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終わりなき君へ/G.E.

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“でも、それより何より今日は疲れた。……早く帰って休もう。”
 そう僕の胸の内が綴られ、全てが停止してしまった世界。
 放課後の教室、そこに僕がいる状態で、全て止まってしまった世界。
 ――そんな世界に僕は置き去りにされている。
 動くことも出来ずに、ただ次の文章が綴られるのをただこうやって待つことしか出来ない僕。
 自分が何者であるのかなどは、僕が一番良くわかっている。僕はこの世界の唯一の生存者だ。
 僕を読んだ者が観察者だとすると、僕を綴った者が創造者、そして、この世界で唯一生きている僕はこの世界の生存者となる。
 僕の心の中という文が、この世の全てとなって表現される世界。それを観察者が読むことによって、真の意味で世界として誕生する僕の生きている世界。
 続きが綴られることの無いこの世界で、僕はまばたきすら出来ずに、ただこうやって静止していることしかできない。
 しかし、止まっていたはずの僕の思考がこうやって綴られているということは、再び時が動きだすというこなのだろうか?
 誰かに問いたくとも、全ては静止したままだ。次の場面に移り変わるということも無い。
 そして、僕がこうやって停止していた時に、こんな思考をし、こんなことをただ考えていただけなどというのは、全てが再開した時には無かったことになっているだろう。
 もしかしたら僕は、この“僕”という主人公に宿らされた仮初の人格にすぎないのかもしれない。――いや、事実そうなのだろう。
 停止している間の、創造者から観察者へのちょっとしたサービス。それが僕という、この何もかもが静止した状態で綴られたモノだったとしたら……。
 でも僕は知っている。僕が何かをして何かが変わるわけでもなく、結局のところ、どうすることも出来ないと。
 何も出来ないことに不満がないと言えば嘘になる。だが、僕はある意味で安心している。僕としてのこの物語はもうすぐ終わるからだ。
 このあと、この世界がどうなるかは、僕には分からない。だが、この僕としての僕の物語はもう直ぐ終わる。
 終わりなき苦痛よりも、この終わりある幸せを噛み締めつつ、僕は消えゆくとしよう。

 今年の抱負「やることをやる」
6

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