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地下世界

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 目が覚めると布団の上に何かがいる気配がした。俺はがばりと起き上がってそれを見た
「何ヤッてんだ桐子」
 桐子はニタリと笑った
「幼馴染の私が可哀想な幼馴染を起こしにきてあげたの」
「なーるほど、ってそんなわけあるか!」
 俺はどかっと桐子を落とした
「てめー、いくら隣室に住んでるからって色々やりすぎだぞ!」
「だって満がいけないんじゃん、もう学校の時間なのに」
「そうか。じゃあ朝飯を食いにいこうか」
「うん」
 俺と桐子はめだか荘というところに住んでいた。
 朝食はみんなで取る。
 外人が多い。
 ティファが割烹着をきて俺たちをまっていた
「おはよう。今日はお味噌汁だよ」
「やったあ」
 俺たちは肩を並べてみんなで食べた
 ちなみに俺以外は全員が女子である
 もぐもぐやっているとティファが言った
「みつる、漫画のほうはどう?」
 俺は漫画を描いているのだった
「うまくいきそうだよ、受賞間違いなしだな」
「ほんと、よかったね」
「うん」
 会話はそれきり終わった
 俺は学校へいった
 学校へいくと学校がなくなっていたので、地下のマンホールから下におりた
 そこは地下世界だった
 俺は通行人に話を聞いてみた
「ここはどうなってるんですか」
「怪物が跋扈する地下世界だよ。手ぶらだと危ないからこれをもっていきな」
 俺は拳銃をもらった。大きな拳銃だった
「中に原子力の力が詰まっていてそれで相手を倒すんだ」
「どうもありがとう」
 俺は拳銃を片手に地下通路をうろうろした
 中は潜水艦の内部のように入り組み、パイプがあちこちを走り、曲がりくねっていた。ところどころにある計器はすべて振り切れている。俺は試しにパイプの一本を撃ってみたが、白い蒸気を噴出してしまったので慌てて逃げ出した。加圧式のドアの向こうへと逃げ込み、その鋼鉄の耐久度を信じることにした。
 階段を下りる。
 誰が置いていったのか、階段や通路の節目に古ぼけたラジオが置いてあった。チューナーをいじってみたがなんの音声も流れてこない。放送事故だった
 俺は先へ進んだ。
 出会う人々はみんな、ぼうっとしている。妙なファッションをしていることが多かったが、誰もお互いの服装を気にしてはいないようだった。寂しいなと思った。
 突き当たりにお店があった。鉄格子の向こうにレジスターがある。俺は顔を覗かせた。
「すみません」
「はい、いらっしゃい」
 スキンヘッドの店員がうっすらとした愛想笑いを浮かべて鉄格子の向こうに現れた。
「ここでは何を売っているんですか」
「あるものを売っていますよ」
「あるもの? ――在庫があるものということですか」
「そうなりますね。ないものはないです」
「どこから在庫を買い付けるんですか」
「拾ってきます。この地下には旧時代の文明の遺物がたくさん残ってるんですよ。お客さんもトレジャーハンターになってみてはいかがです。ちょっとアブネイですけどね」
「アブネイ? アブネイ……ああ、アブナイですね」
「ところ変われば言葉も変わる、ですよ」
「そんなことわざないですよね」
「ないなら作ればいいだけのことです。ところでお客さん、弾丸の補充はいかがです?」
「お願いします」
 俺は少し減っていた弾丸を補充した。ガソリンみたいだな、とちょっと思った。
 お店をあとにして地下をうろつく作業に戻った
 すると怪物に出会った
「やあ」
 だが怪物は言葉を喋れないようですぐに逃げてしまった。
 俺はあてもなく彷徨った。
 そして立ち食いの軽食屋で麻婆豆腐を食った。店主に質問してみた。
「このあたりで人が多いところはありますか」
「三層下のファッキン・ストリートなんてどうですか」
「ありがとう」
 いってみると、そこはお祭りみたいに人でごった返していた。だが誰も時間を気にしていないようで、歩みはゆっくり、オレンジ色の照明とあいまって心地のいい通りだった。俺はその流れの中に飛び込んだ。ゆらゆらと人の群れに流されていく。俺は上着の下の銃の重みも忘れて漂っていた。
 そうしてまた腹が減ると脇にのいて立ち食いに寄って、また戻る。そんな放浪をしばらく続けていたがやがて終点に達した。
 一体のロボットがそこにあった。みんな、それをあがめているようで手で触れてなでたりしていた。
「なんですかあれは」
「伝説の機体、アポカリプスです。誰も乗り手がいないので、みんな我こそはと思うのですが、やはり誰も乗り手がいないのです」
「俺が乗ってみてもいいですか」
「いいですよ」
 俺が乗るとアポカリプスは動いた。
 だが動いたところでどうということもない。下手に動けば周りの人を踏み潰してしまうので、大したことはできず、俺は機体から下りた
「あまりおもしろくないですね。せっかく動いたのに」
「平和というものはそういうものです。アポカリプスを使うような羽目になる世界に流される涙の責任をあなたは取れないのですから、へんなことを言うもんじゃありません」
「自分の涙を誰かのせいにするようになったら死んでしまうのがよろしいかと思いますが」
「それはあなたの身勝手です」
「私にとってはあなた方のすべてが身勝手に思えますがね」
「平行線ですね」
「それでいいのです。答えなんて必要ありません」
 俺はその場をあとにした。
 地下世界もあとにした
 地上では桐子が待っていた
「どこにいってたのよーっ!!!!!!!」
 俺は桐子のドロップキックを受けて真っ二つになったが転生前の大いなる守護神の力をもってして回復した
「痛いぞ」
「ごめん」
「学校いくか」
「だめになった」
「なんで」
「テロリストが学校を占拠した」
「よしわかった、いこう」
 学校へいくとテロリストが正門を封鎖していた
「おまえら何者だ」とテロリストがいった
「正義の味方だ」
 俺はテロリストに原子銃をぶっ放した。テロリストは死んだか、あるいは百万年後の世界まで吹っ飛んだ。
 俺はその調子で学校を占拠するテロリストを次から次へとやっつけた。
「なんて強いんだ」
「銃があるからな」
 俺は壊滅させて殲滅して勝利して勝った。
 平和が戻った。
 俺は退屈した
「何か面白いことはないかな」
「ないわね」
「ないか」
 俺はその日の授業をサボった。そしてそれきり戻らなかった


「完」

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