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2.私の主が幼馴染なんかに靡くわけがない

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「十時郎ちゃん?」

「・・・すぅ」

「十時郎ちゃん、朝よ」

「むにゃ…」

「まったく、今日は映画に行くって約束でしょ」

「ん…理美…?」

 幼馴染の理美だ。
 朝である。体が重い。

「十時郎ちゃん!起きなさい!」

 がばっ、と彼女は布団を取り上げる。
 露わになる寝巻き姿の俺。
 ・・・と、俺に抱きついて眠る衛…。

「きゃっ…この子…誰」

「へ?」

「うーんむにゃむにゃ」

 気持ち良さそうに眠っている。

「ま、衛!?」

「うん……?おお、主、もう朝か」

「朝か、じゃない。何でここに」

「ふふ、野暮なことを……昨日は、ふふ、アツい夜だったね……ぽっ」

「勘違いされるようなことをッ!」

「十時郎ちゃん…」

「待ってくれ理美、冷静になって聞いてくれ、これは誤解だ」

「十時郎ちゃん不潔!!!うわーーーーん!!!」

「待て!冷静になって平和的に話し合おう!きっと必ず和解できる!待て、待ってくれ!ああぁっ」

 ・・・・・・

「ふ、地味な顔して主の童貞を狙うとはあの女も油断も隙もないわ」

「くたばれクソ野郎ぉ……」

「私は守護者、死んでも主を守ってみせる」

 ドゴォ

「うぐぅ」

「せっかくの貴重な主人公ステータスが……」

「い、痛いじゃないか」

「幼馴染……」

「ちょ、鼻血が……」

「ガス、ガス」

「ぶべらッ!痛…ちょまッ…痛い!痛い!」

「ん、まだいたのか?気付かなかった」

「無意識に的確に急所をつくやつなどおるか!」


 ・・・間。


「なあ衛、聞いていいか」

「なんなりと、我が主」

「ひとつは、何で当たり前のように我が家の食卓に貴様がいるかということだが」

「むぐむぐ」

「まあそれは置いておこう」

「ふむ。むぐ。母殿、この玉子焼きは格別でございますな!美味い!」

「あらあら、衛ちゃんお上手ね」

「(殺す…)」

「んで、聞きたいこととは?」

「ああ、お前は確か昨日、使命があると言って俺の童貞を守ると言ったと思うが」

「相違ない」

「使命ってなんだ、誰かの命令か。そもそもお前は誰なんだ」

 カタ、と箸を置きため息を交えて衛は答えた。

「突然のことで驚かせてしまって済まないと思う。しかしそうだな、順を追って話すと、実は我が主は正確には今の貴殿ではない」

「?」

「私に命を下したのは他でもない、30年後の森田十時郎、つまり未来の貴殿だ」

「!?」

「30年後の貴殿は童貞王として世界を支配する帝王なのです。あ、ちなみに童貞と帝王をかけてどう帝王です」

「どうでもいいわ!」

「今から14年後、30歳を向かえた貴殿は魔法使いとなり、万人を従え神に等しき崇拝を受ける存在なのです」

「んな馬鹿な。じゃあ君は未来から来たというのかい」

「そ、その通りであります」

「衛」

「あい」

「電影少女(ビデオガール)って、知ってるか」

「知らないであります!桂正和とか読まないであります!」

「設定もろパクりなんだよクソがッ!」

「ぐげぼぉっ」

「こらこら十時郎ちゃん、女の子の水月をそんなに的確に突いちゃダメですよ」

「・・・・・・ふん」

「あ、主……さすが童貞王……我が主……ぐふ……」

 お前を犯して脱童貞してやろうか、と思う朝。
 ちくしょう、せっかくの理美とのデートが台無しで今日は暇になった。

「なら主、私と映画に行くというのはどうだ?コードギアスが見たいです」

「お前も大概だよな」


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