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勝て……勝つしかない

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「妹の敵……覚悟!!!」
  金髪を  なびかせながら女が襲いかかる。彼女の名前は百合草秋穂。以前殺した百合草小春の実の姉だ。小春とは正反対の容姿だ。キリッとしていて他者を威圧するような目、モデルのようにすっと伸びた手足。絶壁。
「たった一人の妹を奪った罪……ここで償ってもらうぞ!」
「……」 
  先に動く指扇。秋穂の懐に入ると同時に数百の拳を秋穂に叩き込む。
「アタタタタタタタタタ」
  肩、腰、乳、正面のあらゆる部位を叩く。
「昇天術奥義、百昇天」
  百昇天。それは、数百ある秘孔を正確につくことによって相手に数秒おきに快楽を与える技である。
「さぁ、快楽地獄で果てるが良い」
「あら、勝ったつもりなの?」
  対して秋穂の表情は余裕そうである。
「私はあなたの拳では死なないわむしろ……」
  彼女が言い終わる前に攻撃は終わっていた。自分の体になにをされたかわからないが何かしらの攻撃を受けたのは間違いない。目立った外傷こそはなかったが、内側からなにかが急速に送り込まれている感じがする。
「あなたが……死ぬの!!!」
  ぱちんと指を鳴らす。なにが起こるんだ?
  嗚呼無情。天から、しかしなにも起こらない!という声が聞こえそうだ。気まずい空気が流れるので気を使って突っ込む。
「おい、なんだ今の指パッチンは!」
「あっえ……嘘!そんな!」
  驚きと恥ずかしさと絶望の声が響く。
「……秘部断破掌!」
  俺はマンビンタを繰り出す。ここはもう速攻で決めるしかない。自分の攻撃が効かない、相手が意味不明な技を仕掛ける。だったらやることはただひとつ……速攻!
「キャッ!どこ触ってんのよスケベ!」
「なに!これも効かないだと!」
「シネシネシネシネシネ」
  キレる秋穂。烈火の如く攻撃を叩き込まれる。蹴り技からパンチ、肘打ち。それぞれが適切な間合いからキレよく繰り出される。 
  攻撃の激しさに防戦一方の指扇。だがその目は輝きに満ちていた。
「ふふ、ふふふふふふ、勝った……勝ったわよ……」
  それと同時に秋穂が不敵な笑みを浮かべる。
「次の一撃であなたを沈める……覚悟!!!」
  思いっきり放たれた弓のように飛び付く秋穂。恐らく次で決めるのだろう。
「いや……お前の負けだ」
  綺麗に体軸をずらされ裏をとられる秋穂。
「な……私の攻撃を見切っただと?」
「それだけじゃない」
    目の前の光景に誰もが目を疑うだろう。指扇が1人……2人……3人……まだ増える!!!
「え……嘘!そんなバカな!」
「昇天術秘奥義……無精転生だ」
「む……無精転生……なんだそれは!」
「お前のお陰で発動する事ができたんだよ。お前もまさか同じ拳の使い手だとはな」
  おもむろにチャックをずり下ろし、パンツを脱ぎ捨てる指扇。
「……俺は今ギンギンだ」
「う……嘘だ……そんなばかな」
  指扇のそれはとんでもない大きさをしていた。こんな勃起ちんこ……見たことがない。
  そもそも無精転生とは昇天術秘奥義の中でも特に発動が困難な奥義だと言われている。発動条件はただひとつ。それは今までで一番感じた性的興奮を上回る状態に身体を持っていくことである。だが、普通はそういう状態に持っていくことはできないなぜならこの奥義は同じ拳を持つ敵を玉砕するための技であるからだ。
「俺は……今までに感じたことがないぐらいに興奮している。それを発散する上でもこの奥義に意味がある」
  奥義の発動条件はもうひとつある。それは己の性的興奮を心のコントロールのみで昇華すること。大体のものはここで脱落をする。しかし指扇はそれができているのである。並の男であれば猛り狂い畜生となり果てる性的興奮をコントロールしているのだ!
  しかし、秋穂はまだ信じられずにいた。
  今まで何人もの男の性を爆発させ果てさせたこの女。殺した男の数の分の勃起ちんこを見てきている。だから尚更指扇のちんこのサイズが信じられない。
  今まで見たことがない大きさ……いや、訂正しよう。全力勃起ちんことは信じられないくらい小さいちんこ……いや!ちんちん!全力おちんちんが可愛らしく前ならえをしているのである。
「あぁ……そんな……通りで効かないわけだよ……くそ!そんな!あんたが相手とは……」
「百合草秋穂」
  360°の方向から一気に自分の名前を呼ばれる秋穂。彼女は己の身になにが起きるかを一瞬で悟ってしまう。
「お前は良い女だ。昇天術使いとして……な。正確な突きもさながら、表のツボ(世間一般に知られている性的興奮を司るツボのこと)の刺激も怠らない基本に忠実な姿勢!俺はそんな術者に会えて嬉しい!しかし!」
「俺の前に立ちはだかった者は何人たりとも帰さん!喰らえ!昇天術秘奥義……千手観音!」
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