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始まり

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――――これは、私が経験した壮絶な日々の記録である。
 
 第一章:中学生編(1)
 
 それは、12月の初め――――、私がまだ中学1年生の時の出来事であった。男性の教育実習生の授業を受けている際に…
 
 臀部が爆発した。
 
 小学生までの私は生まれつきお腹を壊しやすく、また、地元が冬の時期になるとひどく寒くなる地域で、冬はよく糞を漏らしていた。しかし、中学生になってからはお尻をコントロールする術をなぜか身につけたので(自分でもわからん)、一度も糞を漏らしたことは無かった。
 
 それでは、なぜ己の臀部は爆発したのであろうか。おそらく、その時期のストレスがたたったのであろう。
 
 私は、お腹を壊しやすいところから読み取れるように、貧弱で男らしさというものがひとかけらもない人間であった。趣味は読書と漫画を読むことであったし、部活はバスケットボール部に入っていたものの、運動神経が悪くいつも迷惑をかけていた。
 
 そんな情けない私である。同じ塾に所属するいわゆるギャル系女子たちの格好の餌食にされていた。塾の休み時間になると、私の席に4,5人の女子が集まってきて、今思えば我々はその当時思春期であったから、仕方がないと思うのだが、「マスターベーションをしてるか?」など、セクハラととも取れる質問攻めにあった。私は恥ずかしく、答えられなかったのだが、そうすると彼女たちは私の机を思いっきり叩き、「男のくせになよなよしてんじゃねえよ」と怒鳴った。

 塾に行くとそんな日々が続いた頃である。私の心はひどく鬱々としていた。女子と話すのが怖くてできなくなっていたし、またこれは後日話すことになると思うのだが、部活でも嫌がらせを受けていた。そういうこともあって、糞を抑えることができなかったのであろう。いややっぱし憶測に過ぎないし、単純に腹を壊していただけという説の方が正しいと思われる。

 そういえば、まだ糞が爆発したときの詳細について話していなかった。まず、私は教育実習生の授業を普通に受けていた。すると、お腹が急に痛くなった。すぐさま私は手を挙げ、トイレに直行することにした。そのときはいつも通り、トイレに行くまでは我慢できると思っていた…
 
 けど、現実はそんなに甘くないものだ。手を挙げた瞬間、私はお尻から何かが出てくるのを肌で感じ取った。そう、お尻から噴水のように糞があふれてきたのだ。私にはどうすることもできなかった。嘔吐するときと同じように自分の意思と関係なしに勝手に糞が溢れどうすることもできなかったのだ。ほぼほぼ水のような糞で漏らした時、音が出なかったのが唯一の救いだった。
 
 その後、黒板に集中していた教育実習生の方が私の挙手に気付き、私は一目散にお尻を抑えながらトイレに向かった。トイレで私は泣きながら、お尻をきちんと拭き、パンツを流し場で洗った。(その後流し場使った方すいません)

 トイレから帰ってくる時間が10~15分くらいかかったこともあって、クラスの多くの者が私の臀部に起こった悲劇に感づいていたに違いない。私がトイレから帰ってきた後のHRまでの休み時間のことだ。
  
 まず、一人の男子が私に突然話しかけてきた。彼はお笑いに対してかなりの情熱を持った熱き男だったのだが、私がお尻を抑えて走っていたことを「笑かそうと思って笑かさない。そんなお前の笑いが好きだぜ」となぜか褒め讃えていた。私は正直、それどころじゃねえよと心内思っていたのだが今思えば、同情を込めて言ってくれていたのかもしれない。そういうことならありがとう!
 
 ここまでは良かった。
 
 次に、私は教室中の女子の視線が私に寄ってくるのに気づいてしまった。そう、あくまで私のワンツーパンツくんは水道水で洗われただけの代物である。当然ながら、パンツにまだ糞の匂いが染みついていたのだ。後から発覚したのだが、女子たちは回し手紙をし、私が糞を漏らしたという情報を共有していたのだ。(今ではLINEでこういうことが行われているのだろう。ということは半永久的にデータが残るということである。コワッ!スマホの普及する前で良かった。)

 極めつけは、担任の先生がやってきて、明らかに私に向けて鼻をすすり、あっ…(察し)という表情で「村田君(仮名)、○○さん(教育実習生の名前)から聞いたんやけどさ、さっきの授業中大丈夫やったん?」と疑問を思い浮かべる話し方で話されたことである。それを聞いた時、いや、あんたわかっとるやんけ!と私の心が叫びたがっていたのは言うまでもない。

 そして、まあなんだかんだでHRを乗り切った私は友達と学校を出たのだが、やはり彼もまた私が糞を漏らしたことに気付いていたみたいだった。彼は笑いながら、「村田(仮名)。お前うんこ漏らしたやろ?」と私に聞いてきたのだ。
 思わず恥ずかしくなり、私は無言になった。

 そんな私に対して友達はこう励ましてくれた。
「気にせんでええで。」、と。
 私の心がこの言葉にどれだけ救われたか。

 そのままの状態で、部活に向かったほどだからね。
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