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朝、起きる。窓の外の空は、どんよりと灰い空。
だれもいない。人がいない。
着替えて、外出の準備をする。外に出る。灰い空。空気までも灰い。
街からは色が抜けていた。
駅前の通りに出る。人がいない。裏通りに入る。
人が歩いていた。うつろな歩き方。また一人、うつろな歩き方。
きびすを返す。同じようなうつろな歩き方の人々が、そこらじゅうに徘徊している。
男、女、年寄り。子供はいない。
逃げる。自分の部屋の方面の道は、すでにゾンビでいっぱいだった。
「ぅっあっ」、ゾンビの集団に人が襲われた。その人はゾンビになった。
逃げる。とにかく、逃げる。足から力が抜けそうになる。
数が多い。追い詰められないように逃げる。
自分の知らないところまで来ていた。助けは? まともな人はいないのか? いないのか?
小道から、ゾンビが押し寄せてくる。不意を付かれた。あせって、小さいビルの階段を上ってしまう。
ゾンビはどんどん、階段を上ってくる。踊り場に出る。ビルの中へ入ろうとする。
ドアを開けると、ゾンビの顔。声にならない声を上げ、心臓が止まりそうになる。
下からゾンビがぞろぞろ上がってくる。囲まれる。
もう・・・
ゾンビの中に飛び込む。もみくちゃにされる。
「 ―! 」、血が・・・血が・・・。思考がうつろになる。灰色になっていく。身体中が腐っていく。
もう痛くない、痛くない・・・
不思議な連帯感。獲物を探しに、同じ方向を目指す。
・・・目指す?
目の前のゾンビが振り返って、俺の顔を見る。
周りのゾンビが一斉に襲い掛かってくる。
噛み付かれ、食われる。痛みはない。
止めてくれ。止めてくれ。
俺はゾンビだ。ゾンビになったんだ。俺は仲間だ。助けてくれ。
助けてくれ。
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