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2017年11月20日「腐蝕三角標識」

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2017年11月3日更新作品から



「腐蝕三角標識」http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20087



 ホドラー先生作品。
 一昨年の四国・高松オフでお会いしたことがある文芸作家さん。
 当時はニノベで「夜の確率」というSFものを書いておられたので、私もオフ会前にあらかじめ読んだりしていた。ホドラー先生も私の小説「魔女の詩」のスピンオフを書いてくれたり、「本当にあった後藤健二の話」のFAを描いて持ってきてくださっていた。文芸作家さんだが実は絵も描ける方。その節はありがとうございました。雰囲気的に東京ニトロ先生やいしまつ先生とウマが合いそうだなと思っていたらその後台湾でオフ会していたという。行動力もある方だ。

 さて、本作もまた「夜の確率」で見られたようなダークテイスト溢れるSFのようだ。
 名前は日本人の登場人物が出てくるが、とても現代日本とは思えない劣悪な環境の工業特区があり、人間が突然変異してミュータント化を遂げている世界だ。日本というより工業廃水垂れ流しして虹色の川とかいう奇景を見せている中国のよう。
 頭にキノコが生えて燐光によって感情が表現されてしまう男。
 ネコのような思考と目になってしまった男。
 咽喉がソフトボールぐらい肥大化した男。
 みな、不気味な信念に基づく異常な企業人ゆえに、そうなってしまったのである。そうしたミュータントはまだ数が少ないから社会問題になっていないが、そうなるまでさほど時間はかからないであろうという社会情勢。出てきた人物は、みな熱心な企業人で、要するにブラック企業の社畜である。
 ちょっと悲惨な方向へ突き進めば、現実もこうなっているかもしれないという怖さがある。

 掌編という形で最初の話からして2000字程度。
 まだ三つの掌編しか書かれていないので、全て読んでもそんなに時間はかからなかった。
 SFといっても高度なものではなく専門知識がなくても理解でき、文系の私にも読みやすい。工業特区の描写から理系の香りが装飾として機能するぐらいの文章。
 面白いのは「キノコ頭マン」「ネコマン」「フィルターマン」とそれぞれの掌編が関連しており、個々の人物ではなく、街に住む様々な人物の視点から街を描写しようとしているようだ。
 昔、セガサターンで「街」というノベルゲームをやったことがあるけれど、あれも何人かの主要登場人物と数多のすれ違う街の人々を描いていた。
 やりようによっては工業特区の人々という感じで、椋木りょう先生のように百以上の掌編を書けないこともない題材だ。
 どんなミュータントが出てくるのか楽しみだし、前に出てきたミュータントが関連して登場していけば更に面白いだろう。
 それで、全体としてはミュータントの自治や独立といった一つの大きな物語に収束していく形になるのだろうか? 
 何にせよまだ始まったばかりなので、これからの展開に期待である。




以上です。
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