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絶望!極悪デビル

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カタカタ…
暗い部屋にキーボードの音が鳴る。

二太郎「よし…書けたぞ!投稿だ!」

二太郎「今回は渾身の力を揮った一作だからな…。ネットのバカどもにも伝わるだろう…。デュポグフフ」

二太郎は定期的にネットの小説サイトで恋愛小説を投稿している、web小説書きであった。

ペンネームはエンジェルハートである。

彼は今回もいつもの様に、出来上がった作品を投稿していた。

二太郎「よ?しよし。投稿できたぞ。これで何コメつくか楽しみだ…。」

24時間後。

二太郎はpcの前に座り、自分の小説についたコメントを確認する。
しかし、そこに書いてあるのはあまりに残酷な現実だった。

「主人公の思考がキモい」

「童貞が考えた様な話」

「これはこれでアリかもしれない」

「途中で読むのやめた。くさすぎ」

「毎回ホモ展開挟むのやめろ」

「なんで途中犬犯したの?」

「ただただキモい」

「最後の方はブログになってる」

「恋愛とスカトロを混同するな」

「嫁と見てたら急にえづきだして出産した」

「俺早稲田生だけどこの作品はつまらない」

「私女だけどちょっとこれはな、って思った」

「私男だけどヤらせろ」

二太郎は愕然とした。

どうしようもない悲しみと怒りが彼を襲った。
なんだこいつらは。

動物の鳴き声の様なコメントを恥ずかしげもなく、コメント欄に打ち込んでいる。

信じられない…品性のかけらも無い…。

二太郎は怒りに震えながら、新たなコメントがないか確認する為にF5を連打していた。

そこについた新たなコメントが、二太郎の心を揺さぶった。

「お前さぁ、このゴミ具合で人に読んでもらえると思ってんのか?無理だろこれじゃ。無理無理おちんちん!wwwwww」

二太郎は激怒した。

二太郎「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

彼は奇声を発し、拳をキーボードに何度も叩きつけ、感情のまま破壊衝動に身を委ねた。

二太郎の部屋は二階にあり、その階下にいた彼の母は、家中に響く怒声に怯えていた。

そう、彼は引きこもりニートだった。

二太郎「クソが…クソどもが…。」

二太郎はそう呟いた刹那、両の拳を組み、振り下ろすようにして床を思い切り殴りつけ、吼えた。

二太郎「だっしゃあああああ!!!おい!!BBA!!!飯もってこいや!!!」

二太郎は怯える母親が持ってきた食事を奪い取り、部屋の中へ引っ込んだ。

二太郎はサンマ定食にかぶりついた。

二太郎「ガツガツ!ハムッ!ハフハフ、ハフッ!」
二太郎「ああああああ!!!いてえ!!!!!骨…ッ痛え!!!!骨抜いとけやBBAあああああああ!!!!!」

二太郎は窓からサンマを思い切り投魚した。

二太郎「ハァ…ハァ…」

二太郎の心は悲しみに覆われた。

どうして皆わかってくれないのか。

???「ククク…俺がお前の苦しみを取り払ってやろう」

二太郎「は?」

二太郎が振り向くとそこには悪魔っぽい翼と角をつけた男がいた。

極悪デビル「俺の名は極悪デビル。お前の不満を解消してやろう。」

二太郎「はぁ…。」

極悪デビル「信じてないな。ほれ」

ピュン

二太郎は近くの中学校の女子更衣室にワープされた。

jk「ぎゃあああああああ!!変態よ!!!!!」

二太郎「えっちょっ」

ドカバキドコボカ

二太郎は下着姿のjcに袋叩きにされ、完全に勃起した。

デビル「ほれ。」

ピュン

二太郎「ハァ…ハァ…死ぬかと思った…。この糞野郎!!!!!お前のせいか!!」

デビル「これで俺の言うことを信じたか?俺はあらゆる力を持っている。お前に相応しい力を与えてやる事ができるぞ。」

二太郎「まじかよ…。」

二太郎「でもどうせ魂とか取るんだろう?」

デビル「そんなものいらん。俺が欲しいのは忍耐力だ。」

二太郎「忍耐力?自慢じゃないが俺はキレやすいので忍耐力なんか皆無だ。」

デビル「問題ない。お前から貰えなければ家族からいただく。」

二太郎「それならいいや。毒親どもがキレやすくなるだけだ。あいつらには死ぬまで苦しんでもらわないとな…。」

二太郎の目は病んでいた。

デビル「では契約成立だな。」

デビルは手から闇を二太郎の心臓目掛けて放った。

二太郎「ひえっ!?」

二太郎はびくりとしたが、特に体に異常はなかった。

デビル「俺がお前に与えてやる力は先ほど見せたワープ能力だ。
世界の裏側まで一瞬で行き、戻る事ができる!」

二太郎「!!!それを使えば…あいつらを…!!!」

二太郎はさっそくpc上の、自身の作品についた感想を見て、嬉しそうにこう言った。

二太郎「こ…ここここいつらの所に行く事は出来るのか?
一瞬だけ行って、帰ってくる事は?」

デビル「問題ない。お前が念じれば移動でき、いつでも帰ってこれる。」

二太郎「デュポポポ…これで目にもの見せてやれるぜ…。」

二太郎は両手にナックルダスター、特定されないためにサングラスとマスクを装備した。

二太郎「さっそく俺を送れ!バレないように後ろからだ!」

デビル「なら心の中で強く念じろ。」

二太郎は願った。




-ネット叩きマンの部屋-

ネット叩きマン「フンフンフーン♪」

彼もまた、暗い部屋でパソコンのキーボードを鳴らしていた。

叩きマン「さて…今日は誰を叩こうかな…。
お、こいつは新連載か。…クッソ寒い内容だなぁ…作者も若そうだし叩いたら効きそうだなぁ…ジュル…。」

彼は小説サイトであらゆる作品に対し罵倒コメントを書き込んでいる常習犯であった。

叩きマン「小学生の駄文でも読んでた方がマシなゴミ作品だねw作者はガキかな?wwwwちんちんぴろりーwwwwwっと・・・。」

そのコメントに反応し、不快感をあらわにしたコメントがつく。

叩きマン「おっwwwwwwキレてるwwwwwwこれがたまんねえんだよなあ・・・wwwwww俺の言葉で人の心を動かしてる・・・wwwww」

叩きマンはガチガチに勃起していた。

コンコン

ノックが鳴る。

叩きマンの母「ちょっと・・・話があるんだけど・・・あんたいつまでこんな生活送るの?」

叩きマン「うるぜァゾBBA!!!!!!!!!!!!今いいとこなんだから話しかけんなや糞が!!!!!!!!!!!」壁ドァン

叩きマンの母「チッ・・・」

叩きマンの母は諦めたように去っていった。
叩きマンは楽しみの邪魔をされてイラついていた。

彼は興奮し、彼は背後にいた男の気配に気がつかなかった。

二太郎「オルァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」

二太郎はネット叩きマンの頭部にナックルダスターを装備した拳を思い切り叩きつけた。

ドゴォ

叩きマン「ぴええええええええ!!!!!!!????」

引きこもりとはいえ、肥満体型の二太郎から放たれた体重を乗せた拳は、叩きマンの頭部に大きなダメージを与えた。

二太郎は頭を抱えた叩きマンの頭を起こすように、二発目の拳をアッパーで顔面に叩き込んだ。

二太郎「死ねコルァ!!!!!!!」ドグシッ

叩きマン「ぶへぁあああああああ!!!!ゆるっ許じてくださぃぃぃぃ!!!!」

奇襲の混乱、何者かわからない恐怖、強い痛み。
叩きマンは完全に戦意喪失し、泣きながら懇願した。

二太郎「許すわけねえだろクソがあああああああああああああ!!!!!!!!」

二太郎はとどめに相手の髪の毛を掴み、顔面に向かってコークスクリューをおみまいした。

ボゴォ

叩きマン「プピッ・・・」

叩きマンはバッキバキに粉砕したであろう顔面から血を噴出し、力なくその場に頭から倒れた。

二太郎「よし、戻るぞ。」

二太郎は心の中で念じ、部屋に戻った。




-二太郎の部屋-


二太郎「これは最高だな!ものすごいすっきりしたよ!!」

デビル「気に入ってもらったようで何より。今後も作品が叩かれるようなことがあればこれを使うといい。」

二太郎は汚い笑みを浮かべて満足そうに血のついたナックルダスターを舐めた。

二太郎「そうさせてもらうぜ・・・ククク。」

デビル「お、おう。」

極悪デビルは少し引いた。

それから二太郎は、今までの人生が嘘だったかのようにアクティブに暴行を続けた。

読者A「気持ち悪い作品だなあ・・・」

二太郎「オラアアアアアアアア」ドグシ

読者B「つまんね。こんなのあげんなよ」

二太郎「アアアアアアアアアアア」バキ

読者「タイトル忘れてうっかりこれ開くとがっかりする」

二太郎「キエエエエエエエエエエエエ」ドゴ

もはや二太郎は当初のまがりなりにも熱のある創作活動は行わなくなり、暴行するためにわざと不快感をもたらす内容を書き連ねた作品を投稿するようになっていた。

二太郎「ハァハァ・・・。」

二太郎はF5を連打し、コメントを待っていた。
サイト内では謎の男に暴行されたという話題で持ちきりであった。

「昨日部屋にメリケンサック装備したデブの暴漢が入ってきてボコボコにされた。怖くて動けない」

「俺もやられた。偶然だな。治療費に結構かかるみたいで仕事もしばらくいけない・・・。当然創作なんてできない・・・」

「ちょっとまて、俺もやられたんだが・・・。同一犯か?」

「俺も。俺沖縄だけど、みんな沖縄に住んでるのか?」

「俺今海外に出張に行ってるけどやられたよ。どういうことなんだろうな。世界中で流行ってる新しい犯罪かな」

二太郎「ククク・・・ザコどもが・・・!!!俺は、俺は最強だ!!!!アーッハッハッハッハ!!」

デビル「楽しそうで何より。しかし、もう潮時のようだ。俺は帰るとする。その能力も返してもらおう。」

二太郎「・・・は?な、なんで急に、どういうことなんだよ。」

二太郎はありえない、といった表情で極悪デビルを見た。

デビル「お前の親の忍耐力が無くなったのだ。外を見ろ。」

二太郎は手に嫌な汗をかきながら外を見る。

二太郎「嘘だろ・・・。」

そこには荷物を乗せたトラックと、家の車に乗り込んだ両親の姿があった。

二太郎「ちょっちょちょ!!!」

二太郎が狼狽している間に、両親は荷物と共に去っていった。

デビル「ハハハハハ!お前は捨てられたのだ!!!お前の親の忍耐力は、俺が食いつぶしてしまったからな。」

二太郎は絶望し、同時にデビルに対して怒った。

二太郎「てめええええええええ!!!!」

二太郎はデビルに対して殴りかかったが、逆に心臓を鋭い爪で貫かれ、闇の塊を取り出された。

ドシュ

二太郎「うっうあああああ。」

デビル「確かに返してもらったぞ。いいじゃないか。電気が止まればネットもできない。そうすれば作品が叩かれていることもわからない。一番お前にとって幸せな形で死ねるわけだ。ハハハ。」

二太郎は震えが止まらず、その場にへたり込んだ。

二太郎「助けて・・・助けてくdさdさい・・・。」

極悪デビルはもう用はないとあざ笑うように鼻を鳴らし、消えていった。

家には二太郎だけが残った。

二太郎「アアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああアアアアアアアアアアああああああああああアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

二太郎の慟哭はいつまでも続いた。
それ以後、ネット上ではエンジェルハートの作品が更新されることはなかった。



-ネット上-

「エンジェルハートさん更新止まっちゃったな」

「めっちゃ叩かれてたけど、俺は好きだった。どこいったんだろう」

「まあ、作家が消えるのはいつものことだよww」



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