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第一局 俺は王将

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将棋無想


第一局、『俺は王将』


 俺の名前は王将!
 これは出オチではない。かといってラーメン屋でもない。
 全方位進めるのはダテじゃない。
 戦いの盤上で天下無双を目指す男だ。
 俺は……俺より強い駒に逢いに行く……!


「王将、キサマを倒すのはこの俺だ!」
 立ちふさがるのは『香車』男のクセにちょっといい匂いのするニヒルなヤサ男だ。
「香車……か、お前は俺に何度倒されればわかるんだ? お前如き俺の敵ではない」
「ほざけ! 我が信念の槍『ストレート☆ディスティニー』を食らえ!」
 香車の両腕が一本の剛槍と化す。
 空高く舞い上がるとこの俺めがけてスパイラルスパスパ。
 高度、落下速度、回転、これを食らえばいかな俺でもひとたまりもないだろう。

 ……そう、食らえば……だ。

「バカの一つ覚えだな香車! 俺が全方位動ける事を忘れたか!」
「な、なにぃ……!?」


 神技!縦横無尽回避!


 俺は迫り来る香車を紙一重でかわした。そう、右に移動してかわした。右にだ。
 狙いを失った香車の体は地中深くめり込む。
「ぐは……そ、そんなバカな……こ、これでは、こんなバカな事が……!」
 香車は血を吐いた。『ストレート☆ディスティニー』の威力は強大すぎるゆえにかわされればその反動は技を放った者に跳ね返るのだ。
「くそ、これではもうどうする事もできない……お、俺は……」
「香車、お前は後ろへは下がれない。チェックメイ……詰みだ!」
「……キ、キサマ……今チェックメイ……!」
 振り返り様俺の手刀は技を外され左後方に無様にめり込む香車の首を跳ねた。
「まずは一人……」
 
 もはやコレは今までのような訓練ではない。
 積み重ねてきた技、経験、知識、全てをココで吐き出す。生き残りをかけたバトルロワイヤル。
 敗れた者にあるのは血と生首、動く事のない肉の塊。
 俺は俺ではない者全ての息の根を止めねばならない。
 共に学んだ学友、苦楽を共にした仲間……その全てを殺さねばならない。
 この盤上で最強の駒となるために……!
 

 戦いは盤上!
 波乱は万丈!
 目撃ドキュンなこの戦い!
 幕を開けるは『大!将棋大会』
 駒と駒が血で血を洗うこの戦い
 勝者は敗者を従え、盤上を支配する
 この世で一番誰が強いか
 ただそれ一つを問うために
 男達は戦う!
 いいか、この物語は男しか出ない!
 男が男と戦い、勝ち、或いは敗れ
 男の血と汗と体液がアレする物語だ!
 美少女の登場とかは一切期待するなッッ!!!



 ……『次回第二局 美少女戦士桂馬推参だぴょん』をお楽しみに!
 
 
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