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エベルオン・ブレード

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 エベルオンの剣を手に入れた時から俺の物語は始まった。
 伝説の勇者の剣を森の中でたまたま手に入れた。
 それでB級のモンスターを五匹も倒し、貴重なアイテムを手に入れて売り払い、装備も充実した。
 これで下級ハンターだった俺も一流の仲間入りだ。
 酒場で仲間も増やした。
 薄暗い生活とはおさらばだ。
 まずは簡単なクエストをこなしてテンポを整え、成績を上げることだ。
 成績を上げることによってギルドからの信用を得て、ハイレベルな依頼を受けることができる。
「そうだよ、頑張ろうね!」
 魔法使いのミリーが俺に賛同してくれた。よし。いい感じだ。
 そして俺たちは下級クエストの『ねぎらいの露』を受け、霧深き森へと挑んだのだった。
 森の入り口で、森番の男から話を聞く。
「最近はどうですか」
「あまり強いモンスターもでなくて平和だね」
「そうですか。よかった」
「装備は整ってる? サンドイッチがあるから食べておいき」
「ありがとー」
 俺とミリーは仲睦まじくサンドイッチを食べた。
「これでライフも回復したね」
「そうだな」
「それじゃあ森へ入ろうか」
 俺とミリーは防寒外套を羽織って森に入った。
 中は薄暗く、寒かった。
 小さなモンスターを俺の剣とミリーの炎が焼く。
「なんだか静かだね」
 ミリーが宝箱を見つける。ガラクタばかり。
 その中でも特にいらないダガー系のナイフを俺は出会うモンスターにことごとく当てて消費した。
 そして余ったアイテムは道中ですれ違った旅人と交換し合った。
 暗いうわさが飛び交っている。
 物凄く強いモンスターが出るらしい。
 名前をアポカリプスという。
 まさか、と俺は言った。そんなことあるわけないのだ。
 だがミリーは信じているらしく不安そうにしている。
 俺は安心させるためにキャラバンと同行することにした。
 キャラバンの連中は護衛を山ほどつけている。俺たちもその中に紛れていればいい。
 霧がどんどん濃くなっていく。
 霧のモンスターは強い。
 だから俺は警戒してエベルオンを抜いた。
 いつもは壊れてもいいショートソードを使っているのだ。もっともエベルオンはオリハルコン製なので壊れないのだが。気分だ。
「ショートソード、貸してくれない?」
 女剣士が囁いてきた。
 俺は貸してやった。
 返ってこなくてもべつにいい。霧の中ではそういうこともある。
 キャラバンは森の中を進んでいく。
 誰かが噂話をする。
 その話に相槌を打つ。半分も聞いていない。
 珍しい魔術書を見つけた男がいた。みんなでそれを回し読みする。
 するとどうやら書の鉱脈を見つけたらしい。どんどん書物が手に入った。すべて宝箱に入っている。
 かつて、誰かが犠牲になったのだ。
 旅人の日記を読みながら物思いにふけっている。
 その間にモンスターが出てしまった。
 巨大なモンスターにみんなで立ち向かう。
 飛び交う魔法。唸る剣。
 俺はエベルオンだけでは足りずに結局ショートダガーを抜いた。それを振るって霧の獣をほふる。
 何も残らない戦場。
 キャラバンは守られた。が、小型の馬車一台が行方不明になっているらしい。護衛が何人かくっついているから、大丈夫だろうが、念のために俺が見に行くことになった。前金で金をもらう。はぐれたまま再会できない時のため、そして危険手当。ほとんどの人間はこれをもらってバックレる
 俺はそのまま霧の中に何人かと連れ立って踏み込んでいった。それきり、どのキャラバンにも出会わなかった。
 ミリーを置いてきてしまったことを、だいぶあとになって思い出した・・・。
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