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2018.6.8 第10回目 ボーイズ・ドント・クライ

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おひさしぶりぶりざえもん、ガマンジールバァーボンハイム(きたない)だ。


4月から仕事でバタンQな状態が続いて創作が全く手につかず、
最近ようやくアサシーノスの執筆に取り掛かれて
私の創作チンポ(きたない)はまだまだ枯れ果てていないことが分かって安堵している。

とはいっても、その間 深爪先生との合作の打ち合わせなどはしていたので
まだ微かに創作意欲は腐らずに済んだようだ。



で、つい数日前にアサシーノスをアップして思った以上にコメントを頂けて
感謝してます、ありがとうございます。
緊張感あるとか言って貰えて嬉しいですわ、
ハートロッカーとゼロダークサーティーのあの雰囲気が大好きで
作業映画として上映しながら作画してたのは功を奏したようでなによりです。
心臓マッサァジニキ、解説ありがとうございます。知らなんだわ。
いやぁ~ モブキャラ描いた甲斐があった……
ぶっちゃけ主役描いてるよりモブキャラ描いてる方が楽しいけど
作画カロリー高くて死にます。。。。ホンマに。
あ、ヒュリコフ見つけた人鋭いっすね~、
そうです。ハンター×ハンターのあいつですw
正直、今回のサウルエルフ作戦編はハンター×ハンターの王位継承戦編への
リスペクトも兼ねてます。理由として、王位継承戦編って
主役よりもモブキャラたちにスポットを当てて描かれていて世界観重視の
ストーリー展開になってて、今回のサウスエルフ編はまさにその世界観重視で行きたいなぁーと思って
リスペクトしてお話進めようと思ったのです。

っていうか、合作でも主人公クリスとスコットの過去編とか描くときに
また新キャラばっかり描かなきゃいけなくなるパートがあるから、
その練習も兼ねてるんだけどね。

今ここにある創作は次の創作の練習ですから。

あー……新都社随一のミリタリー作品だなんてお恥ずかしい。。。
みなさん、ミリタリー作家ならヤーゲン先生と38t先生という
ヴェテランが居られます。お2人とも、私以上にミリタリーのスペシャリストなので
お2人の作品もまたご覧ください。



とまあ、色々と語りたいことだらけですが

いい加減映画評論について語れとなりそうなんでこの辺にしておきます。

っていうか前回2回とも
映画評論してへんやん、あかんやん。。。




それでは、それでは評論始めていきます。

今回、評論するのは「ボーイズ・ドント・クライ」と「ジュラシック・シャーク」です。

前者はみなさんもご存知以前、深爪先生が好きな映画紹介でコミカライズされてた映画ですね。
いやぁ、最初にあの漫画見ていたおかげか すんごく取っ付きやすかったです。
やはり、映画を見る前にあたってあんな感じで絵でストーリーとかをある程度
説明してある媒体を見とくと本当に話に感情移入しやすいんだなぁと思いました。

この作品は、僕にとっては非常に思い入れが深いですね。
この映画のコミカライズをみて深爪先生を知って、合作を申し込むきっかけになったので
ある意味僕にとっては人と人との絆を具現化したような作品です。

この映画の主人公ブランドン・ティーナ。
身体的な性別は女性だけど、性自認…つまり、心は男性。
今で言うトランスジェンダーの「彼」が一人の女の子ラナに恋し、
やがて彼女の友達トム、ジョン、キャンディスとも打ち解けていくが、
最終的に「彼」が女であることが発覚してしまい……歯車が狂ってしまうという話です。

このブランドンっていう名前が僕にとってすごくとっつきやすい名前でした。
僕の好きな映画「シェイム」の主人公ブランドン・サリヴァン(演:マイケル・ファズベンダー)と同じ名前だったからです。


「ブランドン」という名前は自分の性に悩む男性キャラの代名詞なのかもしれませんね。


カンのいい人は気づいたかもしれませんが、合作の主人公の
クリス・ブランドン。彼もこの2人から名前を拝借しました。


このシェイムという映画のブランドンはセックス依存性であり、いくらセックスをしても愛を得ることも
感じることも出来ず、ひたすらAV、ポルノ雑誌を買い漁り、エロチャットとナンパと買春に明け暮れ、

くっくっくっくっ……セックス……セックス……

みんな、セックスし続けろ!!!!!!(声:飛田展男)


あ、御免なさい……月島拓也の毒電波にやられてしまった。。。。

もうごめんなさいね、ホント。


えーっと、そのー…セックスしまくる話です……


ただ、これだけ聞いているとマイケル・ファズベンダーを使ったAVやないかと思われるでしょう。
でも、この物語は自分の性に悩む男の物語なのです。

愛している女性といざセックスしようとしたときに、気持ちが冷めてしまい射精することが出来ずに頭を抱えて悩むブランドン。
気まずい雰囲気の中、彼女は帰り、ブランドンはすぐさま売春婦を呼んでセックスし果てる。


愛の無いセックスでしか性欲をみたせず、それでも心は性欲ではなく愛を求めている。
だが、ブランドンはすさまじく不器用で愛をセックスで求めてしまう。
当然、セックスで得られるのは愛ではなく性欲でしかないのでブランドンは
満たされずにどんどんドツボにハマっていってしまう……という物語です。


このボーイズ・ドント・クライもシェイムと同じように自分の性に悩む「男」の物語なのです。
そして奇しくもシェイムの主人公と名を同じくする主人公ブランドン。
自分は「男」だと心で信じ、そうありたいと願っても
自分の身体は自分は「女」だと心に突きつけてくる。それに抗うかのように
胸にサラシを巻き、伸びる髪を切り、男の衣装を身に付け、自分は「男」だと必死に訴え続ける。

自分すらも自分を否定してくる毎日……そんな毎日に苦しみ続ける彼は
とうとう世界からも否定されてしまうのです。

「化物」だと。「レズ」と。

そして追い打ちをかけるかのように、かつて友達だったトムとジョンから浴びせられる罵倒と暴力。
暴力とは殴打だけに留まらない……そう性の暴力。

自分は「男」だと必死に訴えかけるブランドンはトムとジョンによって
ズボンを引き摺り下ろされ、自分の股間にある「女性性」を愛するラナに見せ付けられるのです。
ここのシーンではバベルの菊地凛子に匹敵する「ヴァギナ」の大写しが描かれます。
ここのシーンをモザイク無しでしっかり配信したAmazonプライムは素晴らしい。
(でも、何故か菊地凛子のヴァギナはモザイクかけてるんだよなぁ……クソ)

この「ヴァギナ」の大写しはエロスという感情が一切思い浮かばず、
「ああ……そうだよなぁ……」「……もうやめてくれ」と思わず懇願したくなるほど
胸が痛いシーンでした。どうあがいても変える事など出来ない事実。
女性性のシンボルであるヴァギナ。

このシーンはブランドンの性を否定し、アイデンティティを否定し、
そして存在すらも否定する最も残酷なシーンでした。


そして、廃工場まで連れて行かれ車のボンネットの上で強姦され、
「お前は女でしかない」のだと心に刻み込まれるのです。


このブランドンの表情が実に心痛でした。
トランスジェンダーの人々にとって性の否定はまさにアイデンティティの否定、
つまりは存在の否定と同じぐらい残酷なものなのです。

ましてやそれを身体に思い知らされるというのはどれほど残酷なものか……

自分の味方をしてくれる筈の身体にすら日頃から裏切られ続け、
挙句の果てに最後の最後にレイプという形で
「どうだ、お前は女だ。 ようやく分かったか。お前がそう思ってても現実はこうなんだよ。」と
突きつけられることがどれほど残酷か。



無論、これは身体が男で心が女のトランスジェンダーにも言えることでしょう。

必死に喉仏を隠し、すね毛を剃り、ヒールやスカートをはいたりして
必死に 必死に 女性になろうとしている男性がスカートを脱がされ、
「ペニス」を握られ、タマを弄ばれるようなことになって
「ああ、自分は男でしかない」のだと心に刻み込まれるのも残酷すぎます。

最終的にこの映画は悲惨な結末を迎えてしまいますが、
この映画の元になった史実はこれよりもさらに救いがなく、
映画はまだ救いを持たせている方なのですから如何に
この事件が残酷な出来事だったのかを思い知らせてくれるでしょう。

映画ではブランドンがズボンを脱がされるシーンで恋人のラナが号泣し、トムとジョンに止めるよう叫びながら
辱めを受ける恋人の性を見せつけられるシーンがありますが、史実ではラナは号泣どころかトムとジョンを
止める様子もなく、ただ黙って見ていただけとのことです。

それじゃああまりにブランドンが可哀想すぎでしょう。
個人的にラナがちゃんとブランドンが恥ずかしめを受けることを
悲しんでいた映画版の方が救われます。

あと、ラストシーンではブランドンがトムとジョンに射殺されてしまうわけですが
映画ではラナがその死を看取っていましたが、史実ではラナはブランドンの死の現場におらず、
それどころかレイプ後はブランドンに近寄りもしませんでした。

これは、映画公開後にラナ本人が
「レイプ後にブランドンと私がデートしてた描写があるけど、あんなの事実と異なるわ」と
激怒して訴えたことからお分かりいただけるでしょう。

一見すると残酷な結末に見えるこのボーイズ・ドント・クライですが
史実を忠実に描きながらもラストシーンはこの映画独自の救いのある展開にしたのは
ある意味、大正解だったのではないでしょうか。

せめて映画の中だけでもブランドンに救いがあって欲しいという
監督の優しさだったのかもしれません。



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