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第9話 男の闘い 優一VS今崎

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変身した優一の身体は身体能力を飛躍的に向上させ
まるで自分の体とは思えない程の身のこなしで今崎の剣技をかわしていく

「おいっ、今崎!!さっきはよくもやってくれたな…
このお礼はたっぷりしてやるからな!!」

優一の意表を突いた蹴りが今崎に直撃しそうになるが今崎は宙に浮いた4本の内の鞘の入ったままの刀を一本引き寄せ、優一の蹴りが当たる箇所を予測しその鞘に入った刀でガードした。
なんとか直撃は防いだ。だが体は蹴りの衝撃に耐えられず今崎の身体は吹き飛び壁に直撃した。
壁には大きなヒビが入る程の衝撃だ。

黒服は優一の蹴りに口笛を鳴らした。

「この能力は身体が生身のままってのが弱点だな…」

今崎が肩を抑えながらゆっくり立ち上がりそう言った。

「大体…お前には前から言いたい事が山ほどあったんだよ!!」

そう言うと優一が今崎に向かって走り出す。

「まずお前、授業中に教科書も開かず、ノートもとらず、一体何やってんだ!!クラスメイトどころか、担任の先生にも呆れられてるんだぞ!!すかしてんじゃねぇよ!!」

優一の拳は今崎の刀に防がれる。

「ふん、とんだおせっかいだな…それがお前に何か迷惑をかけたか?
あんな黒板に書いた事をノートに書き写した所で何の役に立つ?」

今崎の剣技を優一がかわした。

「つっ…屁理屈ばかり言いやがって…」

「お前と俺、どっちの考え方が正しかったか…解るさ…
この闘いの先になぁ…」

今崎の剣技を避ける優一
優一のパンチや蹴りを防ぐ今崎
どちらも戦況が傾く事無く闘いが続き
その闘いの中で二人は対話していた。



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「お前…そんなんで毎日楽しいのかよ…?」

「楽しい?こんな下らない世界にそんな期待などしていない」

今崎の力の入った一振りが優一の胸に直撃した
優一はその一撃に態勢が崩れた

「しまった…」

態勢が崩れ、出来た隙を今崎は見逃さずここぞとばかりに
今崎の剣撃が優一の体を切り刻む。
切られた箇所には火花が飛んだ。

雷切の能力により優一の身体は電気を帯び痺れて全く動かなかった。

「俺はこの日常生活に退屈を通り越して憎悪すら感じていた…
だがある日、あの男が俺の前に現れた…そこから全てが変わった!!
あの男には感謝している…ようやく…ようやく俺の思い描いていた世界
が訪れたのだからなぁ!!長かった…これから俺の真の人生が始まる!!最高だぁーー!!アァーーハァッハァッハァッハァッーーー!!
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今崎の斬撃は休む事無く動かなくなった優一に浴びせられ続けた。
優一の今の状態はまるでサンドバッグだ。

「俺が欲していた日本の名刀達を自由自在に扱える能力
この能力(ちから)を使い俺はこのサバイバルを勝ち抜く
最後に一人になるまでな…」

今崎が息を切らし叫ぶように言った。
今崎の斬撃はまだ続く。

「そして俺には叶えなければならない野望がある…
ただ何も考えず今、その時だけが楽しければそれで良いようなお前ら馬鹿なクラスメイト共とは違い!!
俺には崇高な野望があるーーハァッハァッ!!」

今崎は斬るのを止めた…優一の変身したボディーには無数の傷跡があり、
顔は俯いたまま、意識があるのかないのか分からない状態だった
今崎も肩で息をしている…何十回、数え切れない程、優一に斬撃を浴びせた今崎も身体に相当な疲労が蓄積されていた。

「ハァ…ハァ…ふんっ、板谷優一…お前は俺の崇高な野望の礎になってもらうぞ…」

そう言うと今崎は刀を大きく構えとどめの一撃を優一に浴びせるつもりだ。

「さらばだーー!!」

今崎が刀を優一に向け斬りかかった。

ガシッ…

「なっ……!?」

さっきまで全く動かなかった優一が今崎の刀を左手一本で受け止めた。
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