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ウンチさまが見てる

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「ハッ、お前ら、俺らを食っちゃっていいのかよ? スゲエ臭いウンチなって出てきてやるぜ? そう、クソ以下のウンチになってな!」ナキシが言った。
「なんだよ、それww もういいから早く来いよ、めんどくせえなww」赤い虎人が近づいて来た時だった。
 ナキシは待ってましたとばかりに斧を抜き放った。虎人たちは、まさかこんな雑魚集団に戦う意志があると思ってなかったのか、斧のきらめきを見て一瞬後ずさった。
「しゃあねえな、これでも使うか」
 黄色の虎人が取り出したのは、銃だった。甲国製でもない、粗悪品の銃だが、大きさから察するに殺傷能力は十分だろう。
 ナキシも銃のきらめきを見て、一瞬後ずさりそうになった。だが、後ろにあるウンチのおかげで、下がらずに済んだ。そうだ、自分にはウンチがついている。ウンチの加護がある限り、そして、この道中で出会った仲間の“絆”がある限り、絶対に負けない。
 後ろにいるナキシたちも、ナノコと目が合ったときに、大きくうなずいた。大丈夫、皆がついている。
 そう確信したナキシは、勇気100倍した。出したい時に出ない勇気が、ウンチとみんなのおかげで出せた。
 ナキシは斧を地面にこすりつけると、ウンチをすくい上げるようにして旋回させた。同時に、ナキシの剛速旋回によって周囲の土も巻き上げられ、煙幕の効果を果たした。救い上げたウンチは、もちろん高速で虎人たちに向かって飛ばした。
「うわっ、何しやがるんだ、こいつ!」
 ウンチが飛んできて大混乱に陥る虎人たち。こちらの姿は土煙で撹乱されて、容易に確認できないだろう。戦場で銃と戦うための戦術は、すでにあまたの戦場を経て身につけている。とにかく、距離を詰めてこちらの射程範囲内に誘い込む。
「よし、お前ら、撹乱と後方支援で、俺の攻撃をサポートしてくれ!」と言って後ろを振り返ったが、すでにそこには誰の姿もなかった。煙幕で見えないだけかと思ったが、煙幕が止んだ後も、そこには気味悪い枯れた森が囁いていただけだった――お前は撒き餌にされたのだ、と。
 ズキューン!
 銃声と共に、ナキシの足元で銃弾がはねた。
「はい、じゃあどっちにするか、選んでね」
 ナキシに選択肢などなかった。
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