」
「何回も言ってるじゃない。本人を連れて来たんだからそっちに聞きなさい」
え・・・俺ですか?
笹野は俺を指差した。
「そうだったな・・・おい貴様、来い!」
「はっ!?・・・って、おい。引っ張るなよ」
道彦に無理やり引っ張られとある部屋に連れてこられた。
そして、後ろ手に縛られ目隠しをされた。
びっくりしたが別段、何の問題もない。
予想はとっくについているのだから・・・。

腕は背中にまわされ縛られている。解こうにもなかなか解けない。
これを解くには少し時間がかかるかもしれない。
急に立ち止まったかどうかはわからんが、足がつっかかり転びそうになる。
座らせられる。
一体これから何が起きるのか・・・想像がどんどん増していく。
「おい、貴様と姉さんとの関係はいったいなんだ―――――――!?」
怒鳴りつけてくる、道彦・・・非情にうるさい。
そして、予想どうりだった。
こいつ、相当のシスコンだな。百パーセントシスコンだ間違いない。
さて、質問された俺と笹野との関係は・・・どう答えればいいのか、正直悩む。
お友達?知り合い?クラスメイト?遊び仲間?ご友人?って最初と最後のは同じか・・・。
ここは普通にクラスメイトか。
「俺と笹野はただのクラスメイトだよ」
「そんなわけ、あるか!正直に答えろ」
正直も何も・・・笹野と俺は本当に只のクラスメイトだぞ。
んー、しばし悩む・・・。
「俺と笹野は・・・そうだな、友達だ」
「友達ぃ・・・・・?」
「いや、疑うなって・・・ただの友達だから・・・それだけ」
そう言い放つと道彦は手を額にのせう~と唸る。
そして何故か俺は思いっきり足を踏まれる・・・何さまだこいつは!つーかめちゃくちゃいてぇ~。
三分後・・・足がもう、限界です。はい。
俺は踏まれている間、ずーっと道彦はハゲ!と念じるように連呼した。
「もう一度聞く・・・本当にただの!友達だな?」
え何?ただの!って強調すんなよ。叫ぶなよ。うっせーよまじで。
「そうだよ、ただの!友達だよ」
わざと、ただのを思いっきり強調して叫んだ。
そうすると道彦に、うるさい!だまれと思い切りスネを蹴られた。
笹野は女の子だし力がそんなにあるわけではないからあんまり痛くないが・・・道彦は男だしなにげにすこし力もあった。
くそ、痛かった!この、道彦はハゲが!とまたもや心で叫んでしまたった。
そのあとわかったといって、少し考えるようにまたう~と唸った。
少したつと顔を上げ、もういいだろうといって縄を解いた。目隠しもだ。
そのあと、道彦にどういうつもりだと問いただそうとしたがまたどこかに連れて行かれた。
次は一体なんなんだ・・・この。
通された部屋には笹野と笹野妹がいた。名前はたしか美花・・・だっけかな。
そしてその部屋にはデカイテーブルがあった。
豪華な装飾品のついたやたら背もたれが長いイスが何個もあった。
この部屋は一体なんなんだろうか・・・つーか、この屋敷にきてから悩むなー俺。
「座りなさいよ」
急に離しかけてきた笹野に俺は驚いてしまった。
話しかけてきたからではない・・・座りなさいといわれたからだ。
さっきもおんなじセリフを言って俺は道彦に捕まってしまった。
また、何かの陰謀か・・・・警戒しながら席につく。
と、思ったけどどこの席につけばいいのか分からない。
メイドさんに促されて席につく。
配列はこうだ。
俺の向かいに美花に俺の隣に道彦、そして二人に挟まれて笹野とこういう順番だ。
俺は笹野の隣に座ろうとしたがなぜか道彦に邪魔された。
そして俺の目の前にはとてもじゃないが見たことのない料理が並べられた。
秋さんと料理に行ってきたときと同じくらいの料理だと思う。
笹野のは俺に飯を食っていけというわけらしいが・・・正直、早く帰りたい俺は断ったが、それを笹野は許してくれない。
早く帰りたい理由だが・・・もちろんアニメを見るため。
最近楽しみにしていた深夜アニメの第一話が始まるのが今日だから早く帰りたい。
録画予約してるけど・・・やっぱり東京に来たのだから生でみたい。うん。
でも許してくれない笹野・・・食っていくしか選択肢がなかった。

まずは、前菜である。何かよくわかんねー幹事の料理に驚きながらも、精一杯礼儀正しく食べようと努力した。
結局はめちゃ怒られた。なぜか道彦に。
まだ前菜だぞ・・・と思いながら、不安たっぷりに前菜を食べた。
あ、ついでに。道彦も俺に怒鳴ったら、笹野に思いっきり怒鳴られた。
ついでに、スネも蹴られたようだ。
やっぱり兄妹だ、うんうん。
さて、ここでさらにもう一つ疑問が。
笹野と道彦。二人は金髪で緑の瞳。こいつらは見ため正確ともにまさに姉弟って感じがする。
だが、一人だけ・・・俺の目の前に座りおどおどしながら飯を食う美花が。
真っ黒い髪に鳶色の瞳。二人に比べ日本人ぽいけど・・・本当に姉妹なのかといわせたくなるぐらい、似てない。
でも、顔の整い方は笹野にいささか似ている。
俺がじっと美花を見ていると・・・ていうか、勝手に心の中で呼び捨てでいいのかな?この子はなんか・・・こう、なんかね。
「あの・・・・どう、か・・しましたか?」
「っん?あぁ・・・なんでもないよ。ごめん」
「そう・・、です、か」
すげー、気まずい。超気まずい。
すげー、よどよどしいぞこの子。
「おい、貴様。今日泊まっていけ」
「はぁ!?」
突然のことだったので俺は口に入っていたものを全部吐き出すところだった。
泊まっていけって頭は大丈夫か、こいつ。
明日だって学校あるだろうがよ。
「姉さん、構わないだろう」
「ええ、そうね」と笹野が言う。
こいつ、興味ないのか分からんがすげーあっさりと承諾しやがった。
なに、こいつら。いや、俺泊めることは良くあったけど・・・泊められることはなかったぞ。
どうするか・・・断る理由を・・はっ、そうだ。
「いや、泊まったりはしないぞ。だって明日学校だし。それに親御さんに悪いだろう、着替えも準備してないからさ」
「ふん。別に心配などしなくてもいい。親は今海外にいる。それに着替えなら僕のとかを適当に使え」
なに、こいつ。

「こちらです」
「あ、どうも・・・・・」
なんか、色々考えていたら部屋に案内された。しかも、内装豪華ですよ。
これは、笑うしかないぜ。流されすぎたー。
しかもさっきからドアの向こうから怒鳴り声と思しきものがどんどんこの部屋に近づいてくる。
この声は絶対に道彦だ。
壮絶な夜のお泊りになるよ、絶対。
前途多難だ・・・飛び降りてやろうか、はぁー。


13, 12

  

えー、いまここは俺に与えられた客用の部屋。
ものすごく広い。落ち着かない。
だから、部屋の隅でPSPをやっている。
部屋の隅で座ってなるべく存在感をなくしてゲームをやっている。
ベットがある。結構デカイ。なんていうかは分からないがかなりデカイ。
この家、何でもデカイようなきがしてくる。
飯食ってる途中で泊まれとかいわれて、どうしようか・・・。
悩むの面倒だし、なんも考えずに泊まろうとさっき決めた。
ドアが勢いよく叫び声とともに開かれる。
「おい、龍刀。どこだ!僕だ」
部屋に入ってきたのは言うまでもなく道彦。
こいつ、すげー生意気だ。まぁ、別にそのことは気にしないが・・・。
「な、なぜそんなとこでうずくまっている」
こちらに気づいたようでかなり驚いた様子で問いかけてくる。
「いや、何でっていわれてもなー。ただ落ち着かないから隅でゲームしてた」
「暗いな・・・・」
暗いとか言われた。めちゃくちゃショックだ。
「いや、暗くはねーけど。ベットで横になっていたら眠くなるし、何もやることないからな」
「なら、寝ればいいだろう」
「いや、風呂はいってないし」
「そうだったな・・・ついて来い」
道彦がその一言だけ言うと部屋を出ていった。
PSPの電源を切り、ベットに向かって放り投げた。
うまい具合にちょうど真ん中に落ちた。そのまま、道彦に付いていく。
「おい、どこに向かってんだよ」
その質問をするや否や急に立ち止まり一つの扉を指差す。
「ここだ」
「ここ?」
俺にはどの部屋がなんなのかすら一切分からない。
ここって言われても何の部屋?としかいえない。
「風呂だ」
「あぁ、風呂ね・・・風呂」
「さっさと入って来い」
扉が開き背中を押される形で中に入る。
脱衣所は・・・和だ。
銭湯みたいな感じだ・・・でも個人の家なんだよな。
ここ、一階だし。
服を脱ぎタオルをもって風呂場に入る。
「な、な・・・なんちゅーデカさ」
かなりデカイ浴槽。普通に銭湯よりでかいかも。
まじで、何でもかんでもでかい家だ。
いつまでも驚いていられないから別に気にもとめずに身体を洗おうとイスがあったので座った。
扉が突然開く。
「道彦か?おまえも・・・」
そこに立っていたには道彦ではなくメイドさん。
なぜ、メイドが入ってくるの?
「お背中を流しにきました」
「あ、背中?べつにいいよ。自分で洗えるから」
「いえ、そういうわけにもいきませんので。道彦様の命令ですので」
「命令ね・・・」
道彦はなんでそんなことをわざわざ命令するのか。
しかもそのメイドは玄関で笹野を出迎えた女性で、俺を上から下まで舐めるように見てきた女性だ。
目つきも鋭い。でも、かなりの美人だ。
この家のメイドはみんな美人んだよな。
それにせっかくきてもらったし、背中流してもらえるからいいかと思ったからそれを承諾した。
「じゃ、背中お願いします」
「はい」
うーん、別に緊張するわけではないが妙な感じだ。
背中を流してもらうなんて初体験だ。
頭なら美容院とかでやってもらうから慣れてるけど。
でも、楽だし気持ちいい。
この人ものすごく背中流すのうまいな。力加減が絶妙だ。
「一つよろしいでしょうか?」
「へっ・・・あぁ、どうぞ」
突然だったので驚いた。変な声でちまった。
しかし、そんなことお構いなしに質問が来る。
「お嬢様・・・理沙お嬢様とは、本当はどんな関係でいらっしゃいますか?」
「いや、それは笹野があなたにもいったと思いますけど・・・友達ですよ」
「本当ですか?」
「疑うんですか?」
「申し訳ありません。しかし、理沙お嬢様がお友達などを連れてくるとは珍しいものですから」
「そうなんですか?・・・」
俺はそのときそうだろうなと思ってしまった。
あいつ、マジで友達いないんだな。
「きっかけはどういったものですか?」
「きっかけ?笹野と俺の?」
「はい、どういったものですか?」
きっかけか・・・俺が笹野と友達、つーか話すようになったきっかけは・・・。
「きっかけは多分・・・車ですよ」
「車ですか?理沙お嬢様はそんなこと興味は持っておらないとおもいますが」
「ちがいます。俺が興味を持ったんですよ」
「どういうことですか?」
「えーと、笹野が送り向かいに使っている車あるじゃないですか。それを登校中に見て笹野のだって聞いたんで放課後、ひとり本を読んでる笹野に声をかけたんです。それがきっかけだと思います」
「そんなことが、どんな内容で?」
「あー、まずは車が本当に笹野のなのかって事からですかね。あとは、本のことについて」
「しかし、お嬢様がそのようなことで友達だとは言わないとおもうのですが」
確かにな・・・それ以外か。
心当たりは一個だけかな。
「少し経ってからゲーセンに誘ったことかもしれません」
「ゲームセンターにですか?」
「えぇ、結構はまってましたから、笹野。楽しそうでしたよ」
「そういうことですか」
それきりメイドの人は口を開かなかった。
しかし、名前くらいはしりたいので名前を聞くことにした。
「あの、あなたの名前は一体なんていうんですか?こっちだけ知られているのも嫌なんで」
ちゃんと答えてくれるか不安だ。
「浅葱 杏(あさぎ きょう)です。」
「浅葱さんですか、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
ていうかこんなことは風呂でする会話なのだろうか、しかも相手女性。
そんなことをしていると流し終わったのかシャワーで背中を流そうとした。
「あっ、」
俺は自分で流そうとして浅葱さんの手に触れた。
二人同時に掴もうとしたのでコントロールできずに浅葱さんはびしょぬれになってしまった。
「す、すいません」
「いえ、大丈夫です」
ほぼ全身にかかったのだが、スカートは黒ですからもちろん見えません。
でも、おっぱいが・・・正確にはとてもかわいいブラジャーが見えてしまった。
動揺を隠しつつ、流し終わるのを待った。
流し終わって、お礼を言おうと振り向こうとしたらこちらを覗いてくる浅葱さん。
じっと俺のある一点を見つめてくる。
それは、俺の大事なところだ。なぜ・・・恥ずかしいとかはあんま感じないけどつーか驚きのほうがデカイ。
デカイ、デカイ、でかいって俺、この家きてから何回いているのだろうか。
興味がある奴は数えてみてくれ。
そんなことより、何で見ているのだ浅葱さんは。
「なんで、見るんですか?」
「あっ、これは失礼しました。では」
それだけ言って風呂から出て行った。
一体なぜ俺の股間を見る必要が・・・しかし、問題がもう一つあるのだ。
それは、浅葱さんがびしょぬれになったことだ。
透けていた・・・俺の息子よ!たたなくてよかったな、たぶん殺されていた。
見た目からは想像できないピンクの可愛らしいブラだった。

「さてっと・・・この風呂なら人も居ないし泳いだりしちゃったりしても怒られないだろう」
湯船に足を入れる。
「おぉ、ちょうどいい」
そのまま一気に泳ごうとすると後ろから叫び声とともに道彦が入ってきた。
「僕も入るぞ!龍刀よ!はははは」
急に入ってきたのでびっくりしすぎて足を滑らせ沈んでいく。
すぐに起き上がり道彦に抗議する。
「急に大声出して入ってくんなよな!滑って危うく頭打つとこだったろ」
「なに、そんなことか。気にするな」
気にするなって・・・頭打ったら危ないだろうが!と声には出さずに心の中にそっとしまいこむ。
言っても無駄だからな。
「さぁ、二人で語り合おうじゃないか」
道彦が入ってくる。
俺は、こいつと一緒に風呂とかごめんだから出ようとする。
「いや、いいや。のぼせそうだから、でるわ」
もちろんのぼせるとかは適当すぎるほどのいいわけだ。
しかし、ここで止めに入るのが道彦なのだ。
「なに、そういうことは言わずに付き合え」
「いや・・・・」
そのまま道彦に引っ張られ湯船につかる。
ほんと、こいつ強引だな。きしょい。
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赤城 神 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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