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6月25日更新文芸作品感想

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★6月25日更新文芸作品感想


今回の更新は2作品。
少ない。しかし1作は企画もの。読み応えはある。
2作品だけどどちらも密度濃いにおいが感じられます。
文芸にはここで感想書いてないけど、個人的に読んで楽しんでいる作品もあります。
そういう作品は稀にtwitterでおすすめしています。
しかし文芸は例外を除いてw 想像以上にコメントが少ないのが常。
その実状を目の当たりにします。
面白い作品沢山あるのだけど……。
文芸作品を読まず嫌いせず、色々読んでみれば色んな良作が発見できます。
コメントが少ないのにも意外に思うことがあります。
未開の地に踏み込む楽しみもあります。
私は個人的に味わい深い文芸、好きですよ。


感想対象作品は以下2作品。更新順に感想を書いていきます。


「ねむりひめがさめるまで」
「匿名で官能小説企画」




「めむりひめがさめるまで」   硬質アルマイト 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17948

アルマイト先生の最新作。
ニノベでは「週末のロストマン」を連載中。
本作品の感想を書くのは初めて。
作品登録は6月9日。勢いのある更新でかなり話は進んでいるよう。
最近まとめて読み耽ったので個人的には印象深い作品です。
そういえば、短編集も最近読ませてもらいました。
こちらもなかなか雰囲気が独特な作品でした。
文芸一グミの好きな作家さんです(雑学)。
感想いきます。



■各話ごとの感想
【泡沫の話一】
誰もが二人の関係を予め認めていたカップル。けれど不可解な事件は起こった。
序章にあたる部分でしょうか。情景描写と彼女といることで湧き起る感覚や気持ちの動きが丁寧。
ゆっくりと時間が流れる静かな様が印象的です。西日で二人の影は室内にだんだん伸びていく。美しい映像のように映える。

【一】真崎葵の日常
1~4
妻を病で亡くす一人の男教師・真崎葵はある日、奇妙な体験をして珍しい青い魚を拾った。
魚の色がとてもきれいに想像できます。ここで登場するアクアショップの店長・桃村も、なにか怪しい気配がある。何か彼は知っているのではないかと。気になる。
ミステリーな感じがします。しかし謎ときには全く今は証拠不十分。この手探り感がなんとも言えなかった。
次を読めば、次を読めばと引き込まれていく。これは魔法か?

【二】咲村朱色の泡沫
1~4
雪浪高校に通う咲村朱色は弟の失踪に疑問が絶えなかった。弟・真皓を探し出そうと保険医の協力を得た。
ずるずるずるっと引き込まれるホラーな感じ。この回での終盤です。
やはりそこが印象深い。
地面に引きずり込まれるのはひたすら怖いです。
アスファルトってどんな味? 土砂が肺や耳鼻を埋め尽くすのかと思うと口の中がジャリジャリするような気持ちになりました。嫌だな~。

【三】若苗萌黄の行くへ
1~最新更新分
学校の人関係では周囲に溶け込み争いを生まず。それが若苗萌黄の生き方だった。そんな彼女と交友関係を結びたい奇妙な女子が現われる。
これはなんだろう。やはりミステリーコロッケ? ホラーコロッケ? 確かに悲劇コロッケではあるのだけど……コロッケ。
奇怪な失踪事件をつうじた群像コロッケ。コロッケは割と好きな方です。
コロッケがおいしそうすぎて困りました。
日本の食べ物をリアルに書かれるとお腹がすいてたまりません!



■今回更新分までの総括的感想
文芸では作品を沢山完結させている優等生作家のアルマイト先生。作品を読むときの安心感と信頼性は抜群です。本作、今までのとはいっぷう違った、しかし吸引力のある作品でした。やや重く暗い雰囲気の作品です。
読みはじめ序盤、なかなかどういて良い意味でじらしてくれます。謎を匂わせるミステリー的な作品なのか、ホラーなのか悲劇なのか……。そのどれかに括るのは読者の(少なくとも私の)判断では下せなかった。とおもったらタグにめっちゃドンピシャで書いてあったw 日頃作品ジャンルは見るけど、タグをよく見ないで読むことが多いのです。なるほど感心です。どうりで俄然手探りしながら読んでいたはず。
加えて、なまめかしく美しい、色彩豊かな表現が魅惑的でした。物語の象徴となる「泡」でさえも、異質と感じつつ不思議と瑞々しい美麗なものとして恐怖感を彩ります。インパクトも強くて後を引く余韻として映像が残る。読んでいると知らず知らずのうちに物語に引きずり込んでくれました。
悲しみや疲れ、孤独や閉塞的な精神の病みが登場人物にはありますが、読み手はそんな彼らに一歩距離を置きながら、彼らの行動を追いかけることができる。けれど決して客観的に見過ぎて冷めてしまうのではなく、自分の憶測も交えながら「こうかな~ああかな~」と読まずにはいられない。
アルマイト先生の作品、稀に自分のもっている思想や価値観に訴えかけてくる強さを感じることがある。そう感じるのも感じないのも、読み手次第で自由であり、その訴えの強さに気づいたり気づかなかったりってこともある。だから決して押し付けてこない嫌味のない訴えの強さに好感を覚えます。これは多分文章が上手だからだろうな~。なかなか誰でもできないこと。
文芸作品であるだけに、本作でも多々散りばめられる文意の深さから、魅力的な文章が多かったように感じました。さすがです。
各話共通で登場する「泡」がどのように決着がつくのか、そのカギになる内容がちらっと出てきています。よって最終回まで見守るかたちで応援したい。ええそりゃもう! 泡が気になる気になる。
一回の更新で文章量が少ないわけではないのですが、ずるりと引きずられるように読み耽ってしまう一作。だから続きが気になって仕方がない。
「踊るには朱過ぎる月の夜に」こちらも更新待っている。
本作共に期待!



■作中印象深かった箇所
・目の前の女性と僕は多分、終わろうとしている。
なんて成熟した一文。終わるという言葉の重さ。なのにそれをものともしない若さと強さ。良い。
・突然主役の座に持ち上げられて、舞い上がらずにいられるだろうか。
参列者それぞれの目線で思考が違うのは尤もなところだと思う。けど何がって、彼女(若苗萌黄)の思考、死者が主役の葬式を見ず、生きる人が悲しみの底にある姿を見ることにのみ向けられている。イベントや祭りを見る感覚。そこに若さを感じずにはいられない。この若さを見事に書ききっている一文だと思った。
・私は悩んだ末に、絞るような小さな声で返事をした。
否定ではないけど曖昧で微妙な返し。どんな気持ちだったのか探りたい。OKというニュアンスの言葉が書かれていないところに奥深さを感じる。

以上この作品に関する25日更新分の感想はここまで。


94, 93

  


「匿名で官能小説企画」   みんな 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17887

くはー。 更新最初にきましたねw まさかさっそくぶつけてくるとはー(棒読み)。
そこにどんな意図があるかはさておき、前回の後記で書いていたとおり評価シートいきますかね。
全作品に懇切丁寧な感想を…となると膨大ですのでそれはいらないでしょう。
ですからかるく2~3行程度の感想を添えました。
全作品読んでから更に更新があり、未読分を含め新たに4作品読みました。
評価に一喜一憂あると思う。平均点以下でも泣かない。
直感でサクッとつけたので悪くても落ち込まない。こんなんどうせ好みだしw
つけた項目は4項目。

①キャラクター性:人物像が作中引き立っているか。
②物語構成:物語の出来、引き込まれるか。
③官能要素:本能的な快楽のうったえを感じたか。
④心揺れる魅力:いわずもがな、読んで魅力的に感じたか。



■以下各作品評価シート、更新作品順。


【あの娘ぼくが短小ち〇こ見せたらどんな顔するだろう】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★
官能要素 ★
心揺れる魅力 ★★★★
総合:3.5点
官能というよりギャグ。ネタやねこれ。笑うしかなかった感じです。出だしの前座になった感じは否めない。勢いを高く評価したい。
 

【ユリユリ】
キャラクター性  ★★★
物語構成 ★★★
官能要素 ★★★
心揺れる魅力 ★★★
総合:3点
仲良しの微笑ましさは伝わります。でも女の子二人の対比がもと欲しかったです。可愛いすぎ、小ぢんまりとまとまりすぎているように思えて惜しい。


【十字を背負う】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★
官能要素 ★
心揺れる魅力 ★★
総合:3点
情景描写が凄い。厳格さから犯すことのできない一線を犯すのかと思っていたら滑った感じです。エロティックな部分をもっといれてもらえるともっと高く評価したと思います。


【女教師の土曜の夜】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★★★★
心揺れる魅力 ★★★★
総合:4.5点
背徳感を官能で見せてくれる手堅い一作。何書かしてもそつなくこなす作家さんでしょうか。小奇麗すぎたかもしれません。


【変身ヒロインがヤられる】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★★
官能要素 ★★★★
心揺れる魅力 ★★★
総合:3.5点
お馴染みでエロさを裏切らない安心感をもてる作品。惜しいのは結末の想像がつきすぎたとこ。それゆえに引き込まれなかった。ボスキャラはいませんでしたね。


【UNDER MY SKIN】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★★★
官能要素 ★★★
心揺れる魅力 ★★★★
総合:3.75点
官能要素と心揺れる魅力の間で気持ちの往復が微妙。もっと乱れるエロさを感じたくなりました。


【陰茎☆骨折】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★
官能要素 ★★
心揺れる魅力 ★
総合:2.25点
せっかくの設定なんでせめてもっと官能要素をガツンと入れて欲しかったです。あとタイトルは本当にいたそうで恐怖です。


【トゥー・レイト・ねっとりオイルマッサージ風奴隷少女のガチ百合連続潮吹きショウ】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★
官能要素 ★★★★★
心揺れる魅力 ★★
総合:3.75点
これはせこい! 本当にせこい! あーせこい! 満月さん出してくるのは嬉しいに決まってる。 おかげで魅力減ってしまいました。 次回書下ろしを期待したい(いつ?)


【初夏の過ごし方】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★★★★
心揺れる魅力 ★★★★★
総合:4.75点
キャラクター性は弱めですが申し分ない出来を感じました。突出していた気がします。作品全体に漂う手練れ感は異常でした。


【僕たちの場合は】
キャラクター性  ★★★
物語構成 ★★★
官能要素 ★★★
心揺れる魅力 ★★
総合:2.75点
評価こそさほど良くないですがこういう正直な欲望も嫌いじゃない。 魅了される要素は少なめですが軽いノリは独特で勢いも悪くないと感じました。続編待ってる。


【輪に入る】
キャラクター性  ★★★
物語構成 ★★★
官能要素 ★★★
心揺れる魅力 ★★
総合:2.75点
エロい割に、なぜだろう、心惹かれなかった。申し訳ないが多分好みでしょうね。


【糖蜜と哀歌】
キャラクター性  ★★★★
物語構成 ★★★★
官能要素 ★★★★
心揺れる魅力 ★★★
総合:3.75点
読後、言いようのない余韻が残りました。


【デビュー戦】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★★
心揺れる魅力 ★★
総合:3.75点
アリだと思いますよ、アリ。これだけ書いてくれるなら全然OK。半分くらい読んだら先が想像ついたけど期待をもたせてくれた点と発想を評価。


【Sexaloid、暁にて。】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★
心揺れる魅力 ★★★★
総合:4点
着眼点が良かった感じです。台詞と人物像から書かれている以上に読後あっさりに感じました。


【live record】
キャラクター性  ★★★
物語構成 ★★
官能要素 ★★
心揺れる魅力 ★★
総合:2.25点
長すぎてだんだん疲れてしまいました。本能を揺らされたいのに疲れるのはどうもキツイ。


【スミレ】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★
心揺れる魅力 ★★★
総合:3.75点
笑い要素ありすぎて官能要素が低くなった感じです。ネタとしては悪くないんだけどな~。


【少女の異常な性癖 または私は如何にして我慢するのを止めて快楽に身を委ねるようになったか】
キャラクター性  ★★★★★
物語構成 ★★★★★
官能要素 ★★
心揺れる魅力 ★★★
総合:3.75点
描写力は高く買える力作。しかしうんこは臭いのです。物語に引き込まれるけど、臭すぎて官能要素がなえてしまった感じです。


【女教師の日曜の夕方】
キャラクター性  ★★★
物語構成 ★★★★
官能要素 ★★★★
心揺れる魅力 ★★★★
総合:3.75点
続編の難しさをここでも感じました。教師って立場の背徳感を期待できなくなった残念感が評価を少し下げた感じです。



■全体の平均★数
①キャラクター性全体平均★4.16個
②物語構成全体平均★3.83個
③官能要素全体平均★2.94個
④心揺れる魅力全体平均★2.94個
18作品全体の総合平均は3.4722……点でした。
 


■全体総括的感想
①②においては全体評価がよかった。キャラ作りはどの作品にもそれなりの魅力を感じられたと思う。構成もどの作品において短編作品として楽しめたのだと思う。③④が低かったのには自分に感受性が足りないせいもあるのでは反省する気持ちが湧きました。年齢的に枯れてしまったのだろか。官能小説を読んで感じないって寂しいよね、もう。
個人の性癖っていうのに近いかもしれない。どこに官能さを感じるかは、人それぞれ本当に違うと思うから、私の評価はやはり一読者からの参考にしかならないと思う。
ただ、言葉にできない部分を★数で表すのには気持ちの整理がつきやすく良かったと思いました。
欲をいうなら、なまめかしく熟れた(熟女とは言ってない!)艶やかなエロティシズムを感じられる作品がもっと欲しかったかもしれない。若々しい官能作品が多かったように思う。
不感症気味の人をのぼせ上がらせる官能小説、誰か連載してほしい。待ってる。



以上匿名で官能小説企画に関する25日更新分の感想はここまで。



★6月25日更新文芸作品あっさりまとめ

今回文芸作品の更新は2作品(一作は企画)でした。
何がって、官能小説に実際評価シートつけてみて感じました。
文芸奥深い 文芸奥深い 文芸奥深い!
文字だけの情報で、どう読み手の心に訴えるか、読み手の感覚に入り込むか。
そういうの、本当に難しいですね。
感じた方もそれを具体的にこうだったと述べる難しさもあります。
そんな意味も含めて、今回は直感でサクサク★をつけた評価シート。
けど、全体の★平均をみると自分の感じ方を客観的に見れたような気がしました。
片よりもあったと思う。
感想文とはまた違う側面があって、これはこれで面白かった。
言葉や文で表現できないことを表現していくその先に文芸の可能性が広がるのでしょうな~。
ホント奥深い……。
遠い目。
ホジホジ




さて、
次回は7月1日に更新されたニノベ作品の感想を書きます。
2日へ日付が変わるまでに更新してください。
よろしくお願いします。
96, 95

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