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――――プロローグ

「あーやっべ! 遅刻する!!」

 そう言いながら、顔を洗うついでに歯を磨きながら髪型をセットして朝食のパンをかじる。おいちょっと、どーすんのそれ。
 歯磨き粉臭い薄ら湿ったパンをそのままうがいと共に飲み込んで、急いで制服を着る。薄らベージュのブレザー。校章がデザインされたネクタイは時間が無いので締めずに鞄に押し込む。
 そんな様子を、少し遅めの朝陽が射し込む窓際からあくびをしながら眺める犬が一匹。『それちょっと、朝の準備ちゃんと出来てんの?』みたいな感じで気だるそうな目で見つめている。

「あれ鍵どこやった? もーこんな時になんだよもー」

 当たりを見渡すと、犬が寝ている丁度良い感じの出窓の上に丁度良い感じに家の鍵が置いてあるのを発見した。

「おい邪魔だ馬鹿犬。飼い主が早起きしてんのにお前何ばっちり惰眠しけこんでんの?」

 払う様に犬を押しのける。小型犬なのか、はたまたただの小さい子犬なのか。一切抵抗せずあっさり退かされるその姿はどことなく生きる事に疲れた様な、そんな調子を思わせる。

「だーもう学校始まっちまうっての!! 鍵くわえんな糞犬!!」

 新たな始まりだというのに、どこか気怠い飼い犬に、そして慌ただしい飼い主。



 そう、新たな物語の始まりである!!!!!




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