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「Thunderstruck」AC/DC

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動画はこちら
https://youtu.be/v2AC41dglnM


※下の子の入園式の様子を書いてますが、少し日にちが経っている為に記憶が曖昧になっており、細部が一部事実と異なる部分があるかもしれません。ご了承下さい。



 上の子は二年保育の幼稚園に通っていたが、下の子は妻が働きに出始めている事もあり、三年保育の認定こども園に通わせる事にした。幼稚園・保育園一体型で、現在は昼まで、もしくは妻の仕事終わり時間まで預かってもらえる。この先妻の勤務形態が変われば夕方まで預かってもらう事も可能だし、夏休みなど長期休み期間中も見てもらえる。

 自転車で飛ばせば自宅から五分の距離にある認定こども園「レッド・ツェッペリン」の入園式に行ってきた。と、すんなり書けるほど順調ではなかった。式への参加人数は限られている為、上の子のココは幼稚園時代のママ友さんの所で昼まで遊んでもらう事にしていた。一足先に妻が娘を送っていく予定が、こういう時に限って健三郎は早く起き出して、娘に付いて行きたがる。それなら支度してちょっと早めに皆で出かけようか、となると、制服を着たがらない。急かせる為にRAINBOW「キル・ザ・キング」を流して「デンジャー! デンジャー!」の所を「健ちゃん! 健ちゃん! 早く着替えて!」と歌ってみても逆効果で、高速鬼ごっこが始まるばかりであった。

 そもそも制服というのも理不尽なものだ。元々妻の勤め先と提携している保育園で、妻が就労中は預かってもらっていたので、集団生活については心配していなかったが、制服を着るのは初めてだった。まだまだ朝夕は肌寒く、ハーフパンツは股がスースーする。体操着までは着たが制服の上着は嫌がり、いつものお気に入りのジャンパーで妥協した。

 娘のココは早くも小学三年生である。隣家の兄妹リンとリクの内、兄のリクは中学生になった。朝の登校班にリクが参加する事はもうない。そんな話を娘とした折、「ココも中学生になったら制服だね」と言うと嫌そうな顔をした。ココは普段からスカートをあまり履かない。持ってない事はないのだが、好んでは選ばないようだ。履いても何故か家の中でだけである。好まぬ衣服を毎日着なければいけなくなる、というのも辛い事だろう。もう少し大きくなり、私服を毎日選ぶ事の方が面倒になれば別だが、今は不満しか浮かばないだろう。

 子供のうちの遊びについても似たことが言える。現在三歳五ヶ月の健三郎の遊び方を眺めていると、ルールは彼自身が作っている。絵本を並べてコース作りをしてその上にミニカーを走らせるだとか、プラレールの線路を恐竜が破壊し、既に打ち倒された電車の影に隠れるミニカー達をブラキオサウルスが追い込んでいくとか、お出かけの際に私の靴を予め外に出しておき、靴を探して困っている父親を見て爆笑するだとか。園ではそうはいかないだろう。

 どうにかこうにか息子をそれなりの格好にさせ、娘をママ友さん宅に送り届け、空いた時間でコンビニでおにぎりを食べ終え、「レッド・ツェッペリン」へと向かった。よく晴れた空の下、校庭での入園式。距離を置いてゼロ歳から五歳まで年齢ごちゃまぜの新入生と保護者が並ぶ。行事内容と、自分が何故ここにいるのかをあまり理解していない健三郎をなだめたり、指演劇(指を人や動物に見立ててお芝居をする)で気をそらしたりしていたので、園長先生の話はあまり聞いていなかった。続いて先生と年長組で歌と踊りが始まるという。しっかりマスクをして距離を取って並ぶ年長組の園児達と、保育士さん三名と、アンガス・ヤング(オーストラリアのハードロック・バンド「AC/DC」のギタリスト)が現れた。園の制服のデザインに似たファッションに身を包んだアンガス・ヤングは、世界一制服を愛しているギタリストかもしれなかった。彼はもちろんギブソンのSGを引っさげている。それを見て私も紙袋からSG仕様のアンパンマンギターを取り出して健三郎に手渡した。「入園式当日の持ち物」に書いてあったので何の事だと思っていたが、アンガス・ヤングの姿を見て納得した。アンガスは早速馴染みのあるギターイントロを弾き始めた。「Thunderstruck」である。園児達が足踏みを始める。先生達が「サンダー!」と叫び、子供らはコーラス部分「アアアアーアアアーアー」を担当する。アンガスはダックウォーク(アヒルが歩くようなステップ)しながらギターをかき鳴らしている。健三郎もつられて「アアアー、ア!」と叫んでいるがそれはレッド・ツェッペリン「移民の歌」のアアアーである。健三郎は結局叫んだりリズムを刻んで踊ってばかりなので、SG仕様のアンパンマンギターは私が弾いてみた。しかし入園式にアンガス・ヤングが来日してAC/DCの曲を演るなんて聞いていなかったものだから、当然弾けない。

 雲一つない青すぎる空に、地上から雷鳴のような演奏が響き渡る。うまく行かない事もたくさんあるだろうけれど、こうして楽しそうに身体を揺らす時間が時々あればそれでいいか、とも思えた。

 翌日の登園時も制服の上着はまだ着なかったが、きっちり私の靴は隠された。


(了)

おまけ
いろんなThunderstruck動画

お坊さんが木魚を叩きながらThunderstruckを歌う動画
https://youtu.be/MNgIHT65hC4

近所に住むカントリーおじさん達がThunderstruckを演奏する動画
https://youtu.be/e4Ao-iNPPUc


ピアノでベートーヴェン演奏中に混ざってきたThunderstruck
https://youtu.be/VxneFyWEVdQ
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