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最終章 世界を救う5つめの方法

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「早く殺せよ」
「俺はそーしたかったんだけどよー」
 メゼツが手招きすると、子供たちがウルフバードを珍獣でも見るように取り囲んだ。
「生け捕りってわけか。突き出せばいい。憲兵にでもガイシの地下牢にでも」
「そんなことより、さっきのアレ見せてよ。水が花火みたいに爆発するヤツ」
「あのなあ、俺は敵だ。甲皇国の怖ーいテロリストなんだぜ」
「甲皇国とかテロリストとか関係ないよ。一度遊んだから、もう仲間だ!」
 ウルフバードは自分の子供のころを思い出していた。
 ガキに敵も味方もねえよな。俺だってそうだった。アルフヘイムが憎かったわけじゃなくて、魔法を研究するのが面白かっただけだ。
「まったく、ガキにはかなわねえな」


 ガイシの地下牢でふたりの囚人が話している。
 ひとりはドバ。ボーダーの帽子をかぶった白髭の老人。粗末な囚人服はひざのところが擦り切れ、棒のようにやせ細った足が見えている。杖をついて歩くのがやっとなのに、左足は鎖で鉄球に繋がれている。しかしドバはヘイトを向けず、鉄球に顔を書いて愛おしんでいる。地下牢の中は割と自由で、ドバは杖に釣り糸を結んで水路に垂らしている。太公望を気取っているわけではない。甲皇国の囚人はめったに食事にありつけないため、自給自足が基本なのである。
 もうひとりはゲフェングニス。額に×字傷、エルフ耳にピアス。体中に傷を縫った跡と、絵に描いたような凶悪犯である。実際に1420人の子供を強姦した罪により終身刑を受けてをいる。
「ドバさん釣果はどうですか」
「見ての通りボウズじゃよ。タルパ一匹つれんわい」
 水路にはもともと魚は生息していない。地上が洪水のときなどに外の水が逆流して、わずかに侵入する魚がいるくらいである。一匹釣れるだけでも奇跡に近い。
「ちょっと釣り竿貸してくれませんか。こう見えて俺漁師だったんすよ」
「若いの、お優しいのお」
 ゲフェングニスはドバに代わり、釣り糸を垂らす。ふたりだから世間話に花が咲いて退屈しない。
「ドバさん、いい人なのに何でこんなところにいるんすか」
「わしゃな~んもしらん。あんただって、ただ子供好きなだけなのにのお」
「そうなんだよなー。みんな俺の精子の量が多すぎるから、溺死しちゃっただけなのに。事故だよ、あれは」
 杖が大きくしなる。
「引いてるわい!」
「すげー、こりゃ大物だ」
 ゲフェングニスは一気に釣り上げる。釣り糸の先にかかっていたのはボーイイーターだった。
「ボウズが釣れたー!!」
 ゲフェングニスは自分の精子でも死ぬことがないショタを手に入れた。


 \(^o^)/オワタ
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