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――――時は五月の半ば頃。

「はぁ・・・どうすっかな」
俺は非常に悩んでいた。
それもそうだ、今手元には50円しかないのだ。
しかし俺はコーラがどうしても飲みたい。炭酸は嫌いだが、だからこそ今無性に飲みたいのだ。
俺は自販機を蹴った。コーンポタージュが出てきた。ラッキー。
家に帰り、缶を開けて飲んだ。うまい。
ふと、床に無造作に置かれた封筒を見る。
「そういえばこんなのも届いてたな・・・」
差出人は不明、さっき中を見たがわけのわからない事しか書いてなかった。
再び手に取り、読む。
『人生、やりなおしませんか?詳細は××まで。』
本当はもっと長々と書いてあるが、要するにだいたいこんな事だ。
正直俺は人生をやり直すほど困ってないし、借金も特にない。
酒もタバコも賭け事もやらないし、実家暮らしなので金も・・・まぁ好きに遊んで困らない程度には余っている。
けれども何となく気になってはいた。
この手の漫画は好きだったからである。
「よくわかんないけど、色々賭けさせられたら帰ればいいか・・・」
そう思って、指定の場所に向かったのである。

そして・・・

「ようこそ、諸君。今日集まったのは、とあるゲームに参加して頂きたいからだ。」

偉そうな爺さんの説明に、よっしゃきた、俺はそう思った。
漫画とかでよく見るシチュエーションに俺は感激していた。
もちろん、参加する気は毛頭ないが、この雰囲気を味わうために来たのだ。
辺りを見回せば、浮浪者と見まごう汚い男や、いかにも金に困ってそうなオッサン、冷やかしに来たDQN等、まさにいかにもってメンツだ。
話を聞いてすぐ帰るつもりだったが、適当に降りながらゆるゆる参加するのもアリかもしれないと思った。
とまぁそんな風に思っている間にも、話は進む。

「まず、お前らの手元には百万円が配られている、今回はそれを使ってゲームをする。
 参加者は今ここにいる五万人、ルールは後ほど説明するが、その前にひとつ言っておきたい。
 今手元にある百万円を持ち帰るか、ゲームに参加するかは自由だ。参加すればもっと金を得る可能性もあるし、逆に失う可能性もある。
 失う、と言っても今手元にある百万円よりも大きい額、つまり借金が発生するという事はないので、安心していただきたい。」

・・・ん?
俺は色々と疑問に思ったが、とりあえず話を聞き続けることにする。

「今の話を聞いて、参加したいと思った者はここに残り、持ち帰りたいと思った者は帰ってよろしい。」

それを聞いて、一人、二人、三人・・・次々と人が帰っていく。
俺は不安になった。
こんなうまい話があっていいのか?と。
気がつくと、もうほとんど人は残っていなかった。
最終的に五万人中、47人が残った。
単純計算で500億円ほど持って帰られたことになるんだが、スポンサーはどう思っているんだろうか。

「お前らは残るのか?それとも帰るのか?言っておくが、持ち帰る事に何らペナルティは無いし、外に出たら黒服が待ち構えているなんて事もないぞ。」

その一押しで、また人が減る。減り続ける。
最終的に、俺だけが残った。

「すまんが、一人ではゲームが出来ないので、帰ってもらう。今日はご苦労だった。」

・・・終わってしまった。
俺の手元には百万円と、少しむなしい気持ちが残った。

――――――EASYGAME ...end
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