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終わってしまった話

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仕事を終え。タバコを一本くゆらせる

何かを終えた後のタバコは何よりも旨い。

気づけば俺以外には誰もいなくなっている。

「また、俺一人になっちまったか。」

別にそれが悪いことじゃない。

さっさと帰ろう、どっかへ。

何日も詰めていたためか、自分の体臭がヒドく臭う

さっきまでは全く気づかなかったのに。

「あー・・・うぜぇ。」

誰もいない虚空へ向かって小さくぼやく。

誰もいないのだから、もっと大きな声を出しても誰にも咎められることはない。

なんせ、俺しかいないのだから。

声にもならない叫び声をあげてみる

今まで得たことのない快感が体を走った。

クスリもセックスも所詮は偽者

本当の快感とはホド遠いものだと確信した

じゃあ、本物ってなんだろう?

もう一度、声を張り上げる。

だけど快感は得られない。

当然だ、さっきは湧き上がる力があった。

叫べと体が要求していたのだ。

とすると、俺が求めているものは脳じゃなく

体が求めるものだったようだ。

とすると、今は体は何を求めているのか?

脳は間違いなく、家へ帰ってこの臭いを落とすことを求めている

眠気はない、だったらやることは当然一つ

脳の求めることをすることだ。

しかし、さっき俺は気づいてしまった。

脳よりも、本能よりも強い衝動

体の奥底から溢れるものを。

今、体は何を求めているんだ?

「ふぅ・・・。くだらねえな。
 さっさと帰ろう。」

これで何度思っただろう、家に帰ろうと

しかし、まだ体は動こうとはしない。

既に体は脳の管轄を離れてるようだ。

ふわふわと浮いているような感覚

とても心地よい。

何故こんな単純なことに気づかなかったんだろう。

体は入れ物なんかじゃなく。

生きていることを。

生きているなら、当然体の求めることがある。

脳で考える俺とは違う意思がある。

そして、体の求めることは俺にとっても心地よい

ならば、すべてを体に任せたって構わないだろう。

「今日だけは、お前に全部やるよ。」

こうして俺は、考えることをやめ、すべてを体へと任せた。




















「それで、過労死したあの人に対して、会社側は執拗なサービス残業などを求めたのではないのですか?」
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