トップに戻る

<< 前 次 >>

ミシュガルド聖典把握記11

単ページ   最大化   

見守る眼も足りず、力及ばず、
カーリマーターは神たる所以を、
失った資質無き神である。
すべてのミシュガルド開拓民に、
夢を届けるべく旅立ったが、
今は力の所在を失い、
灰色に色覚めるのみである。


アメティスタ・ダ・ドラゴニアの墓は、
静かに佇んでいた。
クラウス親衛隊主席を務めていた彼女は、
アルフヘイム所属、
竜人族の中では、決して強力な方とは、
言えないが、一日に一度、
15分ほどドラゴンに変化することが出来た、
という。
ただ、その墓は静かに佇んでいた。
またその隣の墓は、

サイファ・クワランタの墓、
アメティスタの戦友である。
エルフ族である彼女は、
アルフヘイム正規軍に所属していたが、
クラウスに一目ぼれ、クラウス親衛隊に、
移籍したという、副官を務めていた。
彼女の墓も静かにアルフヘイムの地に、
佇んでいた。


「ふんぬ」
雷姫竜ヴァルギルアは帯電し電撃を発すると、
その威力を確かめた。
「調子は悪くないな」
現竜人族の族長で、『雷姫竜』の異名を持つ竜人、
200歳はゆうに超えてる。
アルフヘイム南部地方一帯の実質的な支配者であり、
その短気な性格は、
「ここ、ミシュガルドは悪くなさそうだ」
一気にミシュガルドまで飛来するというほど、
変身型の亜人であり普段はかなり人間に近い、
姿をしているが、自分の意志で全身、
もしくは体の一部を竜に変形させることが出来る。
「我が雷撃のえじきにしてくれる」
通常の竜人と違って、体内の属性が雷属性に、
偏っており、火を吹けない代わりに、
前述したような雷撃を使いこなす。
「なーにが夢のフロンティアじゃ」


「魔封がたつかどうかの瀬戸際ですね」
クローブ・プリムラは、
ソフィアやニツェシーアの暴走を阻止するために、
ミシュガルドに訪れた。
アルフヘイムのエンジェルエルフ、
魔法監査官長である。
「間に合えばよいのですが」
選民思想の下育ったが、選ばれし民である、
からこそ、他種族にも優しく接するべきと、
考える人物であり、
戦争などもってのほかである。
「禁断魔法の魔封を行います」
大戦時に甲皇国の魔装兵器を無力化させた。
その事から”魔封の賢者”の異名を持つ。
現在もそのチカラを駆使し、魔術の、
不正使用者の拘束を補助している。
「それにしてもあの夢です、
 あれほどの魔素干渉が起きたとなると、
 そろそろ異変が起き始める頃あいですが」
クローブの不安はよそに、
確実に混乱は広まっていた。


「えへへ」
イココは自称・竜の国のお姫さま、
・・・という妄想で生きている明るくて元気、
持っている杖<ルーンくん>にまたがって、
空を飛ぶ練習をしている。
「出来るならお空を飛びたいな」
竜人族らしいが、その生えた翼で、
空を飛ぶ能力はないらしい。
「飛べたら、
 あの夢の場所までひとっ飛びなのに」


「エルカイダは動き始めるの?どっちなの?」
ロマネスコ・カリフロウは、
ブッコロリ・カリフロウの妹、
植物族らしい頭をしている。
「まだ時期じゃないのかしら?」
すっとブーツで立ち上がると、
「アルフヘイムも何をちんたらしてることかしら」


ニコラエ・シャロフスキーの墓は静かに、
ひとつであった。
多くの戦没者は共同墓地に埋葬されていたが、
彼の墓は別であった。
処刑されたという経緯もあって、
その墓の場所は公にはされていないが、
その墓はあった。


「えへへ、夢を見たわ」
しっとり嫉妬ちゃん、
本名シットー・シットは、
好きになったら一途な女の子。
「あの夢の場所どこにあるのかしらね、
 シット」
シットーちゃんの使徒シットが、
背中からにゅっと現れると、
対象を探しているようだが、
「やめときましょう、
 遠そうだしね」
使徒シットは引っ込むと、
嫉妬ちゃんはつぶやいた、
「楽しみだわ、みんながどうなるか」


「はい、どろん!」
霧カスミは妖怪「キリガスミ」であり、
体を霧散させることが出来る能力を持つ、
「はい、元に戻った!」
妖の里出身者の女性であり、
その能力のおかげで探索系のお仕事は得意。
今日もクエストを元気にこなしていたが、
「なあに、フロンティア戦争?
 そんなことがあるのかしら」
能天気でお人よしな性格から、
平和ボケしており、
他の里民からは呆れられている。
趣味は外での昼寝。
「もともとは人間でしたからね、
 急ぐ、
 気持ちはわからないもないですけど」
元人間でエドマチ出身ということもあり、
不思議な着物装束をまとっている。
「何も起きないといいんですけどね」


「ローの野郎!」
クリストファー・アリストテレスは、
アルフヘイム出身、
ロー・ブラッドの親友、一時期軍隊に居たことがある。
「どこで何してやがる!」
甲皇国の兵士たちを敵視するローを探し、
どうにかして止めてやりたいと思っているが、
ここミシュガルドはとても広い。
「みつけたらタダじゃおかねえからな!」


ネキリ・オーサッツの墓、
享年9歳、シュエンの同期、
かつての大戦で主戦力の一角として、
活躍していたが、
禁断魔法により命を落とした改造人間である。
彼はその命を賭して戦ったものの、
ネキリは生まれたその時から、
奇形児だったために、甲皇国の風習で、
奇形児は亜人であるとして殺される運命にあった。
だが、機械に改造された体によって、
事なきを得た。
そんな彼の墓である。
機械のパーツがともに埋葬されている。


「ふんふん、ここももう大体見て回ったわね」
マリディシアは半竜型の竜人、17歳女性、
『虹翼竜』の異名とその名の通りの色鮮やかな、
翼を持っている。ミシュガルドには、
観光気分で来た。
「ガイシにいこうかしら、それとも、
 アルフヘイムの入植地、
 迷うわね」
女の子が好きで女性には種族国家問わず、
やさしい彼女である。
「それにしても、
 アルフヘイムには女性が多いっていうし、
 いってみてもいいかもね」
竜人以外の男に基本的に冷たい。
「イココちゃんどこかなあ」
今日も彼女の観光は続く。


「デュフフ」
ドン・キングたかし3世(本名:安田たかし)
甲皇国出身の研究者、甲人計画の研究を行っていた。
が甲皇国の方針転換の為に、
在野となり、亜人の能力を取り込んだ彼は、
エルカイダに入籍するようになる。
「人類も亜人も元をたどれば・・・
 デュフフこれはトップシークレットでござるwwww」
バッグに取り付けた魔石が大気中の水分(主に自分の汗)を、
吸収し、大量の水を保持することが出来る、
また腰につけた機械から水流ジェットを噴射し、
空を飛ぶことも出来るというから、
研究者ってすごい!
「にしてもあの夢は厄介でゴザル」
研究者でも分からないことが多い、
特にこと神話体系などに至ると途端に、
「出来ることなら、
 畑を耕すなんてことは、
 ゴメんしたいもんデュフフ」


「あーあ婿殿はどこにいるのか?」
リー・テンユウはアルフヘイムの山奥に住む、
龍人族の母親とエルフを父親に持つハーフ、
「と、カカシに尋ねても仕様が無いか」
15歳になった朝に一族の掟に従い、
自分より強い男を婿にするため、
自分より強い男を探す旅に出た。
が、ここミシュガルドでは、
「なかなかいないや」
エルフの父親譲りの雷の魔法を駆使して闘う。
手加減を知らない性格のため、
家を出てから二年たった現在も、
婿候補は見つかっていない。
「まあ、新作でてるからいっか」
好きなものは甘いものと恋愛小説、
今の暮らしは楽しいらしい。

「ああ?エルフを殺したかって?
いちいちそんな事覚えてる訳ねぇだろうが」
ベルトランド・ベロッキオは脱獄囚、
戦時中はSHW義勇兵として、
アルフヘイム国内で甲皇国軍と戦っていたが、
駐屯していた村々での虐殺行為、捕虜への虐待が、
発覚し、逮捕収監されるも脱獄し、
ここミシュガルドへ逃げ延びた。
「なんだって? 夢見たかって?
 へん、おぼえてるかってんだ」
戦時中に左腕、左足を失っており、
左足には義足をはめている。
「ここはミシュガルド、法は、
 自分で決めるのさ、ははっ」
彼はそういうと一杯あおった。



サンバジ・エンゼホラはクジラを百体、
呼び出すと、それを宙に舞わせていた。
健康時ならば何万体ものクジラを同時に、
呼び出し操作できるその能力は、
もしクジラを食べる習慣のある人からすれば、
羨ましがられる能力であるが。
半竜型の竜人である彼に、その気はない、
使える魔法は水の操作と鯨の召喚、
及び操作である。
彼は静かに鯨を操るとやがてその鯨を、
元いた場所に返し、
自らの傷を癒やすべく、
深い海に帰っていった。


「キシャアアアア!!!!」
三大国の消滅を願うザインはのっしのっしと、
歩き回り、ミシュガルドの竜王を名乗るに、
相応しいその姿に、更なる進化を加えていた。
「ナニガフロンティアカ、
 ノハラゴトヤキキッテクレル!」
自己再生能力を持つほか、
レーザー等の各種ブレスを発射する能力も、
持つことが出来る! まさに無敵、
だがしかし!!!
「ウワアアアアアソコナシヌマカ!!」
沼にはまって、抜け出せない!
「キシャアアアアアア!!!」


「丙武め、動き出したか」
クニー・アローはアルフヘイム出身の、
ダークエルフ、大事な妹を丙武の、
膝蹴りにより殺されてしまった過去を持つ。
「膝を射抜いてやる!」
以降、執拗に膝を撃ちぬく射手となる。
今ではエルカイダに身を沈め、
復讐の機会を待っている。
「と、ここはどこだ」
彼の方向音痴が治らない限りには、
復讐も遂げられそうにないが。


「そうか、よくわかった」
アルフヘイムのエルフ、アライスは、
鳥に似た精霊から話を聞くと、
「フロンティアとやらは
 相当曲者らしいな」
と納得したようであった。
とはいえ彼の精霊は悪戯好きである故に、
「間違いの可能性もあるか、
 だが幻の精霊の発見も近いはず」
彼の目的は幻の精霊の発見と捕獲である。
「悪くない情報だった、
 相棒よ、休んでいてくれ」


「はっ!セイヤっ!」
リュウ・ドゥはパンダウサギの亜人、
大戦時は特殊部隊「十六夜」の副隊長。
「刀の腕はなまってないな、うん」
兎人特有の強い性欲をすべて、
筋トレで発散しているのでけっこうマッチョ。
「フロンティアとやらの警護に行くとするか」
その逞しい肉体で警護される開拓者は、
安泰であろう。


「皇国の新兵器?!いや違うか」
ロメオ・バルバリーゴは甲皇国から、
SHWへ亡命し、傭兵業で生計を立てている。
現在は夢のフロンティア開拓者の、
警護を主におこなっている。
「皇国が動くにはまだ早かったか、
 それにしてもでかいカカシだなこれは」
「300馬力です」
「何に使うんだ?」
「へぇ森を切り開くのに」
「そうか、化け物も飛んで逃げそうだぞ」
牧歌的な風景に魔物はなかなか、
寄ってはこないようだ、だが、
「カカシが幾度となく狙われることが、
 瀕発している、今晩は寝ずの晩だな」


「ビキニ神拳ほぉおぉわぁぁぁあ!!」
ナヴァリ・ファイブスターは、
ビキニ神拳伝承者、アルフヘイム出身、
「私は拳のため、常識を捨てた男」
あの夢はみたのか?
「夢さえ、捨てた」


「えへへピザポテトだよ」
ピザ=ポテコは、
ダイエット中の人の元へ現れて、
持っているお菓子を口に放り込む不審者、
コーン=トンガリの妹、
いつも涎を垂らしている。
「えへへへへえへえええ」
カール君に恋をしていて、兄が嫌がることを
するのが好き。
「よろしくね♪」

「ミシュガルドの三角形は一人でいいのよ」
ポゥ・リンキー、彼女も夢を見たのか?
お菓子の美味しさを広める為に、
突如現れた彼女は、三角形の秘密を、
探ろうとしている者には容赦のない、
天誅をくだす。
ライバルはコーン=トンガリ
「三角形の秘密を知ったら
 どうなるかわかってるわよね?」


「メゼツ様、いまはどこに?」
アリエル・ルドガー=ゴールドハウアー
メゼツの許嫁の一人、ゴルドバウアー家の末裔。
鬼の血を引くとされている。
甲皇国は鬼家に属する、
甲・乙・丙家ありとあらゆる一族に根を張る、
影の一族である。
「メゼツ様を探さなければ」


「ふわわ」
ナッカ・ムーラは長毛種アンゴラ兎の亜人、
もともと諜報員だったが甲皇国軍につかまり、
筆舌を尽くしがたい暴行を受ける。
かろうじて脱出するが片目片耳を失う。
「あの夢、また見てしまった」
軍復帰後は最前線配属を志願、
鬼気迫る活躍を見せた。
「あんな自然がミシュガルドには、
 まだ豊富にあるというのに」
故郷アルフヘイムは禁断魔法により、
国土を汚染されてしまった。
「はやく復興するといいな」


「甲皇国の動きが予想以上に鈍いな」
ワトソニアはウッドピクス族でありながら、
エルカイダに身を寄せている。
かつて世界樹に仕えていた巫女の一人、
禁断魔法の影響で世界樹が枯れ、
甲皇国に深い恨みを抱き、
エルカイダの一員となったらしい。
「今は動き時だというのに、
 動けば叩けるというのに」
アルフヘイムの不毛の地に人体苗木を、
植える彼女の儀式は続く。
「くちおしや」


「商船はカカシで満杯やな」
キティ・ホーク提督はグリフォン系亜人、
SHW海軍艦隊司令。
船団護衛、または甲皇国艦隊への威嚇を行う。
戦時中の活躍もあることながら、
平時の商船団護衛は彼の主目の一つだ。
「悪くない、悪くないところまで来ているが、
 それでもこの船団だけでは心元ないな」
カカシとともに移民船団は行くものの、
年々増える移民の需要に、
船の新造が追いついていない状況なのだ。
「今は海の時代でもある、
 この先、甲皇国が仕掛けてこなければ、
 ええんやけど」


「んっ・・・自家発電んんんん」
キャッチ・ホールドはキリン型亜人、
戦争中は私掠船の船長だったが、
ミシュガルド大陸出現の際に、
私掠戦免許を剥奪されお尋ね者になる。
「エルカイダはあれね、
 陰気くさいったらないわね、
 もっと明るくいきましょうよ」
美しいものが人一倍好きな彼は、
自らのコレクションを前に、
満足げだったが、エルカイダの方針に、
すこし飽きてきているらしい。
「好きなものは背伸びしてでも
 キャッチしてみせるわ」
夢は見たのか?
「あの夢は変な夢だったわね」


「甲皇国軍と接触した隊もあるそうだ」
ベルクェット=マニュルーガ、
アルフヘイムのオーガ族、
戦争時多くの皇国軍部隊を葬った。
「今は戦時ではないが、互いが決めた、
 自由とやらがいつ混沌に変わるかは
 知れないからな」
極東の甲冑をしたその格好はいかついが、
「ま、直接戦闘になっても、
 我ら第三魔術鬼兵隊にはかなわんがな
 ガハハハハ」
と笑って見せる姿はおちゃめだ。


カーリマーターは見る神である、
そして見せる神であったが、
見たものは必ずしも自らの意志を、
阻害されたと感じるわけではないようで、
安心しているが、
内心の不安を抱えながら、
カーリマーターはミシュガルド開拓者を、
みつめている。

出典

ミシュガルド聖典キャラクター第十一登録所

http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=19322
12

タアアタ 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

<< 前 次 >>

トップに戻る