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女流武者 御剣桜華 第十四幕  決着!竜五郎対伸朗

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 桜華たちは伸朗が呼び寄せた武士と戦っている間、竜五郎はひとり伸朗に立ち向かっていた。竜五郎と伸朗は緊迫した空気の中、刀を握りしめ鍔迫り合いに入る。
「これで・・終わりだっ!!あの世で俺の完成を祝うんだな・・。」
伸朗は竜五郎を馬鹿にした態度でそう言うと、刀に全体重をかけ、竜五郎の刀をはじこうとするが、竜五郎の屈強な精神力によってなかなか刀を弾けなかった。
「お前は俺の村をめちゃくちゃにし、村人までさらった。だから俺はお前には・・負けないっ!!」
竜五郎は渾身の力を刀に込め、伸朗の刀をはじき返した。その時、はじかれた刀が伸朗のトレードマークである長い髭が斬り落とされた。地面に落ちた髭を見た伸朗は、地面に手を着いて落胆した。
 「うう・・。私の髭が…私の髭がっ!!私の大切な髭が切れてしまった…。私は多くの武士と戦ってきたが、この髭を斬ったものは一人もいなかった…。しかしたった今、私の髭を切ったものが現れた。竜五郎、まさにお前のことだ。私が悪かった…どうか許してくれ。さぁ、俺を斬れ!!」
落ち込んでいる伸朗に、竜五郎が話しかける。
「わかった。正々堂々と戦いで決着をつけたんだからな。お前だけは斬らずに生かしてやる。だがひとつ約束してほしい。心を入れ替え、俺の村のために働いてくれ。それが俺の願いだ。」
竜五郎の言葉に、伸朗は感謝の意を込めて竜五郎にそう言った。
「おお。お前はなんと心の広いお方なんだ…。このご恩、一生忘れませんぞ。」
伸朗がそう言った瞬間、助太刀にやってきた桜華が現れた。
 「竜五郎殿、助太刀に来ましたぞ!!」
桜華が竜五郎のところに来たとき、竜五郎が答える。
「勝負は終わりました。勝負の行方は地面に落ちている髭が証明してくれますよ…。」
竜五郎がそう言った後、桜華は床に落ちた伸朗の髭を見た。どうやら勝負は竜五郎のほうに軍配が上がったようだ。
「その髭は、確かに伸朗の物だな。竜五郎殿よ、よくぞ伸朗という悪に打ち勝ち、村を救ったのだ。しかしなぜあの者を斬らなかったのだ?」
桜華が竜五郎にそう言うと、懲りた表情で伸朗が答える。
「竜五郎が私を斬らないといってくれた。その代わりに私が襲った村のために働くことになった。これからは村のためにがんばろうと思う。お前たちには謝りたい気分だ…。」
伸朗がそう言うと、桜華が伸朗に手を差し伸べ、そう言う。
 「そうか…。お前はこれから村のために働く道を選んだようだな。これからはもう二度と悪事を働かないことを誓い、がんばってくれるか?」
桜華の言葉に、伸朗が桜華の方を向き答える。
「俺、これからは悪事をやめて村のために働くことにするよ。さっきの戦いで十分懲りたよ。」
伸朗が桜華にそう言った瞬間、竜五郎の無事を心配した家臣たちが現れた。
 「桜華殿、竜五郎殿!!ご無事かっ!?」
家臣たちの言葉に、桜華が家臣たちに答える。
「勝負は竜五郎が勝った。伸朗はこれからは心を入れ替えて村のために働くことになった。後は村人の反応しだいだな…。さて、村に戻るぞ。囚われていた村人はきっと帰っているはずだ。伸朗殿、私と共に村へと戻ろうぞ。おぬしがこの村で暮らせるように何とか話をつけておく。」
桜華たちは砦を後にし、辺境の村へと戻っていった。

 辺境の村へと戻ってきた桜華たちは、伸朗と共にこの村の村長のいる家へと向かっていった。伸朗がこの村で暮らせるように頼むためであった。
「長老様、囚われていた村人を解放いたしました。伸朗殿は心を入れ替えてこの村のために働きたいと申しておるが、村長殿、いかがなさるか?」
桜華がそう言った後、伸朗は反省の言葉を口にした。
「すべては俺がわるかった!!この通りだ…村長さん、俺もう悪さはしないから、この村で住ませてください!俺はこの村を守りたいんだ!!」
伸朗の言葉に、半ば怪訝そうな表情で村長が答える。
「しかし…村人たちが許してくれるかが心配でたまらないのだ。桜華殿の言葉が村人たちに響いてくれればよいのだが…。」
村長がそう言うと、村長の家に次々と村人が押し寄せてきた。
 「村長さん…伸朗殿を許してやってくれ。すべては桜華の家臣たちが伸朗を許してやってくださいとい言っていたのが聞こえたんだ。だから、お願いします!!」
桜華の家臣である東雅、紅零、雅沙羅が村人に呼びかけていたのだ。そのことを知った村人が伸朗をこの村に住ませてくれるように頼みに来たのだ。
「桜華殿、私たちも伸朗のために協力しますぞ!!」
「村人のみんなに呼びかけて、伸朗をこの村で暮らせるようにしたいんです。こんなに強い人がここにいれば、頼もしいですわ!!」
「私は伸朗に囚われていましたが、すべてが終わった今はなんだか伸朗のために協力したいと思ったんだ。伸朗が本当に心を入れ替えたのなら、ここで暮らせるようにしてほしいぜ。」
桜華の家臣たちがそう言うと、村長が答えた。
 「よかろう…。伸朗殿、本当に悪事を働かないのなら、お前をここに住ませる事にしよう。桜華殿、そして村人の皆さん、伸朗を笑顔で受け入れておくれ…。」
村長の言葉に、伸朗が村人たちに感謝の言葉を送る。
「みんな…。俺のためにそこまでしてくれるなんて、なんだかうれしいぜ。桜華って言ったな。お前のおかげで俺は変われた。村人たちも俺のことを…。」
伸朗が涙ながらにそう言うと、桜華が答える。
「これからは村のために精を尽くすのだ。さぁ、夜も遅いし、きょうは宿に泊まるか。私の家臣たちもさぞかし疲れているんだからな…。それより、伸朗殿はこれからどうするのだ。」
桜華がそう言うと、伸朗が笑顔で答える。
「俺はこれから村長と話があるんで、ここに残るぜ。俺の住むところが決まるまではは村長の家で寝泊りするよ。では、桜華殿、今日はありがとよ…。」
伸朗がそう言った後、桜華とその家臣たちは宿で疲れを癒すのであった。

死闘の末、勝負は竜五郎に軍配が上がった。
心を入れ替えた伸朗は、これから村のために働くのであった。
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