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情熱はいつも眩しくて

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 俺とミーナは森を進んでいた。
 もうすぐ出口なんじゃないだろーか。
 風の流れを感じたりする。
「なんか、妙な気配がしない?」
 ミーナが言った。俺はうーんと考え込んだ。
「難しいな。気配とはなんだろう」
「やなかんじってことよ」
「それがよくわかんねーんだ」
「お気楽なもんね」
 ミーナは呆れた。
「それでどうして天才剣士なんて名乗れるんだか」
「いや、もうそれ撤回するわ。普通でいいです」
「撤回とかだめ」
 えー。
 俺はぶーたれながら剣を茂みに当てたりした。
 子供の頃、よくこーやって歩いたなあ。
 昔はよく、ミーナと手をつないで村の祭りに参加したりしたもんだ・・・
「うう」
「ちょ、ちょっとどーしたのよアルグス!?」
 いきなり泣き始めた俺にミーナがあたふたした。
「あたしなんかひどいこと言ったっけ!?」
「ちがうんだ。なぜだか急に涙が止まらなくなって」
「疲れてるのよ」
「そうかもしれないなあ」
 俺たちは一休みすることにした。
 苔の上に座り込む。
 ミーナがお弁当を取り出した。
「はい、あーん♪」
 サンドイッチを食べさせてくれるミーナ。うめぇー。
「はふはふ。うめぇ!」
「そ? ならよかった」
「やっぱり魔法使いのメシは最高だぜ」
「調理方法が違うのよ、腕もいいし」
「そういうことだな」
 俺たちはしばらくのほほんとした。
 小川が流れていく。
 それを見ながら俺は思った。
 平和っていいもんだな・・・・・
「なあミーナ。俺はもう闘うのをやめようと思うんだ」
「なんで?」
「だって疲れるし。大魔王とか、別に何もしてこなくね?」
「そんなことないでしょ。みんな困ってるし」
「なんとか話し合いでどうにかできないかな」
「無理でしょー」
「そこをなんとかさあー」
「いやー」
「無理かあー」
 俺は諦めることにした。
 そしてゆっくりと立ち上がる。
「よし。じゃあ冒険を続けようか!」
「アルグスはそれでいいの?」
「いいんだ。俺はもう、いいんだよ」
「アルグス・・・・」
 なぜか涙ぐむミーナ。
 俺は笑顔を浮かべて見せた。
「なんとかなるって。・・・・あっぶねえ!!!!!」
「えっ? きゃー!!!!!!」
 ミーナを狼が襲った!!!
 俺はタックルで狼を吹き飛ばした。
「この野郎! ぜってえにゆるさねえ! うおーっ!」
 俺は剣を抜いた。
「獄炎よ唸れ! 悪しきを滅する鎖たらん! ジャルジャネス・ドルーン!!!!!」
 俺の剣がぼおおおおおおっと凄い炎を出して狼を一刀両断した。
 勝ったぜ!
「やったね、アルグス!」
「あたぼーよ! ああああ!」
 喜んだのもつかの間。
 俺の剣がなんとへし折れてしまっていた。
「俺の剣が・・・・」
「アルグス・・・・」
「畜生、でも、諦めないぞ。俺は新しい剣を手に入れるんだ!」
 あっはっは、と笑う俺にミーナは優しい目を向けてきた。
「あんたは変わらないわね、アルグス」
「そうとも。俺は変わらない・・・変わったりしないんだ・・・」
 そんなことを考えているうちに、また眠くなってきてしまって、俺はコロンと横たわったのだった。


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