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38 Worker

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 波状機構での仕事は順調に思われたが、冬になってきて寒くなり、三駅離れた支部まで行くのが嫌になり、やめることにした。ある日クロスマンに、「実は、やめようかと思うんですが」と言ったところ、相手はまたいつものように溜め息をついて、「ああ」と言うだけだった。モロー上等祭官に話すと、やや苦い表情となり、この仕事の崇高さをまた説き始め、しかしマリアが、通勤が遠い、寒い、といった不満点を淡々と挙げると失望したように「では、いいです」と言って、そのままやめることになった。
 その後一週間だけの短期、パン工場で働いた。コンビニに納品されるパンを、ばんじゅうと呼ばれる運搬容器に入れる仕事で、極めてつまらなかった。その次は交通量調査の仕事をやった。高架の大通りでひたすら車を数える仕事だった。最初マリアは、ただ漫然と全部の車を数えていればいいと思っていたが、車種ごと、進行方向ごとにカウントしなければならず、なかなか気を抜くことはできなかった――ほとんどは〈ボロ車〉のカテゴリでいいんじゃないとマリアは思ったものだ――おまけに仕事は朝早くから夜まで続き、朝夜はひどく寒かったので辛かった。
 大学が冬休みに入ったころに〈サドン・テンペスト・オーバードライブ〉のライブに呼ばれて、ノレッジスタジオで久々の顔ぶれと会った。アン部長やバルクホルン、他の見たことがあるけど名前が思い出せない人たちだ。エリザベス・マスターズもいたが、取り巻きの似非文化人みたいな人々がうっとうしかったのでマリアはほとんど話をしなかった。〈ザ・ストリート・フラッグス〉にはエリクという名の、ウサギ座のデリス人が入っていた。いつも皮肉に笑うピアノ弾きだ。ジョセフィンは相変わらずだった。ノアはなんだか悟ったような感じだった。〈静寂なる炎〉の僧侶みたいに落ち着いていて、自分はあと三年で死ぬので、今のうちにぼちぼち音楽をやっておきたい、などと言った。その三年後、彼は失踪することになる。部屋にもなにも残さず、煙のように消滅し、しかしマリアは本人が言っていたとおり死んだのだろうと解釈した。
 年が変わるころ、マリアは自宅の近くのコンビニで働き始めた。
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