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六月十七日の「なぜなに古事記」(英語で言うと質問コーナー)

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 このコーナーは、読者の皆様からの質問に対する回答を掲載するコーナーです。
 とはいえ、別にそんな難しい事しか質問しちゃいけないわけではありません。少し気になった程度の事でも構いませんので、ドンドン質問しちゃいましょう。知らない事は当たり前の事です。知らない事を知らないままにしとくのが問題なわけですからね。
 なお、質問は、コメント欄からでもツイッターからでもどちらでも構いませんので、随時お待ちしております、はい。
[6] なんかニニギのミタマ? とかいうのが強いんだっけ? <2014/06/15 00:24:37> LnOI6tM1P

 多分、和御魂(にぎみたま 以下:ニギミタマ)の事だと思います。
 これは神様の「霊魂」というか、「思い」というか、そういうものの事です。元々は神道の言葉で「にきたま」と呼ばれ、それが「にぎみのみたま」になり、現代では「にぎみたま」と呼ばれています。
 ただ、このニギミタマとは別に、荒御魂(あらみたま 以下:アラミタマ)と呼ばれるものも存在するのです。
 例えば、漫画でキャラクターが頭の中で色々悩んでる時に、天使の格好をした自分が叱り、逆の方向で悪魔の格好をした自分が誘惑する、という場面を見た事がありませんか?
 ザックリと言えば、あれがニギミタマとアラミタマの関係です。天使の方がニギミタマで、悪魔の方がアラミタマですね。
 ただ、このニギミタマとアラミタマは、単純に「善と悪」という意味ではありません。むしろ、場合によっては、アラミタマの方が正しいという事も少なくはありません。
 この二つの霊魂の役割は、

ニギミタマ……優しさの心・信愛の心。世界の平和と調和を重んじる魂。自分ではない誰かへの慈悲の思い。
アラミタマ……勇気の心・決意の心。荒ぶる力で意志を貫く魂。苦境を耐え忍び、前へ出る思い。

 簡単に言えばこんな役割があるのです。更に言えば、ニギミタマに関しては、更にここから分裂し、幸御魂(さちみたま 以下:サチミタマ)と奇御魂(くしみたま 以下:クシミタマ)が生まれます。

サチミタマ……他に対する愛情・育成。思いやりと感情。
クシミタマ……他に対する分析・理解。冷静と観察。

 このような役割をそれぞれ担っています。
 これらをまとめて、「一霊四魂」と呼びます。一つの霊に対し四つの魂が宿っている、というそのままの意味ですね。
 ちなみにこれは、神であれば誰でも持っているものです。スサノオやアマテラスに関わらず、ぽっと出の一発屋神であろうが、分け隔てなく持っているものなんですね。人間でいう「感情」が一番近しいかもしれません。
 ですので、例えば「須佐乃男命の和魂」と書かれていれば、それはつまり「スサノオの優しさの心」という意味です。
 更にちなむと、「大和魂」なんて言葉を聞いた事があると思うのですが、それもまたニギミタマが元となっております。つまりこれ、「大いなる優しい心」という意味なんですよ、実は。「大和」という言葉だけでも同様です。
 不謹慎ではありますが、「大和魂(やまとだましい)!」と叫びながら何かに特攻するというのは、これは実は、加護は得られない事になります。正しくは「大荒魂(おおあらのたましい)!」と叫ばなければならなかったのです。……特攻なんてしないのが一番なんですけどね。


【追記】
 先日、読者の方から「もしかしてこの質問ってニギミタマの事じゃなくて『邇邇芸命(ににぎのみこと)』の事なんじゃないの?」というご指摘を頂きましたので、追記の形で邇邇芸命の説明をさせていただきます。

 邇邇芸命(ににぎのみこと 以下:ニニギ)とは、スサノオのように追放という形ではなく、またオオクニヌシのように出雲生まれの出雲育ちでもなく、初めて、天上世界からの命により正式な形で出雲に降臨した神様の事です。
 ニニギは、タケミカヅチの働きによって、天上世界が出雲を統治する準備が出来た時に、「じゃあ実際誰が出雲行く?」との会議の中で、アマテラス直々に「じゃあ貴方行って来て」と命じられた神様なわけですね。
 そしてニニギは、初めて「出雲を統治する天上世界生まれ天上世界育ちの神様」になります。そして、このニニギが出雲に降り立つまでのエピソードを「天孫降臨(てんそんこうりん)」と言います。
 そしてその後、ニニギは、出雲生まれ出雲育ちの女神様と結婚し、その血統は、スサノオとはまた別の「天上世界と出雲世界の神のハーフ」の血統を紡ぐわけです。
 ただまぁ……このニニギもまた、スサノオに負けずとも劣らない中々の外道っぷりを発揮するというか、その後の日本人延いては人間そのものの大業の根源というか、とにかく取り返しのつかない事をやらかすわけですが、それはまたおいおい……。
 ちなみにこのニニギ、正式な名を、天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめのにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと)というアホみたいに長い名前でして、一部の学者ですらその名を省略されて邇邇芸命(ににぎのみこと)と呼ばれる始末なのですね。
 また、そのせいか、このニニギには別称もありまして、これを「天孫(てんそん)」と言います。天孫降臨というのは、ここからの派生かと思われます(未確認、要検証)。この「天孫」というのは、「天照(アマテラス)の孫」という事で命名されました。そう、彼はアマテラスの孫なのです。
 あの気性の荒いスサノオが、自分が苦労して培った出雲の世界を明け渡す際、「ふざけんなコラー!」とならなかったのは、それが大好きなお姉ちゃんであるアマテラスの孫だったからかもしれません。
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[13] 現在の貨幣価値でなんたら県ってどういう意味ですか? <2014/06/17 01:40:28> SH3nVTA/P

 すみません、これはネットスラングネタです。元出はアニメ版「闘牌伝説アカギ 闇に舞い降りた天才」の抜粋となります。
 この場合、「須賀(現代の貨幣価値で換算すると島根県である)」との記載があった場合、それはつまり「須賀(現在では島根県)」という事です。
 今後も自重する事なくガッツガツにネットスラングを使おうと思っているのですが、あまりにも「元ネタわかんねーよ」とか「コアすぐる……」とか「これじゃ意味伝わらないだろ! いい加減にしろ!」などの意見があった場合、元ネタ説明コーナーも設けようと思います(使わないとは言ってない)。
[19] 『レッツ!!古事記』について一言。 <2014/06/22 00:16:14> ZXqVuq11S

(読んだ事)ないです。というわけで、ググってみました。
 いいのではないでしょうか? 基本的に日本神話ってギャグなので、こういう形で伝えられるのは好ましいと思いますよ。というか、筆者も同じような事をしているわけですし。
 ただ、筆者の中で絶対的なルールを作ってはおります。
 それは、「あくまで事実を述べるに止め、それに伴う感想を強いてはならない」という事です。
「○○が○○でした。なので、○○な事を心掛けましょうね」ではなく、「○○が○○でした」のみを伝えようかな、と。
 それについてくる感想や教訓は、各々が各々で自分なりに決めればいいと思います。それを強制するのは、物書きとしての領分を逸脱していますからね。
 くどいかもしれませんが、筆者は事実を事実として伝えるだけです。物書きであって宗教家ではありませんから。
 ただまぁ、ネタとしてなら「○○ですね」とかは使いますけどね(使わないとは言ってない)。
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[21] 古事記って乞食と関係あるのですか?馬鹿な質問ですみません <2014/06/22 19:42:33> BVH6/t/1P

 全然おkです。というより、この世に馬鹿な質問など存在しません。大なり小なり「知りたい」という気持ちから生まれた質問には、等しく大いなる価値があります。

 というわけで、「古事記」と「乞食」の関係ですが、結論から言いますと、全く関係ないとは言えませんが、ほぼ関係ありません。
 言うなれば、古事記は「こ↑じ↓き」と発音するのに対して、乞食は「こ↑じき」と発音する、くらいでしょうか。
 と、まぁこれだけでは少しさみしい気がしますので、もう少し長々と話しましょう。ウザかったらブラウザの「戻る」を押して、どうぞ。

 そもそもこの「乞食」、現代社会で言えば、不謹慎かもしれませんが、正直あまり良い印象がないかと思われます。
 しかし、この乞食というのは、元々は、れっきとした仏教の言葉なのです。
「お布施」というのをご存じありませんか? こう何て言うか……笠をかぶったお坊さんが、お椀を持ちながら行脚して、やれ小銭だのお米だのを入れてもらいながら旅をするあれが想像しやすいかと思います。元々は、あの行為にあてられた言葉なのです。
 乞食というのは、元々は中国仏典にて「こつじき・かっしゃ・かうしや」と翻訳されていました。それが現代的な漢字の読みに直され「こうじき」となり、それがいつの間にか短くなって「こじき」となったわけですね。
 この乞食ですが、実は、インドのヒンズー教やバラモン教の「お偉いさんが」行う、難易度の高い修行として登録されています。なので、例えばインドで乞食を行う人がいたとして、その人が社会的に貧民層に属しているとは限らないのですね。大企業の役員クラスで、乞食修行が終わった後はベンツに乗り回していたりするという現象が、割と少なくないのです。
 また、このヒンズー教やバラモン教が一般教養として認知されている国では、こういった乞食を見た場合は何かしらを恵むのがマナー的なものになっているという話を聞いた事があります。ホテルマンに対するチップ的な感じですね。「恵まない奴は常識がない」みたいな風潮があるようです。現在はどうかわかりませんし、実際そんな事はないでしょうし、そもそもこの話自体が眉唾なので、あまり真剣に捉える事はないのですけれどもね。
「じゃあ超楽勝じゃん!」と思われるでしょうが……いえいえ、そんな事はないのですよ?
 何も、恵みとして与えられるのは、食べ物や金銭とは限らないのです。決して冗談ではなく、牛の糞や何かが恵まれる事だってあるのです。ヒンズー教では牛は神聖な動物ですからね。「この糞を食物を育てる肥になさい」という意味合いで、普通に行われます。
 こうなってきたら、さぁ大変です。絶対的な掟として、「恵まれたものは糧とする」のがルールなので、何かしらの形で活かさなければならないのですからね。また、貴方に好き嫌い、延いてはアレルギーのある食物があったとしても、それも消化しなければなりません。やはり、自分の力で働いてお金を得て、自分の好きな事や物を手に入れるのが一番楽で確実なんだなと筆者は思います。

 以上の意味で、「古事記」と「乞食」に関係はあるのか? と言うと、仏や神の概念という意味でならある程度の関係はあるよ、という回答をさせていただきましょう。
[29] 元祖の相撲はずいぶんと異能力バトルだったんですね。ところでwikipedia見たらキジを殺そうぜって提案したのは妻じゃなくて側近らしいんですがまあささいなことですかね <2014/06/25 00:35:03> 3yINnq21P

(ささいなことじゃ)ないです。
 申し訳ありません、これは完全なミスでした。ご指摘ありがとうございます。
 アメノワカヒコにキジを射るように進言したのは、正しくは天探女(あめのさぐめ)という従者の女神でした。何が幸いって、この天探女が今後のストーリーにあまり絡まないのが幸いでした。もし結構重要どころの神様だった場合、取り返しつかない事になっていました。怖い怖い……。
 今後、このような事のないよう努めますが、もし再びこのような事があった場合は是非ご一報下さい。
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[32] タケミナカタって諏訪の神と戦ってなかったっけ? <2014/06/26 16:23:51> 3dtVTpw1P

 ご明察です。いよいよ詳しい方がいらっしゃいました。確かに『学者が助走をつけて殴るレベルの』を冠にはしておりますが、だからってまさか本当に攻めて来るとは思いませんでした。筆者も流石にこれにはガクブルです。マジで詳しい人に勝てるわけないだろ!(侮り)

 さて、ご指摘頂きました諏訪の神とタケミナカタの戦闘ですが、これは厳密には「あったけど正史ではない」と筆者は判断しました。
 と言いますのも、この諏訪の神とは多分、洩矢神(もりやしん)の事だと思います。で、この洩矢神とタケミナカタの戦いの伝承はありますが、これは「古事記」に記載されているものではなく、地域伝承でした。現代風に言えば「二次創作」の歴史なんですね。
 言うなれば、諏訪(現代の岡山県)の民が、古事記に記載された歴史を元に、地方の神を織り交ぜて造られた神話と言いますか……ちょっと難しいんですけど、とにもかくにも「二次創作」という表現が一番合います。んー……もうちょっと重要か。「作者が違う外伝」みたいな。
 ただ、「所詮二次創作だろ」と言うと、決してそんな事はありません。事実、この洩矢神は諏訪地方では結構な権力を持っていましたし、現代においてもこの洩矢神を崇める為の神社も存在するのです。そして実際に「諏方大明神縁起絵巻」というれっきとした資料も存在していました(現在は紛失)。神というものは、信仰あるいは認知によって存在が成立しますので、この洩矢神などは、下手を打てば正史のチョイ役神様よりも力があった神様かもしれませんよ。
 というかそもそも、この「古事記」や「日本書紀」自体が「天皇記」や「国記」の二次創作みたいなものなので、今となってはもう正史も二次創作もないようにも思えます。真の正史がこの世から消滅しているので、真偽が確かめられませんからね。
 さて、この洩矢神が何をした神様なのかと言うと、簡単に言えば、タケミナカタと共に諏訪の国を繁栄させた神様らしいです。「らしい」というのは、洩矢神に関する文献が少ない事が理由となります。はっきりとした事があまりわからないんですね。中には「スパルタ人も真っ青の超軍国主義者だった」みたいなのもありますし。
 元々、諏訪は洩矢神が統治していた国なのですけれども、じゃあ何でそこにタケミナカタが現れたのかというと、まさにタケミカヅチとタイマン張った時にタケミナカタが逃げ込んだ場所が、この諏訪だったわけですね。
 そしてタケミナカタは、「すいませんでした! もう自分しゃしゃりません!」とタケミカヅチと誓約を交わして、その場から動かない事を誓いました。それが、この諏訪です。
 当然、元々の統治者である洩矢神は「おいおい、勝手になにいってだ!」とキレますよね。いくら大御所オオクニヌシ様の息子だからって、そんな勝手は認められません。
 しかし、本章でも書きましたが、このタケミナカタという神様は結構気合いの入った神様で、ここで「なんだこの野郎!」と、洩矢神と喧嘩してしまうわけです。懲りない奴です。
 そして、ここがミソなんですが、この洩矢神とタケミナカタの勝敗の行方は……はい、出ました。「説」です。そう、多説あるわけですね。

・タケミナカタが勝ち、洩矢神を舎弟にした
・タケミナカタが勝ち、洩矢神を殺害した
・本当は洩矢神は勝てたけど、タケミナカタを倒す事で本国の怒りをかわないようにあえて負けた
・本当は洩矢神は勝てたけど、今後の諏訪の行方を案じて負けた形を取ってタケミナカタを引き込んだ

 とまぁ、知っている限りでもこれだけの説があります。一つ言える事として、どうやら事実上タケミナカタが勝った事は確定のようです。
 しかし不思議な事に、後の人々は、この負けた洩矢神の方を「軍神」として崇めたのだそうです。時の武将武田信玄(たけだしんげん)などは、戦の際は「南無諏訪南宮法性上下大明神」と書かれた旗印を掲げ、諏訪で造られた兜を被って赴いたんだとか。つまり、洩矢神の縁起をバリバリかついでいたわけですね。普通ならば、勝ったタケミナカタの縁起をかつぐように思えますが……これは不思議です。
 どうなのでしょうね……実際筆者としても、手元の古事記をペラつかせながら本作を書いている体たらくですので、もしかしたら案外しれ~っと登場するかもしれません。その時はごめんなさい。
 余談ですが、洩矢神を軍神として称える人に「でもそれならタケミカヅチの方がいいんじゃない?」と言うと、「タケミナカタに勝ったからって、洩矢神よりも強いとは限らないだろ! いい加減にしろ!」とキレられる可能性もありますので、くれぐれもお気をつけ下さい。……デリカシーがあれば、普通に察する事は出来るのですけれどもね。

 さてさて、ここらでちょっと筆者の趣味の話に倒錯していきますね。「これ以上はウザくなっちゃう、やばいやばい」って人はブラウザバックして下さいな。
 今、こちらの界隈では「東方プロジェクト」なるものが大いに流行っています。この東方プロジェクト作品の中に、実はこのタケミナカタと洩矢神、そして洩矢神社の巫女様をモデルにしたキャラクターがいるのですよ。ちなみに東方プロジェクト作品内で神社の名前は「守矢神社」になってます。
 タケミナカタがモデルにされたキャラクターを「八坂神奈子」
 洩矢神がモデルにされたキャラクターを「洩矢諏訪子」
 洩矢神社の巫女がモデルにされたキャラクターを「東風谷早苗」
 こんな感じで編成されているんですけれども……ちょっとこれ、結構驚きました。
 上記に記載されたうちの一人である、東風谷早苗というキャラクターなんですけれどもね……どうやら、本当に実在するらしいんですよ。現在、諏訪神社の神長官を務めてらっしゃいます、洩矢早苗さんというお方です。
 当然といえば当然なのですが、多少の名前の改変はされているものの、ほぼご本人様確定かと思われます。何が凄いって、そこまで調べた作者さんも凄いし、許可を出した洩矢氏も凄いし、それがまかり通る同人界隈も凄いです。
 こうして今日もまた、日本特有のオタク魔改造文化は繁栄していくんですねぇ……感心するやら恐ろしいやら。
[33] テンノーってこの神様たちの子孫ってことになってるのですか? <2014/06/27 20:46:44> 8UTMBcv.P

 Exactly(そのとおりでございます)。
 今上天皇は明仁天皇ですが、彼は125代目の天皇ですね。今上天皇とは、「今現在の天皇」という意味です。
 この天皇を初代まで遡ると、神武天皇という方が初代に登録されています。この神武天皇こそは、天孫降臨にて天上世界より出雲に降り立ったニニギの孫に当たるお方なわけです。
 イザナギに始まり、アマテラスに受け継がれ、ニニギの代にて神様は寿命を宿命づけられ、そして神武天皇の代で現人神となりました。つまり、人間になったわけですね。

 余談ではありますが、この天皇として存在する現人神の彼らには、いわゆる我々のような「名字」というものが存在しません。
 例えば、今上天皇であらせられる明仁氏に関しても、「山田」とか「鈴木」とかの名字はありません。明仁氏は明仁天皇であり、それ以外の名は存在しないのです。
 これは何故かと言いますと、天皇とは「名前を授ける」という任も持っておられます。つまり、名に置いて頂点に君臨されるお方なわけですね。
 である以上、じゃあその頂点にあらせられる天皇に名前を授けるとなると、これがいないわけです。頂点なわけですから。
 そういう事情あって、天皇陛下には名字というものが存在しないのです。そうですね……あえてつけるとするなら、今上天皇であらせられる明仁氏に関しては、「明仁之男命(あきひとのおのみこと)」「明仁大神(あきひとのおおかみ)」って感じになるんですかね。

 そしてそして、余談に括るにはちょっと大事な余談なのですが、現在の天皇陛下の事を、決して「平成天皇」と呼んではいけません。これは絶対です。
「何で? 先代が昭和天皇なんだから、平成の天皇陛下なら平成天皇なんじゃないの?」と思われるでしょうが、これは大きな間違いなのです。
 昭和天皇の御真名は「裕仁」様というものです。従い、現役バリバリの頃は裕仁天皇と呼ばれていました。
 ならば、裕仁天皇が昭和天皇と呼ばれたのは、何時か? それは、お亡くなりになった時です。
 つまり、年号を冠にして天皇と呼ぶのは、お亡くなりになってからなのですよ。つまり、現在の天皇陛下を「平成天皇」と呼ぶのは、「お前は死人だ」と言っているようなものなのですね。
 これは不敬とか売国とかのワケワカメな妙ちきりんな問題じゃなくて、単純にマナーとして失礼です。なので、絶対に呼んではいけません。竜ちゃんじゃないです、マジで。
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