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はじまりの日と終わりの日

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忘年 某日
古い記憶だ
僕がまだ智子さんに会う前の話だ

母の親戚が死んだ、そして僕も葬儀に出席する事となった。
母が「話をしてくるからここで待ってて」と言った、そこで母を待っていたら自分より年が一つ二つぐらい上の女の子が僕に話しかけてきた。
「君の未来に話すけど2009年7月23日に私は死ぬけど泣くな、男なら」、意味不明であった。
子供ながらにこれはまずい子に絡まれてしまったと思った、「どういう意味なの?」、と僕が聞き返すと何も言わずに去って言った。
それから数日、隣にあの子が引っ越してきた、しかも向こうの親はこっちまで恐縮してしまう程の丁寧さで親同士の仲は深まった。
これは本格的にまずい事になった、あの電波少女と友達ならなければならないのだ、僕は心の中で恐怖した。
救いだったのがあの子とは学校が違った、それを知って心底気分が楽になった、親があの言葉を言うまでは。
「明日智子ちゃんのお母さんと映画に行って来るから、智子ちゃんとお家でお留守番しててね」目の前が真っ暗になった。

そして僕は智子ちゃんと留守番をする事になった

「じゃぁ行ってくるからね、お留守番よろしく」、母さんに付いていきたい気持ちでいっぱいだった。
二人だけの部屋にはしばらくの沈黙が続いた、智子ちゃんが立ち上がってこう言った「私出かけてくるから留守番よろしく」。
一人じゃさすがに留守番は怖いので「僕も行って良い?」と聞いた、「別に良いけど泣くなよ?」、ゾッとした。
しかし一人の留守番よりは怖くないだろうと思いついていくことにした。
近所では有名の森だった、「なんだここなら僕も知ってるよ」と言ったら「ここじゃない」と即答された
知ってるとはいえやはり森は怖かった、僕は智子ちゃんの片腕に頬を寄せる感じで掴まってた、智子ちゃんがしきりに「男ならビビるなよ」
「暑苦しい掴まるな」という事を言っていたが僕は怖いのでずっと掴まっていた、「おい着いたぞ」と言われた。
そこは祠だった、「こんな場所見た事ない」、智子ちゃんは僕の言葉に耳を貸さずに早い足取りで中に進んでいった。
祠には二人以外の得たいの知れない声が響き渡っている、「智子もう帰ろうよ」、と言うと智子ちゃんはニタニタ笑いながら「あれを見ずには帰れない」
と言った、祠の奥に着くとそれはあった、コップだ、「ここはずっと昔に生き埋めになる事故があって20人以上が死んだ、そして火災で70人以上が死んだ」
「そこに私は水の入ったコップを置いた」、「そしたら飲ませろーって必死にお願いして来るんだよ、面白いだろ?」
霊という不確かな存在より今ここに居る、確実な悪意に恐怖した。
亡者の声が聞こえる、視界が狭くなっていく、僕だけの世界が小さくなるみたく、「おい」、その声が聞こえると同時に視界は元に戻った
「もういくぞ」、外からの光で一瞬見えたコップの水は真っ黒に見えた

それから智子ちゃんの独断と偏見により街の中の多数の心霊スポットに僕は連れまわされた、その中でもやばい体験は色々したがそれはまた別の話だ。
数ヶ月が経ったある日智子ちゃんが引っ越す事を聞いた、僕は悲しかった、オカルトへの好奇心は智子ちゃんが原因とも言える
そしてその中で出来た信頼は姉弟とも言えるような仲であった、僕は別れのために智子ちゃんに会った。
僕は何も言えずただ智子ちゃんの前で泣いていた、「男なら泣くな、またどこかで会えるさ」

それを最後に智子ちゃんは僕の前から消えていった。
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