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1月29日更新文芸作品感想

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■1月29日更新文芸新都作品

 作品更新数:3作品

 今回は落ち着いた感じで、いつもの2本に新作が1本。そこそこガッツリ書かせてもらってます。というか感想を書いた後にこれ書いたら意味ないですね。次の日になったら即上げるようにします。
 例のごとく以下の点だけご注意お願いします。
 ・感想を書くのは小説作品。
 ・感想を書く順番は更新された順。
 ・作品数が多い場合は複数日に分けてアップする。
 ・感想が不要の場合は作者コメント欄などでひとことください。
 それでは気になる更新作品リスト。(表記は更新順)

「黒兎物語」http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18317
「胸騒ぎの代償」http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18777
「ミシュガルド戦記」http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18210

 
「黒兎物語」 作者:バーボンハイム先生

【まえがき】
 合わなければ途中で読むのを止める可能性があるということだけは伝えておきます。今回はちょっと思うところがいくつかあったので45話まで。

【ストーリー】
 読んでいると、結局何が物語の中心になっているのか分からなくなってきた。精霊樹が目的? 淡々と戦況を描くのは戦記らしくて良いけれど、戦いの目的(少なくとも今対峙している連中の目的と勝利・敗北した場合の損益)がはっきりしていないと誰が何のために戦っているのか分からない。あと結構ひっきりなしに視点が変わるのでなかなか一つの話に集中できない。それぞれの話を断片的に語るのではなく、ひとつのエピソードに数話分使ってみては?
 加えて、世界ニーテリア? やボールボンヘイム条約、ステルシュガルド会議など、聞いた覚えがあるようなないような言葉がちらほらある。どこかで触れられた? 固有の名刺はファンタジーの世界観を形作る上で必要なものだけど、仔細に語られないまま進められると困惑してしまう可能性がある(過去に登場しているかもしれないので、可能性に留めました)。
 あと、クノッヘンが会議で非難する場面はなんとなくご都合主義に見えてしまった。話を早く進めるためにわざとそういう展開にしたようにしか思えない。クノッヘンがこんな発言をする布石がどこかにあった? 仮にあったとしてもここ数話ではその内容を見かけてないので説得力に欠ける。いくら戦記であると言っても物語なわけだから、そのあたりの構成は考えてみたほうが良いと思う。
 これは個人的な感想になるのだけど、
 =====
黒兎物語 第28話 戦場の仁義
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18317&story=35
ミシュガルド戦記 第3話 戦場は踊る、されど進まず
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18210&story=5
 =====
 詳しい事情を他作品に任せるのはあまり好きではない。黒兎物語の中だけで語って欲しい。

【キャラクター】
 セキーネがゲオルク軍に加わらないメリットが何かあったのか。この先を読んでいないのでこの先どうなるかは判断できないのだけど、ここでセキーネとディオゴが仲違いしているのを更生させることがキャラクターの「成長」に繋がるのだと思う。僕はミシュガルド自体をパラレルワールドだと考えているので、最低限の設定さえ守っていればある程度自由に成長させても良いだろうから、ここでディオゴから逃げるのはどう考えても良い選択肢ではない。物語的も構成的にも。
 どうもキャラクターの作りがその場の感情に任せて動かされているようにしか思えないので、もう少しずる賢く、理知的になってみても良い気がする。

【文章】
 気づいたら視点が変わっていることがあってびっくりした。理解するまでに何回か読み直さないといけない場面があった。この小説の文章について、もはや突っこむべきか突っ込まないべきかも分からなくなってきたのだけど、むしろどう対応していいか聞かせてほしい。文章作法について突っ込んでいたらきりがない。だからといって文章はどうでもいいと考えられるかというと、そうなると小説である必要がなくなってくるから難しい。先生がどう考えているのか尋ねたいところではあるけど、この感想を見ているかどうかは把握していない。

【総括】
 読むのが少し苦痛になったので数話にとどめた。また感想日が合った場合も目を通すけれども、この調子が変わらないのであればまた辛辣な感想になると思う。……だいぶ前にも同じようなことを言っている気がするけど。
70, 69

  

「胸騒ぎの代償」 作者:安彩花先生

【まえがき】
 新作。作者さんも初めて見る方。感想企画を知っていて合わせてくれたのならありがたい限り。感想執筆時点で最新話更新されていたので、そこまでの分の感想を。

【ストーリー】
 おとなしい少女に「秘密を知ってる」と冗談めいた手紙を出したら、本当に焦ってて何かあるのではないか、という話。話のきっかけは◎。いったいどんな秘密があるんだと彼らと一緒に追いたくなる。けど、立花というキャラクターの素性がセリフや振る舞いではなく彼らの話からでしか分からないのが微妙な点。彼らは立花さんを知っていても読者は立花さんを知らない。
 あと気になった点が一つ。
(1-2より引用)
 ……三人が理科室に来たのは教室が無人になるのを待ちたかったからだった。もし立花から手紙の返事が来るとすれば、それは立花の机の中にあるだろう。来なければ来ないで再びこちらから手紙を書くことになるが、ともかくそれらの作業は教室が無人になるまで行えない。……
(引用終わり)
 彼らはなぜ、返事が机の中にあると思った? 自分たちが机の中に手紙を隠したから? ちょっと動機がこじつけすぎる気がする。そもそも仮に秘密があったとして「秘密を知っています」と言われたところでそんなに動揺するだろうか……?
 後に「バラされたくなかったら~~」みたいに続くなら焦るのもわかるけど、なんというかあまりにもご都合過ぎて、キャラクターが作者の手のひらで踊っている感覚が否めない。稚拙らしさを出している?

【キャラクター】
 雄也と健人と拓雅、ごっちゃになる。無個性な男子生徒が急に三人出てきたのでどの発言が誰のものなのか一瞬理解に困る。地の文を消してみて誰の発言か分かるくらいがベスト。年頃の男子学生なんて考えていることは似ているかもしれないけど、全く同じ人間ということはないはず。口調、性格、行動、どういったことでも特徴付けはできると思うので、「この言動・行動はこのキャラクターだ」とわかるレベルまで個性をつけるといいかもしれない。

【文章】
 読みやすい。前述のキャラクターがわかりづらいことを除けば問題ないと思う。性質とか宣う、計りなど、その辺りの表現をルビ振ってまで使うなら違う簡単な言葉に言い換えても問題ない。かたい文章にしたいのかソフトな文章にしたいのかあまり伝わってこないのでなんとも言いがたいところ。個人的に中学生の物語なら難しい言葉は使わなくていいと思う。
(1-2より引用)
 “顔面蒼白”。
 手紙を見つけた立花の表情を、その言葉以外で表現する術を持たなかったからだ。
(引用終わり)
 そんなまさか。言葉なんていくらでもあるぞ。

【総括】
 導入は面白いので、あとは人物のわかりやすさや展開の説得力? 読者が「こうなる以外には仕方ない」と納得できるような展開に仕上げられるとより良くなると思う。期待しています。
「ミシュガルド戦記」 作者:後藤健二先生

【まえがき】
 僕は今回からクラウス編。ゲオルク編からどんな話に変わるのか楽しみ。

【ストーリー】
 奴隷から蜂起したクラウスが破竹の勢いで邁進して将軍になった。一行で表すとそうなる。良い。戦記らしい。ビビとエイルゥのやりとり、ホタル谷の戦いは見入ってしまった。欲を言えば読者にある程度考察の余地があってもいいかも? 現在の状況をクラウスがどう打破するかに読者は期待しているだろうから。プレーリードラゴンの存在を改めて匂わせておけば「プレーリードラゴンで奇襲するのかな?」みたいな予想をしやすく先にも手がつきやすい。
 最新話で良いと思ったのがアーベルの登場タイミング。忘れられもせず、かといってそこまで記憶に残っているわけでもないタイミングだったので、「そう来たか!」と思った。続きを早く読みたくなる話作りに脱帽。ゴトケン先生戦記作家になりましょう。文庫本全50巻くらいの。
 総じて言えるのは、あくまで戦記なので戦いの詳細はそこまで詳しく描いていない点。戦記ということに則っているのでその辺りシンプルで読みやすい。しかし略してはいけない戦いをある程度描いている(エイルゥVSザキーネ)ので好印象。

【キャラクター】
 分かりやすく、印象に残りやすい。ニコロ、エイルゥ、この辺りが特に好き。ドバ爺が途中から出てこなくなってちょっと残念かな。面白かったので。アッシュは登場間もないものの大体のイメージが植え付けられているので、キャラクターを書くのがやはり上手い! ゴトケン先生、ミシュガルド戦記書くに連れてだんだんこの辺りの書き方がうまくなっている気がする。

【文章】
 総じて問題ないと思う。少しだけ気になった点を少し。
(19話より)
 領主たるもの領民を守る義務があるというのに、~~だが、急進派の、特に身内を殺されたり凌辱されたり大きな被害を受けている者たちの怒りは収まらない。
(引用終わり)
 この部分、ちょっと違和感がある。だが、みたいな言葉は多用禁物。どういう状況なのかを説明する大事な部分なので、回りくどい言い回しは使わずにシンプルに書くのが良いかもしれない。

(20話より)
 甲皇国でも特に過激に人間至上主義を掲げる〝丙家総帥”ホロヴィズ大将。
 その腹心である〝独眼鉄拳”ゲル・グリップ大佐。
 奴隷狩りと亜人を使った風俗ビジネスで悪名高い〝性将”クンニバル少将。
 その腹心である〝賭博師”バルザック中佐。
 堅実な戦いぶりで守備に定評のある〝教師”バーナード少将。
 その腹心である〝鼻無し”ロンズデール中佐。
 ……などなど。
(引用終わり)
 ここまで詳しく説明する必要はあったのか。あとダブルクォーテーションは“”にすると見栄えが良い。

(同話より)
 彼らは「黒羊軍団」と呼ばれ、亜人でありながら亜人を殺すことに容赦がない恐るべき連中となった。
(引用終わり)
 もともと亜人は亜人を殺すことに容赦なさそうだけどそういうわけでもないの?

(23話より)
「我が名はアッシュ。ウッドピクス族の誇り高い戦士だ。アルフヘイム最強の剣士と名高いシャム翁よ。どうか私と手合わせを───」
「100年早いわ、小僧が。まずはそこの小娘と戦ってみろ」
(引用終わり)
 過去のセリフは『』にするとわかりやすいです。

【総括】
 徐々に面白くなってきている感触がある。クラウス編の始まりも、ゲオルク編の始まりに比べると格段に良い。まだまだ続いて欲しいと思える出来なのでゴトケン先生頑張れと応援したい! ガンバレ!
72, 71

  

■全体の総括

 今回はちゃんとある程度短期間で書かせていただきました。イベントや財布盗まれるなど色々大きな出来事はありましたが元気です。割りと辛辣な感じになってきてますが、あくまで一個人の包み隠さない感想と捉えていただければ幸いです。
 感想項目の【文章】。気になる所があれば抜粋してコメントするようにしています。このほうがわかりやすいかなと思ったので。気になるところが多すぎる場合は上げてません。気になるところがない場合も同じく。その違いは感想読んでもらえればわかると思います。

 ところで2月です。ファッキューバレンタインです。セツブンの豆をぶつけてしまえ。新都社のことなのでアンチバレンタイン企画かほんわかバレンタイン企画が独りでに発生したら面白いなと考えてます。フフフ……

 次回感想日。
 次は2月5日(金)に更新されたニノベ作品の感想をば。しばらく空いてしまったのでペースアップ。イベントも終わったので少しは早くできるかも。おあずけ状態だったニノベ作家たちは我慢汁ぶっちぎって思いの丈をぶつけてほし……おい! 我慢汁が登場する小説を何度も読んだので自然と脳裏に浮かぶようになってしまった! 本来なら文字にすることさえ憚られるのに!
 ということでまた。
73

黒兎玖乃 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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