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カカシに会った
真冬の外は
白銀の世界が広がり
ポツポツと光がこの世界を覆っていく。
見慣れた景色はいつの間にか
幻想的な世界に変わっていた。

不思議と寒さは感じなかった。

「なあ、友よ。話をしようか」
「カカシとですか?」
私は言った。
「雪だるまならムードが出るんですけどね」
カカシはクククと笑った。
笑ったといっても表情は変わらない、ただクククと言っただけだ。
「さて、といっても話すことなどないのだがな」
彼はまたしてもクククと言った。
「あなたは寒くないんですか?」
「ああ、寒かないね。何たってカカシなんだから」
「君こそどうなんだ?こんな時期に君が外に出るなんて…」
「いやあ、たまにはコタツから出てもいいかなと…ね」
ふーん
カカシはそう言い、つづけた
「そうだ、君の家族は最近どうだ?元気にやってるか?」
「タクローのことですか?、なんせ長い付き合いですから。変わりませんよ…」
捨てられた私を本当の家族のように育ててくれた。
感謝しきれない。

雪はやむことを知らず
体に降りつける。
私はブルブルと体をゆすり雪を払った。
「浮かない顔だな友よ」
「そんな顔してました?」
「ああそうとも」
私はうつむいた。
「雪ってロマンチックですけど、なんか切ないですよね」
「だな」
「今年の冬は淋しいです」
「そうか…」
「タクローが彼女さんを連れてきて、いや別にその人はとても優しいし、美人だし…」
「うむ」
「でもなんかタクローが遠くへ行っちゃうようで、私の居場所がなくなりそうで…本当はそれで外に飛び出してきた所なんです」
「なるほどな」
「私も彼と一緒に並びたかった
でも、違いすぎる」
思いをすべて打ち明けた。
不思議と楽になった。
カカシなのにね
カカシだからか
「結局、君は彼と恋仲になりたかったのか?」
カカシに問われた。
「うーんそうゆうのとは違うんだ
です、ただ彼にとっての私はどのような存在なのかが知りたいだけかな」
ビューと風が吹いた
カカシがゆっくり揺れた

「なにか願い事はあるか?」
「唐突ですね」
「なにか一つだけ叶えてやろう」
「願い事…代償は?」
「は?」
カカシは思ってもいなかった返答で驚いたように気の抜けた声をあげた。
「いや、メリットとデメリットはセットでしょう?」
「ああ、別にいらんのだがなぁ…そうだなぁ。
君が今まで生きてきた中の苦しみや悲しみと引き換えということにでもしておくか」
「はあ…」
「要は君が今まで生きてきたご褒美ということだ、文句あるまい」
私は分かりましたと了承した。
そして言った。
「私は育ててくれた彼に感謝の気持ちを伝えたい」
「ふむ」
「そして彼が私をどう思ってるか知りたい。」

だって私の思いは届かないから…

だって私の声は伝わらないから…

だって私は


私は猫だから。

彼に拾われた
一匹の子猫なのだから。

「よかろう目を閉じよ」
私はいう通り目を閉じた
ゆっくりとゆっくりと意識が遠のいていき…

「おーいユキ!!」
彼が私を呼んだ
自分の手をみると丸々な肉球はなく、五本の指があった。
うそ?!
頭を触るとなにかサラサラしたものが…
「あれ?どちら様」
彼は私に気づいたようだ。
「あ…あの」
声がうまく出せない…
「こんなところにいたら寒いよ
ほら、あったまって行きなよ」
彼の手が私の手をつかむ
普段ではあり得ない状態
あったかい
タクローの手だ…



足跡はもう残ってはいなかった。
カカシもいつの間にかいなくなっていた。
何もなかったかのように真っ白な景色に飲み込まれていった。

白銀の世界の中
私たちは確かにここにいた。
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