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一章「夜」10月8日完結

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 この世界に来てから何度目かの夜が来る。俺は宿屋で部屋を借りて机で本を読んでいた。ろうそくに灯った炎がひっそりと光る。この世界のことを知るために俺は本を読む必要がある。今いる世界で娯楽と呼べるものは読書くらいしかないから読んでいるのかもしれない。俺が生まれた世界では、ろくに純文学や哲学書どころか、ライトノベルやエロゲすら読まず、活字に触れていなかった。こんな俺が本を読んでいることには俺自身、驚いている。本を読んで気になった箇所があれば、羊皮紙に羽ペンを走らせメモを取る。今読み進めている本はこの世界で「淫魔」と呼ばれている存在に関する本である。本に記述されている三分の一ほどの内容をメモを取り終えたので、机の上に置いてあるマグカップでコーヒーを飲み一服する。
「ねぇ、ごしゅじんさまぁ」
 俺の背後からあどけない声が聞こえる。「狼属」の「淫魔」のルリである。ルリは俺と旅を共にしていた。ルリの見た目は俺が生まれた世界にいた小学校高学年くらいの少女の姿に似ている。違うところは狼のような耳が頭に生え、同様に狼のようなふわふわした銀毛の尻尾が尻から垂れ下がってるとこである。まるで、俺が生まれた世界の狼擬人化美少女を絵に描いたような存在だ。ルリには個人的な趣味で布のドレスを着させてあげていた。「狼族」の「淫魔」は基本服を着ていない。
 コーヒーは湯気も失せ、冷めていた。この「淫魔」に関する本は今晩中に読まないといけないだろう。この本は宿屋の物だ。後で返す必要がある。急がなければ。
「ねぇ、ごしゅじんさまぁ」
 後ろから、またルリの無邪気な声が聞こえる。今度は背後から俺に抱きついてきた。二つのふくらみかけが俺の背中に乗っかる。柔らかく暖かい。さらに、俺の胸に温もりのある二つの腕が絡まる。
「何だ?寝てたんじゃないのか。俺は今忙しいんだ。邪魔しないでくれ」と、俺はルリの手を振り払う。ルリは先に寝ていたものばかりだと思っていた。
「淫魔」はおそらくこの世界において重要な価値があるはずだ。この本を急いで読もう。
「ごしゅじんさまぁ、えっちしよっ」と、ルリは無邪気に、また抱きつく。
「淫魔」のほとんどはご主人様に対して、服従するほど無償の愛を注ぐ。しかし、恥しげも無く「えっちしよっ」と言う淫魔はあまりいない。ルリはおそらく純粋無垢なのだろう。心が汚れてないからこそ、「えっちしよっ」なんて言葉を軽々しく言えるのだろう。現に俺が生まれた世界で、染色体異常の方は性的欲求をダイレクトに表現する者が多いと聞く。男だと女に突然抱きつくくらいの行為は軽々しくするという噂を聞く。この噂が本当だとしたら、おそらく純粋無垢だからできるのだろう。彼らは自分の欲望に純粋なのだ。
「早く寝ろ。そんな暇ない」
 俺はルリの腕をまた振り払った。再び本に視線を戻し、ページをめくる。本は明らかに日本語でも英語でもないミミズのような文字が書かれているが、不思議と読める。ご都合主義だ。また、ページをめくる。すると、股間だけが風呂に浸かったかのような温もりに包まれる。
「何をしてるんだ」と、俺は見下ろす。視線の先には生まれたままの姿のルリがいた。ルリは右手で俺のさきっちょを握っていた。俺のズボンをいつの間にか脱がされていた。
「ごしゅじんさまと、えっち」と、ルリは悪戯っぽく笑う。
「だから、そんな暇ないって言ってるだろ」
「でも、ごしゅじんさまはルリとえっちしたいんでしょ。おちんちんがそう言ってるよ」と、ルリは俺を見上げる。
 たしかに俺の陰茎はルリ目掛け一直線に大きくなっていた。理性は交わりたくなくても、本能は交わりたいと思っている。俺が生まれた世界で、テストの徹夜勉強中、無償に性欲が沸いてオナニーに耽ってしまい赤点を取ったことが何度あっただろう。「淫魔」とは性欲を擬人化したような存在なのだろう。しかし、今は性欲に勝ち、「淫魔」に関する本を読み進める必要がある。
 ルリは俺の陰茎を上下に動かす。ルリは楽しげに笑っている。「ごしゅじんさまのおちんちん、こんなに大きくなっちゃって。ルリといっぱい、いっぱい、えっちなことがしたかったんだね」と、言いながら包皮を躍らせる。「ごしゅじんさまはえっちだもんね。たっぷり。せーえき。たっぷりたっぷり。せーえき。ごしゅじんさまの、せーえき。ほしーな。ほしーな」
 俺の海綿体はさらに膨張を続ける。あふぅ。ひぃ。
「おい、やめろ」と、俺は陰茎を握っているルリの右手を外そうとする。ルリの右手が俺から外れるが、擦れた刺激で、脊髄に快感が走る。絶頂。股間から白く濁ったスペルマが噴水となって吹き出る。あふぅ。
 ルリは目を瞑り、顔面一杯に白インクを浴びた。「ルリの顔、ごしゅじんさまで一杯になっちゃった」と、ルリは舌を出しながら笑う。出した舌で口の周りについたご主人様の分身を舐めとる。「ごしゅじんさまおいしいよ。こんなにいっぱい出すなんて、やっぱりえっちなことがしたかったんだね」と、ルリは笑う。
「しかたないな」
 俺は頭を抱える。性欲はよく理性を支配する。人間における心理の大半が性欲だ。これが真理だろう。俺が生まれた世界では小学五年生にこんなことをしたら逮捕だ。報道だ。人扱いされない。そんなことを考えると、今の白く染まったルリの笑顔を見たら、ますます海綿体はいきり立った。
「ルリ、ごしゅじんさま、もーっと欲しい」と、ルリは言って俺の腰に抱きつきながら、ご主人様を口一杯にほお張る。あ、やめろ。一回だすと疲れるんだ。ルリは顔を上下に激しく動かす。
 目線の先には屈んだルリのつむじと、耳が見える。そして、お尻の先のしっぽが見えた。しっぽは激しく振られている。犬が喜んだときに振るしっぽそのものだ。海綿体がルリの舌の表面に擦れる。ルリの甘酸っぱい唾液と海綿体が混ざり合う。舌はざらざら。ざらざらしている。舌のぶつぶつ。ぶつぶつが気持ちいい。あ。ぶつぶつ。ぶつ。スペルマ。スペルマでちゃう。きちゃう。出た。どくどく。どくどくしい。
 ルリは股間から出たミルクをどくどく飲む。ルリは俺から出たミルクを一滴残らず飲み終える。その後、俺の股間を口から出し、満足そうに笑みを見せる。そして、口周りに溢れ出た白濁液を舌で舐めとる。
「えへへ、ごしゅじんさまがえっちしたいって気持ち、たっぷり味わっちゃった」
 ああ、またやってしまったか。と俺はため息を付く。
「あのね、ルリのおまんこ、ごしゅじんさまと子供作りたいって言ってるよ」と、屈んでいたルリは俺を昇る。ルリの赤貝が俺の陰茎に擦れる。ルリの赤貝はぐにょぐにょに濡れ、海水が漏れていた。生命の故郷の海。生命の古里の海。
 ルリは俺のペニスをつまみ、膣に入れる。そして、ルリは俺にしがみつく。ルリの膣は野生的な荒々しさのおかげか、俺の亀にするどく噛み付く。ルリのふくらみと俺の胸が重なり、心臓の音がとくんとくんと聞こえる。ルリの四肢が俺の体中を暖める。ルリの顔が近い。俺の精液の香りがする吐息を顔表面で感じた。
「ごしゅじんさま、あたたかーい」と、ルリは尻尾をフリフリさせながらじゃれる。
 ますます俺の海綿体が膨張する。ますます海綿体が。海綿体が膨張。膨張。こうなってしまったら仕方がない。本能、いや性欲の赴くままに動くしかない。
「ごしゅじんさま、ルリと一緒に気持ちよくなろう?」
 俺は静かに頷き、ルリの体を上下に動かす。
「あ……あふ……きゃうきゃう」
 ルリの口元から鳴き声と呼吸が溢れる。俺は動作のペースをさらに早める。
「俺はえっちしたくないだろと言っただろ。お仕置きしてやるから覚悟しろ」
「きゃう…きゃ…きゃう」ルリ、鳴く。「ごしゅじん。きゃう。さま。ごしゅ。きゃう。じんさま。もっと。きゃ。やさしく。あふぅ。してよ。きゃ。きゃ。きゃん」と、ルリが喘ぐ。ルリとのエッチはまだ二回目だ。前回処女膜を破ったので、まだ痛むのだろう。ルリの瞳は涙目になっていた。俺はさらに激しく揺らす。しかし、ルリの体は正直で、俺がルリを動かすペースを速めれば速めるほど、より速く尻尾を振った。
 俺はわき目も振らず、ルリの腰を振った。俺は本能、性欲をむき出し野生に帰った。
 来る。来る。来る。精巣。精巣の熱を感じる。精巣の熱が全身に伝わる。来る。血圧が上がる。来る。荒々しいルリの噛み付かれた亀は激しく揺らしたおかげで限界に達していた。
「きゃうううううう」
 ルリも同時に逝ったらしい。
 俺は快楽に包まれる。上がっていた血圧は下がる。俺とルリは同時に呼吸をする。二人の体以外にも、呼吸も混ざり合う。
「きゃう……」
 ルリは虚ろ目になっていた。尻尾も床に垂れ下がる。おそらくルリは疲れたのだろう。
 俺の中のエスの血が沸く。虐めたい。この世界への勉強を邪魔したルリを壊したい。俺は上下に揺らすのをやめなかった。
「きゃ。ごしゅじんさま。もうやめて。お願い。もうこんなことしないから。ルリ。無理やり。きゃう。きゃう。きゃううう。ご主人様と。きゃう。きゃう。ご主人様とえっち。きゃう。きゃう。えっちしようだなんて。きゃう。きゃう。思わないから。きゃう。きゃきゃう。やめて。きゃう。もうやめてよきゃう」
「誰がやめるもんか。お前から迫ったんだろ。えっちしたいんだろ。たっぷりしてやるよ。お前が壊れてしまうくらいしてやるよ」
「ごめんなさい。きゃう。ごめんな。きゃう。さい。きゃう。やめて。ごめんなさい。ごめんな。きゃうきゃう」
 ルリは泣き喘いでいた。しかし、やめてというルリとは反対に尻尾は振られていた。ルリの体はまだ欲しがっているのだ。ルリの下の牙も、さらに俺の象牙を締め付ける。
「ちょっと、私が寝ているときに二人だけで盛り上がらないでよ」と、イパが言った。イパは「吸血鬼」の「淫魔」である。イパも俺と旅を共にする「淫魔」の一匹だった。イパも俺が生まれた世界の小学生くらいの容姿をしていた。ヨーロッパ系の北欧美少女に似ている。青い瞳、金髪のロングストレートである。さらにイパはゴスロリ衣装を身にまとっている。しかし、蝙蝠の耳を頭に生やしている。また、背中に羽もあるが、いつも折りたたんで服の中に入れている。
 イパは「吸血鬼」の「淫魔」だけあって、耳がいいのだろう。起こしてしまったようだ。
 しかし、俺はイパを無視してルリを犯していた。
「さぁ壊れてしまえ。ルリのまんこは凄い気持ちいいぞ。さすが狼だ。俺の亀頭にこんなに噛み付くだなんて、野生の塊、いや性欲の塊じゃないか。たくさんたくさん精液ぶちこんでやるよ」
「きゃうきゃう。やめてよ。きゃうきゃう。あ。きゃう。きゃう。きゃう。ルリ。壊れちゃう。きゃうきゃう。おかしくなっちゃうよ。きゃうきゃう」
 ルリは壊れたラジカセみたいに喘いだ。ルリの涙は頬まで濡らしていた。
「無視するなっー」と、イパは脳みそをくすぐっちゃいそうになるくらい可愛そうな声で言った。
 しかし、俺はイパを無視して、ひたすらルリの体を激しく揺らす。
「ばか、ばか、ばかぁ」
 俺は後ろを振り返った。イパは無視をされて、涙目になっていた。イパの表情を見ると、さらにますます勃起した。ルリの膣内で。ルリの子宮がつぶれそうになるくらい、子宮に亀頭をぶち込んでいた。
「イパもえっちしたいのか?」と、俺はルリの体を揺らしながらイパに尋ねた。
「べ……別に、あんたとえっちなんてしたくないんだから」と、イパは拗ねる。
「それじゃぁ、俺はルリとえっちしてる」
「え」と、イパは寂しそうにする。
「きゃううきゃうきゃんきゃんきゃんきゃんうきゃんきゃうきゃう」
 ルリはもう何を言っているのかわからなくなっていた。
 イパは俺とルリを物欲しげに見つめていた。無論、イパが欲しいのはおちんちんだが。
 快楽がまた俺の体に迸る。
「ほーら、ルリ、俺の精液はどうだ?」
 ルリは無言でうな垂れていた。目の輝きは失せ、口から俺の精子が混ざった涎を垂れ流す。ルリから垂れた涎が膝に流れる。熱い。
「ルリは俺に忠実なオナホだ。無言で俺に身を任せればいい」と、俺はまたルリを揺らす。俺が生まれた世界でオナホを使うように。
「ねぇ」と、背後からイパの声がした。
 俺はルリを揺らしながら、後ろを振り返った。
 俺の目線の先にいたイパのスカートは濡れていた。そして、スカートの中から液体が流れ出し床に水溜りを作っていた。
 しかし、俺は構わずにルリを揺らした。ルリは声をあげる気力も無くなっているようだ。ルリの育ち盛りの胸に唇をつける。まるで肉まんを食べているようだ。苺たっぷりのまん。ぷにゅ。ぷにゅにゅ。もむ。舌先でルリの乳首をなめる。尖った乳首は口の中でコリコリしている。しょっぱい。甘酸っぱい。俺はルリを味わう。乳首からルリの母乳が出る。俺はルリの母乳をすする。
「ねぇったら」と、イパが言う。
「うるさいな。俺はルリとえっちしてるんだぞ。大人しく寝てろよ」と、俺はルリの胸から口を外し、イパに忠告する。口内はまだルリのミルクの味がしている。
「いじわる」と、イパは叫んだ。「何よ何よ。さっきからルリばっかりと気持ちよくなっちゃって。少しは私のことも考えてよ」と、イパは消えそうな声で言う。
「考えない」と、俺は言った。
「ううう……」
 俺はラブドールと化したルリに何度目かの射精をした。
 俺はルリを抱きかかえ、椅子の上にそっと置いた。うな垂れたルリはラブドールのようである。そして、一歩、一歩、イパに近づく。
「イパは何をして欲しいのかな?」と、俺はイパの顎を人差し指で上げる。
 イパは悔しそうに俺はにらみつける。
「もう、おまんまんが濡れてるじゃないか。いけない子だ」
 俺はスカート越しにイパの性器を指でなぞる。スカートが染みるくらいである。当然濡れている。イパのとろみは下まで垂れ下がり水溜りを作る。とろりとした感触が指に伝わる。親指と一指し指でイパの愛液を弄る。ねっとりとした感触。
 イパは恥ずかしそうにうつむいている。うつむいたイパの顔はりんごのように真っ赤になっていた。真紅のりんご。
「はぅぅ……」とイパはうめく。
「イパは何して欲しいのかな」と、俺はイパに顔を近づけて尋ねた。
「ぇっ…ち……」と、イパは小さくつぶやく。蚊が飛ぶ音よりも小さな声である。
「そんな小さな声じゃわからないよ。そろそろ、俺は寝ようかな」
「えっち」と、イパは健常な耳を持つものなら聞こえそうな声で言う。
「イパが俺に何をしてほしいのかわからないよ。もっと大きな声じゃなきゃ」
「えっち!」と、イパは叫んだ。
 ピシンとびんたの音が宿屋に響く。俺はイパの頬を叩いた。イパは吹き飛ばされて床に倒れこんだ。イパを虐めたくてしょうがない。俺に無償の愛を注ぐイパを虐めて虐めて嫌われるほど虐めても好いてくれる存在をもっともっと虐めたい。
「ご主人様に礼儀を頼むときには、頼み方っていうのがあるだろ?」
「えっちがしたいです」
「誠意が足りないな。そんなことじゃ、面接には受からないぞ」
「面接って何ですか……?」
 俺の生まれた世界についてイパは当然知らない。
「戯言を言うな。雌豚」と、俺は一括した。俺は人差し指を地面に指して「ゲザれよ。ゲザって頼め。淫乱の家畜が」
 イパは膝を寄せ倒れた姿勢から土下座する姿勢を作った。
「ご主人様、えっちがしたいです」と、イパはお願いする。
「いいだろう」と、俺は言った。
 イパは顔を見上げる。太陽が出てきたように、にぱっと笑顔になる。
「その代わり条件がある」
「どんな条件ですか」と、イパは高らかに言う。どうやら、俺とのえっちが楽しみで胸を高鳴らせてるようだ。
「俺の足を舐めろ」
「足をですか?」と、イパは顔を傾ける。
「ああ、そうだ」と、俺は片足で立ち、靴下をおもむろに脱ぐ。「舐めろ」
 しゃがんでいるイパは俺の足を大切そうにつかみ、顔に近づける。「くさっ」と、イパは顔を背ける。
 そこですかさず俺はイパの顎目掛けて蹴りを入れる。
 イパは床に倒れこむ。
「三日も足を洗ってないから当然だ。ご主人様の足の裏をくさいだなんてお前捨てられたいのか?」
「捨てられたくないです」
「生ゴミにだしちゃおうかな」
「やめて。やめて」と、イパはがむしゃらに泣きながら、俺の脚にしがみつく。イパの顔面は涙でぐしょぐしょに濡れていた。イパは泣き顔も可愛い。
「じゃぁ、足を舐めるんだな」俺はイパの口元に足を近づける。
 イパは女の子座りをし、俺の足裏を舐める。舌がなめらかに、ゆったりと動く。
「指をしっかり舐めてくれ」
 イパは俺の親指をしゃぶる。イパは俺の足の指と指の間をしっかり味わう。にゅぷ。にゅる。と、唾液と指の垢が交じり合う音が骨を通じて聞こえる。
「あんたの指。臭くて。しょっぱい」と、イパは言った。
 そして、足の指を次々としゃぶる。
「俺の足を綺麗に綺麗にするんだ。そのいやらしい舌でな」
 イパはコクリとうなずきながら足を舐め続ける。
 はふ。じゅぱ。ちゅる。じゅる。
「もういいだろう」と、俺はイパから足を抜く。
 イパの口元から涎が垂れる。
「ベッドの上で寝てろ。えっちしてやる」と、俺は言った。
 そう言った瞬間、イパは大きな笑顔を作り、「やったぁ」と喜ぶ。
「えっちしたいだなんて、イパは本当にいやらしいな」
「わたし、いやらしくないんだから。ご主人様がいやらしいだけよ」と、イパは顔を膨らませる。

 イパは裸でベッドの上に倒れこむ。
 瑞々しいイパの肌がむき出しになる。イパの体は細く、抱きしめると折れてしまいそうである。イパのぷっくらとした膨らみかけ。膨らみかけのプリンの上にのる、うっすらとさくら色のさくらんぼ。イパの頬は桃のような色をしている。イパの膣は桃ゼリーのように、ぷにぷにと綺麗である。
 俺も裸になっていた。
「ねぇ」と、イパは甘えた声で言う。
 俺もベッドの上でしゃがむ。そして、イパの股に指を入れる。
「あん」と、イパは子宮から声を出したように言う。
「ぐしょぐしょに濡れてる。イパも俺と子作りしたいのか」
 イパは顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにする。
「何度も言うが、ちゃんと言わないとわからないぞ」
「ご主人様の精液を子宮の中に入れて子供作りたいです」
「よし、イパはよく綺麗に足を舐めたな。よくがんばった。ご褒美をあげよう」
 俺のペニスはギンギンとたっていた。
 イパは欲しい玩具を見つめる子供のように俺のペニスを見つめる。
 俺はイパに覆いかぶさる。
 すると、イパは俺の背中に手をやる。人肌のぬくもり。安堵感。
「来て……」
 イパの穴は桃色に澄んでおり、瑞々しく、ぷにぷにと弾力性がありそうである。穴から、どろどろと溶液が流れ出て、ベッドに染み付いている。
 そのイパの穴に、俺のドリルを突き刺し、イパに倒れこむ。
「あ」
 イパは目を見開き、汚染された川を綺麗にしてしまいそうなほど美しい声で悲鳴をあげる。
 そのまま俺はゆっくりとゆっくりと、イパの腹上で体を揺らす。
「あん。あ。ひゃう。やん。あ。あん。もっと。もっと。あん。ご主人さま。気持ちいい。あん。あん。ご主人様。大好き。好き」
 イパはキーキーと蝙蝠がなくように喘ぐ。吸血鬼もどきなだけある。 俺は体の振動数を上げていく。イパは顔を真っ赤にする。
「ご主人様。あん。気持ちいい。はふぅ。やん」
 イパは俺の体にしがみつく。両腕を俺の背中に回し、足を俺の腰に回す。まるで万力に締め付けられてるようだ。イパの胸が俺の胸と重なる。トクン。トクン。心臓の音が時計の音のように胸を通じて聞こえる。そして、ぷるるんとしたゼリー状の秘部で俺のペニスにしがみつく。
「ご主人様。ご主人様。あん。ひぐっ。ひゃふぅん。あん。ルリに何かとられたくない。あん。あん。イパのおまんこ。きゃん。イパのおまんこのほうがもっと気持ちいい。はふぅ」
 イパはベッドの上で素直な娘だ。
 そんなイパにしがみつかれた俺は益々興奮し、もっと揺れた。激しく揺れた。宿屋のご主人が地震でも起きたかと勘違いしそうになるくらいに激しく揺れた。
「ご主人。様。あん。だめぇ。ひぐっ。イパ。壊れち。ゃう。やん。はひぃ。そんなに激し。くする。なんて。お願いし。てない。イパの。子宮。壊れちゃう。つぶれ。ちゃう」
「お前が俺とえっちしたいだなんて言ったんだろ。俺の愛を受け入れないのか。お前は俺を愛してないのか」
「愛してます。愛してます。世界でご主人様だけ愛してます」と、イパは悲鳴をあげた。鼓膜が破れそうなくらいの悲鳴をあげた。
「それならいいだろう」
 対した意味もなく、理不尽なほどの無償な愛を俺にささげる「淫魔」は虚無を感じる。しかし、自慰をするときと同じように、今はその虚無を楽しんでいる。
 俺の妄想は毎晩、近所の学校に通う女の子が唐突に「えっちしよ」と言う妄想。妄想のために近所に通う女の子を視姦する。俺は女の子を家に連れ込み、犯す。犯す。時には監禁し調教。ときどき四肢切断して達磨にするのも乙である。晴れときどき雌豚。子ども犯す。
 たとえ、むなしくても性欲はとまらない。性欲は胸の中で白いシチューが作られ、鍋からあふれ出す。鍋からあふれ出したシチューは川となり海になり、星になる。
 そして、このあふれたシチューが股間からあふれ出た。
「ひゃうううううぅぅぅぅ」と、イパは俺が生まれた世界まで届きそうに叫ぶ。絶頂だろう。
 絶頂に達したイパは「ひぃ。ひぃ」と、甘酸っぱい苺のような呼吸を繰り返す。
 これは世界一気持ちいオナニーである。例え相手がいてもオナニーにしか過ぎない。ダッチワイフとエッチするのはオナニーだ。ダッチワイフにロボットが入ってもオナニーだ。それと同様に「淫魔」と交わるのもオナニーだ。オナニーは娯楽ではない。あふれあまった性欲を解消するための楽しい手段である。俺はいまだに童貞だ。
「寝ちゃったの……?」と、イパは尋ねた。
「気持ち悪かった」と、俺は言った。
「え」と、イパは寂しげに驚く。
「ルリの方が気持ちよかった」と、俺はうそぶく。
 気持ち悪かったのは本当だ。イパと交わったことではない。女の子と交わってるのに、自身が童貞であるという矛盾。この矛盾に嫌悪感を抱いたからである。
 それに加え、イパに意地悪したかった気持ちもある。
「くやしい。くやしい」と、イパはもだえる。「ご主人様。仰向けになってください」
 俺はベッドの上で仰向けに沈む。俺の裸体には東京タワーがそびえ立つ。俺の股間は東京タワーと比喩のできるほど大きかっただろうか。
「私のまんこの方が、ルリなんかよりずっと気持ちいいんだから」と、イパは言いながら俺に馬乗りになり、桃色の入道雲を東京タワーに重ねる。イパの股が俺の東京タワーで膨らむのが見える。「ひぐ」と、イパは可愛らしい声を出す。
「私のまんこで、あんたのおちんちんを快楽の彼方へ飛ばしてやるんだから。飛びすぎて天国に行っても知らないわよ」と、イパは怒鳴る。
 イパのレモン味の唾が俺にかかる。
 東京タワーと合体してバベルの塔になったイパはゆっくりと、俺の上で踊る。イパの小さな膨らみは、小さく揺れる。
「あん。どう。ルリのおまんこより。気持ちいいよね。あん。ひぐぅ。あん」
 俺は何も反応を示さなかった。
「少しは反応しなさいよ」と、イパはもっと激しく揺れる。小さな膨らみは小刻みに揺れる。
「あん。あん。らめぇ。あん。あふぅ。ひぐぅ。あん」
 ベッドが軋む音。一階まで聞こえそうな音。揺れる。揺れる。ゆらゆら揺れろ。一階の天井のほこりよ落ちてしまえ。
「ご主人様のおちんちん気持ちいいいい」
 結局自分で気持ちよくなってるじゃねえか。と思いながら、イパの中に俺をいっぱい出して、そのまま意識が飛び、闇の中へ落ちる。
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