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蛇神様の話

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祝福を受けた大地は、常にそれを憎む神々の亡霊によって
呪いをかけられていた。

蛇神は、亡き竜神の想いを受け継ぎ
密かに祝福の大地をその長い体で、文字通り身を挺して守っています

竜神は、大空を自由に翔け

天候を自由に操り

そして、人々にもっとも愛された神の一柱でした。

蛇神は、竜神に嫉妬していたのです。
同じ長い体を持ちながら、もっている力が全く違う


そんな折神々は集まり言いました

人間を、滅ぼそう

それに、竜神だけが反対したのです
蛇神はチャンスだと思い、言いました

「馬鹿げている。われわれが作った命だ、われわれの自由にして何が悪いものか!」

それは、ただ、竜神への嫉妬の心が招いた言葉だったのです

神々たちに連行され幽閉される竜神を
蛇神は何か、心に引っかかったものを感じながら見送りました
竜神は、すべてを達観しているようでした。



そして、人が滅ぶ約束の日。
蛇神は、竜神の幽閉されている場所へとこっそり出向きました。

「竜神よ、あなたの愛した人間は、今日私たちに滅ぼされるのだ
 悔しいだろう、私が憎いだろう。神々が、憎いだろう」

嫌味たっぷりに、蛇神は竜神へと声をかけました

「そんなことはない蛇神よ、私は、私の正義を貫いたのだ
 人間が滅ぼされることはとても辛いがそのときは、私も自分で命を絶とう
 私はここで、神々の答えを見守るつもりだ」

竜神は、それに対して
遠くを見るように言いました。


蛇神は急に自らの浅ましさが恥ずかしくなりました
竜神はすべてを受け入れ、自らも命を絶つというのです

たかが、人間のために命をかける竜神
かたや、竜神へと浅ましい恨み言を言う自分

蛇神は、竜神を縛る鎖を噛み切りました

「なんのつもりだ?蛇神よ」

「同じ神でも、俺とあなたでは、器が違う
 それに今気が付いたのだ、私はあなたが嫌いだった
 しかし、今はあなたの存在が私にとってひどく尊いのだ
 さぁ、行くがいい。あなたを愛した人間が
 あなたの愛を、そしてその力を待っている」


竜神はそれを聞くと、後は何も言わずに飛び立ちました
自らの死の待つ、戦いの空へと。






戦いが終わり、荒れ果てた世界の中
蛇神は、人間の吟遊詩人へと詩を伝えるように言いました
竜神の戦いを、竜神の心を、そして、神々の罪深さを。

そしてそれを人々へと歌い

人々の絶望を和らげるのだと


そして、蛇神は今日も守るのです
竜神の守った、人間たちを。

自らの体で、慈しむように、抱くように。
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