新感覚グダグダRPG:新都社社員旅行(四国編)
------------------プロローグ------------------
海水なのに池とはこれいかに。
高松駅前の海水池で、揺れる水面をぼんやりと眺めていた。日差しは暖かいが風は冷たい。
僕はホドラー。最近ニノべ部隊に配属された新米の歩兵だ。君にこの日遂行された作戦を伝えるにあたってまずは"彼ら"について話しておきたい。
早く着き過ぎた僕が波打ち際で日向ぼっこしていると、背後から声がかかった。 振り向くと髭を生やしたナイスなガイが立っていた。ヤマダ=チャンだ。Tシャツにプリントされた「変態」の二文字が眩しい。文芸部隊のスナイパー、彼の弾丸を受けた者は恋の甘酸っぱさに小一時間はモヤモヤするという。
二人で会話していると、こちらの方をチラチラ見ているボーイがいる。彼の視線に気付いて互いに恐る恐る自己紹介した。するめいかZ、まだあどけないスマイルと屈強な二の腕を併せ持つぷげら部隊の少年兵。侮らない方がいい。彼の突貫攻撃で多くの者が萌え死にしたことは記憶に新しい。
集合の刻限が迫り、次々と広場に現れるソルジャー達。
陽炎と共にゆらり現れたガイ。見る者を安堵させる穏やかな目、だがその肌艶を見れば彼が歴戦のサウナーだと分かる。ヤング・文芸の両部隊で戦ってきた頼れる衛生兵、後藤健二だ。彼が残した様々な作戦のレポートはあまりに有名だ。
…彼はその瞳を閉じ、彫像のようにピクリとも動かない。広場中央のベンチに腰掛け、僕らのコマンダーは静かに思索する。というか寝てる。そのガイの名は有末有子。彼の名を覚えておくといい。君が困った時、差し伸べられる手は彼のものだ。彼はどの部隊にも現れる。
集まってきたソルジャー達はポツリポツリと言葉を交わす。時計を見ると午前十一時、指定された集合時間だ。
不敵な笑みを浮かべたガイがゆっくりとこちらへ近づいてくる。今回の作戦立案者にしてコニー部隊の工兵、脱獄劇。連戦がたたって鼻水が止まらない身体になった彼はそれでも笑みを絶やさない。精悍な顔に、陽光で煌めく鼻水が凄みを加えていた。
最後の一人は少し遅れて現れた。長身、その長い腕から繰り出される腹パンはたった一撃でポニーを屠ると言われている。文芸、ヤング部隊を渡り歩いてきた格闘戦のエキスパート、ブッコロ大魔王だ。このガイが仲間なら心強い。彼は敵を悶絶させる、クールなやり方を心得ている。
七人。七人のソルジャーが高松駅に集合した。僕が出会った"彼ら"について、少しは知ってもらえただろうか。ここから僕達の作戦が始まったわけだけど、僕にはもう時間が残されていない。僕にできるのはこの作戦が"行われた"と君に"伝える"ことだけだ。もし君がここまで読んでくれたのなら、継いでほしい。僕と"彼ら"の"意思"を。
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【経時報告】
2015.06.07.16:04
【対象】
新都社陸軍・ニノベ部隊・三等歩兵[ホドラー]
【状態】
八一五病棟にて拘束中。上記の文章をトイレットペーパーに書きなぐった後は比較的落ち着いている様子である。時折「腹パンポニー」、「醤油バターうどん」など意味不明な単語をつぶやくのみ。このまま経過を観察することとする。
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[メイン・プレイヤーを選択してください]
▶ホドラー(歩兵)
新入り。特に役に立つことはない。
▶ヤマダ=チャン(スナイパー)
遠距離攻撃を得意とする。特性<リア充>をもつ敵には攻撃が効かない場合がある。
▶するめいかZ(少年兵)
遠・中・近距離攻撃すべてが使える。急所に当てると敵を萌え死にさせることができる。
▶後藤健二(衛生兵)
回復魔法が使える。サウナ・ダンジョンでのみ攻撃パラメータが付与される。
▶有末有子(コマンダー)
司令塔。上層部の情報は彼のみに伝えられる。その情報はダンジョン攻略とは関係ない。
▶脱獄劇(工兵)
高いHPを誇るが常に鼻水状態。ダンジョン索敵に適任。
▶ブッコロ大魔王(工作員)
チーム中最も威力の高い必殺技「腹パン」が使えるが、命中率は低い。
>>>>ゲームを続けますか?【Yes/ No】