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黒瀬愛奈の初恋

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 あれは十四歳の春のことだった。

 私がオナホに恋をしたのは


 これだけ聞くとお前は何を言っているんだと、罵倒され、頭がおかしいと思われるだろう。自分が客観的に見たとして、もし「オナホが好きなの」という女が目の前にいたら全く同じことを思うだろう。
 だが、何も知らない人間に馬鹿にされたくはない。
 まずは話だけでも聞いてほしい。

 私がオナホに恋をするまでの過程について
 前述したとおり、あれは十四歳の春のこと。

 私の趣味はお菓子作りなのだが、その日もクッキーを作っていた。ホットケーキミックスを使って作る簡単なもので、なかなかおいしくできた。なので、お兄ちゃんにも食べてもらおうと私は思った。
 大皿に盛り付けて、カフェオレの入ったカップと一緒にお盆に載せて運んで行った。
 お兄ちゃんの部屋は、家の一番隅っこにある。
 キッチンからそこまで歩いて行って、扉の前に立つ。
 ドアをノックして兄を呼ぼうと思うが、両手がふさがっているので残念ながらノックすることができない。声でもかけようかと思ったその時、ふと下げた視線の先に扉がほんの少しだけ開いているのが見えた。
 私は足を延ばすと、その隙間に足の先を突っ込む。
 こうして足を使ってドアを開けようとしたその時だった。

 「ハァ……ハァ……」

 「え?」
 部屋の中から兄のやけに荒い息が聞こえてきた。
 何をしているんだろうかと疑問に思った私は、いきなりドアを開けるのを止めてその隙間からこっそり部屋の中を覗いてみた。

 すると

 そこには

 バリバリにオナニーをしている兄の姿があったのだ。

 ベッドの上で、何か本のようなものを広げ、しっかりと勃起した陰茎――というのもあれなので、はっきりと言おう――チ●コにオナホを突っ込み、せっせせっせと自家発電をしている。妹である私が見ていることにも気づかずに


 私は生まれて初めて見るその光景に目が釘付けになった。
 特に何に目を引かれたかというと

 兄の使うオナホに、である。

 何をオカズにしているのだとか、どうしてこんな時間(午後三時)にそんなことをしているのか、色々な疑問が湧いて出たものの、その全ては一瞬の間に一陣の風にまかれ、脳内から忘却の果てへと消えていく。
 そんなくだらないことはどうでもいい

 今、私の思考はたった一つのことでいっぱいだった。

 あのオナホ
 あんな薄汚い(失礼)な兄のチン●でも優しく受け止めているあの姿
 心の底から感動した

 その日
 その瞬間
 私は彼(?)に恋をしたのだ。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「ふぅ……」
 日課のオナニーを終えて、賢者モードへ突入する。
 オナニーを初めて数年、何度この心地よさを味わっても飽きることが無い。生命の神秘、この世にオナニーほど楽しいものはない。俺はそう信じていた。そしてまた、それを支えるのは今、自分の目の前にあるオカズのおかげだろう。
 ふと
 何の気もなしに視線を下げるとそこにある愛用のオカズを視界に入れる。

 すると
 妹の着替えや風呂に入っているところ、あまつさえトイレにいるところまで収めた写真がところ狭しと一冊のノートにびっしり張り付けられていた。
 もちろん、正規ルートで手に入れたものではない。
 盗撮だ。
 オナニーを始めるきっかけとなった物でもある。

 「愛奈……今日も可愛いよ」

 何を隠そう俺、黒瀬藤二は重度のシスコンで、変態なのだ。



    To be continued
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