ある冒険者の備忘録
ある冒険者の備忘録
ウオッチマン
骨甲皇国軍の従軍記にはやれ武功だ戦の華だ
息まいて活弁士のやり口で言いくるめる寸法
算段、色々とあるものだが、時計ばかりを
気にしてる軍人の話がときをり出てくる。
「今何時ですか?」
訪ねればかならずこう帰ってくる。
「そう長くはありませんよ」
時を訪ねて尺度で返されるそんなことが
そうそうあっていいものではないが
慰安所で飲んで呑んで煙たがられた話には
なんで70年も戦えたのか知ってるか?
おれたちが絶倫だったから?
いやな数が合わないんだよ数さ
少なくとも俺が三十人いたことになってる
そらお前は魚類か両生類か? いやあれか?
ああそらあれだ時計の針がおかしいってやつ
そう時計の針はだいぶイカれていた
時計は早く回っていたゼンマイが切れるのも
当然はやいもので橋頭保を築いたころには
マトモな軍人は気づいてた負け戦だって
でも70年続いたマトモじゃなかったからだ
少なくともおれん身内の将兵でマトモに
戦ったやつの話は知らん大体が後方か
輜重隊の支援とかで実戦に出てるのの大半は
形式番号で呼ばれててそのなかでも割合と
時計だ時計を気にしてるのがいた
そいつらは全員混血でまあ下っ端で
軍規には忠実だったがいかんせん増やし過ぎ
どこでも時計の秒針が一回りする働きをし
分針がひとつ動くと転戦、時報で報告し
12時を過ぎる頃には屍の一番上の屍
ウオッチマンはそういうやつらだ
クロでもシロでもなくハイだったんだな
ウオッチマン
骨甲皇国軍の従軍記にはやれ武功だ戦の華だ
息まいて活弁士のやり口で言いくるめる寸法
算段、色々とあるものだが、時計ばかりを
気にしてる軍人の話がときをり出てくる。
「今何時ですか?」
訪ねればかならずこう帰ってくる。
「そう長くはありませんよ」
時を訪ねて尺度で返されるそんなことが
そうそうあっていいものではないが
慰安所で飲んで呑んで煙たがられた話には
なんで70年も戦えたのか知ってるか?
おれたちが絶倫だったから?
いやな数が合わないんだよ数さ
少なくとも俺が三十人いたことになってる
そらお前は魚類か両生類か? いやあれか?
ああそらあれだ時計の針がおかしいってやつ
そう時計の針はだいぶイカれていた
時計は早く回っていたゼンマイが切れるのも
当然はやいもので橋頭保を築いたころには
マトモな軍人は気づいてた負け戦だって
でも70年続いたマトモじゃなかったからだ
少なくともおれん身内の将兵でマトモに
戦ったやつの話は知らん大体が後方か
輜重隊の支援とかで実戦に出てるのの大半は
形式番号で呼ばれててそのなかでも割合と
時計だ時計を気にしてるのがいた
そいつらは全員混血でまあ下っ端で
軍規には忠実だったがいかんせん増やし過ぎ
どこでも時計の秒針が一回りする働きをし
分針がひとつ動くと転戦、時報で報告し
12時を過ぎる頃には屍の一番上の屍
ウオッチマンはそういうやつらだ
クロでもシロでもなくハイだったんだな
ブイ
ぼくがききたいのは時計の話ではないんです
そういうと人差し指と中指のふたつをこちら
に示して二つ指を立て開く何かの合図なのか
ぼくが知りたいのはまあごく普通の幼馴染の
ちょっとした思い出話でしてね
話しぶりから小骨が引っ掛かった気はしてた
そうですね彼は時計よりも働き者です
出会いは僕が肺病患ってたまたま入院してた
頃合いですがまあぼくみたいな子は多くて
なにせ公害といいますか丈夫な方はみんな
海の向こうに行ってしまってましたから
そうもなると弱い子のなかでもこう自然と
あたらしい決まり事というのが出来たんです
たとえば
折りたたんでいた指を一つ一つ広げるたび
こちらに確認をとる、数えているのか?
人と違うところを数えるようになるんです
お医者様はずいぶんと多くのテストを
患者さんに行うようになっていって
もちろん僕はそんなに数えるほど無いですが
あの子にはとても耐えられないことだきっと
そう思っていたら親御さんのほうが折れて
気付いたら彼にはそんな数えるほどのことは
なくなってましたそして彼はこうしたんです
人差し指と中指の二つ指を立て開いて示す
彼は海の向こうにいってしまいました
親御さんはそれはいいことだとてもと
でも僕はいまでもずっと彼を探してるんです
彼の親御さんが折ってしまった彼のこれと
これとこれとこれとこれとこれとこれとこれ
他にもチェック項目はたくさんありました
まあチェックするたびに彼からは無くなって
僕はそのチェックリストから探してるんです
「何を?」
彼の生きた証を
ぼくがききたいのは時計の話ではないんです
そういうと人差し指と中指のふたつをこちら
に示して二つ指を立て開く何かの合図なのか
ぼくが知りたいのはまあごく普通の幼馴染の
ちょっとした思い出話でしてね
話しぶりから小骨が引っ掛かった気はしてた
そうですね彼は時計よりも働き者です
出会いは僕が肺病患ってたまたま入院してた
頃合いですがまあぼくみたいな子は多くて
なにせ公害といいますか丈夫な方はみんな
海の向こうに行ってしまってましたから
そうもなると弱い子のなかでもこう自然と
あたらしい決まり事というのが出来たんです
たとえば
折りたたんでいた指を一つ一つ広げるたび
こちらに確認をとる、数えているのか?
人と違うところを数えるようになるんです
お医者様はずいぶんと多くのテストを
患者さんに行うようになっていって
もちろん僕はそんなに数えるほど無いですが
あの子にはとても耐えられないことだきっと
そう思っていたら親御さんのほうが折れて
気付いたら彼にはそんな数えるほどのことは
なくなってましたそして彼はこうしたんです
人差し指と中指の二つ指を立て開いて示す
彼は海の向こうにいってしまいました
親御さんはそれはいいことだとてもと
でも僕はいまでもずっと彼を探してるんです
彼の親御さんが折ってしまった彼のこれと
これとこれとこれとこれとこれとこれとこれ
他にもチェック項目はたくさんありました
まあチェックするたびに彼からは無くなって
僕はそのチェックリストから探してるんです
「何を?」
彼の生きた証を
内戦
70年も妾を相手にしてると本妻のこと
なんてまあ忘れちまうもんで無理もない
つい最近までは新式だっていうのも
あっちじゃもう古強者だっていうんだが
俺はこの火縄も立派な寸法で数揃えて
それなりに役に立ったとは思うんだよ
そら最初は舶来品だよ何でも火薬の類も
こう仕掛けってのもなかなかわからんでな
それをたまたま職人がこれをこうこうって
気付いたら七万丁はお上に納めててな
そしたらまあ弾が足りないってんで弾を
はじき出して巷であるだろ?あれよ!
パチンコ!アレに使ってるの火縄の弾よ!
まあ関係なかったかでもうちじゃ
猟銃としてしかもう使ってねえなってもん
皇帝陛下が皇子ってな頃から愛用してたら
気付いたら甲乙丙丁でドンパチだよ
誰が勝った負けたじゃないよ作りすぎだよ
投入された鉄の総量がどうとか知らんが
それを町民にあてがったと思えば、今度は
町民に向けてるわけだ、都からでていけー
どっちがどっちに? そらわかろうもんか
気付いたら禁足地だとか開拓だとか
鉱山に働きにいかされたりでそっからもう
オーパーツだよ、なんでもエルフ古語だ
古文書だなんだとか引っ張り出して
悪癖だねすっかり妾の色香に惑わされて
遂には海の向こうにひと肌恋しさに
行っちまった
まあ良かったとは思うよ
おかげで町民はパチ屋で時間と金スッテ
茶屋で適当に勝ち負けの話してる
何の勝ち負けかって? 生活費だよ
みんな人の女にそんな興味はないもんさ
70年も妾を相手にしてると本妻のこと
なんてまあ忘れちまうもんで無理もない
つい最近までは新式だっていうのも
あっちじゃもう古強者だっていうんだが
俺はこの火縄も立派な寸法で数揃えて
それなりに役に立ったとは思うんだよ
そら最初は舶来品だよ何でも火薬の類も
こう仕掛けってのもなかなかわからんでな
それをたまたま職人がこれをこうこうって
気付いたら七万丁はお上に納めててな
そしたらまあ弾が足りないってんで弾を
はじき出して巷であるだろ?あれよ!
パチンコ!アレに使ってるの火縄の弾よ!
まあ関係なかったかでもうちじゃ
猟銃としてしかもう使ってねえなってもん
皇帝陛下が皇子ってな頃から愛用してたら
気付いたら甲乙丙丁でドンパチだよ
誰が勝った負けたじゃないよ作りすぎだよ
投入された鉄の総量がどうとか知らんが
それを町民にあてがったと思えば、今度は
町民に向けてるわけだ、都からでていけー
どっちがどっちに? そらわかろうもんか
気付いたら禁足地だとか開拓だとか
鉱山に働きにいかされたりでそっからもう
オーパーツだよ、なんでもエルフ古語だ
古文書だなんだとか引っ張り出して
悪癖だねすっかり妾の色香に惑わされて
遂には海の向こうにひと肌恋しさに
行っちまった
まあ良かったとは思うよ
おかげで町民はパチ屋で時間と金スッテ
茶屋で適当に勝ち負けの話してる
何の勝ち負けかって? 生活費だよ
みんな人の女にそんな興味はないもんさ
ハイ
ここらじゃもうクロかシロかでいうと
クロのほうが多いんだが無理もねえ
シロはさそらお上品だよお上品だけど
愛が重いんだ大事にしないといけねえ
でもクロのほうはふところがね
おっといけねえなおなじふところでも
たぶんこっちのはなしだったな
時計
これはまあ骨甲皇国の支給品でな
昔っからこれがなんかしらねえけど
軍人さんに一定の数需要があって
とにかくだ何に使うかわかんねえけど
じいさんならわかることもあるだろう
わしゃなんもしらん
時計の針をくるくると回していると
チクチク音もしている逆周り
時計の針が巻き戻ると記憶も若くなる
しらんのだほんとうになにも
あたまでわかる必要はなにもないのだ
ゼンマイが痛い音を立てると時計から
注射針が伸びたこういう仕掛けか
しらんぞ? どうなっても
それだけ聞ければ十分だ
じゅっぷんと掛からずよく分かること
「成分は今も生きている」
「じじいはもういいのか?」
「シロかクロか?」
「シマシマはちまたじゃハイだってさ」
そう言い終わると収容所をあとにして
「船倉には?」「一万ってとこです」
「十分だねまあまた放牧してみよう」
きづいたらまあここはグレーだから
ハイそうですかとできちまうことはある
そういうもん
ここらじゃもうクロかシロかでいうと
クロのほうが多いんだが無理もねえ
シロはさそらお上品だよお上品だけど
愛が重いんだ大事にしないといけねえ
でもクロのほうはふところがね
おっといけねえなおなじふところでも
たぶんこっちのはなしだったな
時計
これはまあ骨甲皇国の支給品でな
昔っからこれがなんかしらねえけど
軍人さんに一定の数需要があって
とにかくだ何に使うかわかんねえけど
じいさんならわかることもあるだろう
わしゃなんもしらん
時計の針をくるくると回していると
チクチク音もしている逆周り
時計の針が巻き戻ると記憶も若くなる
しらんのだほんとうになにも
あたまでわかる必要はなにもないのだ
ゼンマイが痛い音を立てると時計から
注射針が伸びたこういう仕掛けか
しらんぞ? どうなっても
それだけ聞ければ十分だ
じゅっぷんと掛からずよく分かること
「成分は今も生きている」
「じじいはもういいのか?」
「シロかクロか?」
「シマシマはちまたじゃハイだってさ」
そう言い終わると収容所をあとにして
「船倉には?」「一万ってとこです」
「十分だねまあまた放牧してみよう」
きづいたらまあここはグレーだから
ハイそうですかとできちまうことはある
そういうもん
多様性
まあここじゃ多様性って言葉が最適だが
じゃあさこれは考え方なんだがね
俺らってのはまあ言語ってのがノーマル
でもさ言語ってのは使うこと自体が
多様性からすると可否の問題になる
どういう意味か分かるかい?
まあ考えてみて欲しいんだが言語の根幹
その中心は言葉だよでもな言葉ってのは
基本として理解が及ぶから成立する
つまり理解できない言葉を理解しようと
割いているリソースってやつはさ
多様性からすると平等ってのじゃない
負担なんだ、そらものごっすいな
だから言語には可否がふさわしいんだ
おれはこれでは喋りませんおれは
これしか喋りません、これが多様性な?
ネズミはチューチュー言ってるし
猫はニャーニャー言ってる多様性だろ?
これにネズミはネコを学ぶべきである
とか
ネコはネズミを学ぶべきである
とか
言ったらどうなると思うね?
ネズミ算のネコと
コタツで丸くなるネズミ
こういう自らの生と性質に怠惰になる
言語特性の入れ替わりが起きちまってさ
生態系ってのがまともに成り立つかな?
おれたち人間ってのは相互理解ってので
どうも費やされるリソースが理解
出来てないみたいなんだよな
まあオレが学説として唱えても
どうにもお偉いさんにはわからんらしい
原生生物には原生生物の時間があるのだ
まあここじゃ多様性って言葉が最適だが
じゃあさこれは考え方なんだがね
俺らってのはまあ言語ってのがノーマル
でもさ言語ってのは使うこと自体が
多様性からすると可否の問題になる
どういう意味か分かるかい?
まあ考えてみて欲しいんだが言語の根幹
その中心は言葉だよでもな言葉ってのは
基本として理解が及ぶから成立する
つまり理解できない言葉を理解しようと
割いているリソースってやつはさ
多様性からすると平等ってのじゃない
負担なんだ、そらものごっすいな
だから言語には可否がふさわしいんだ
おれはこれでは喋りませんおれは
これしか喋りません、これが多様性な?
ネズミはチューチュー言ってるし
猫はニャーニャー言ってる多様性だろ?
これにネズミはネコを学ぶべきである
とか
ネコはネズミを学ぶべきである
とか
言ったらどうなると思うね?
ネズミ算のネコと
コタツで丸くなるネズミ
こういう自らの生と性質に怠惰になる
言語特性の入れ替わりが起きちまってさ
生態系ってのがまともに成り立つかな?
おれたち人間ってのは相互理解ってので
どうも費やされるリソースが理解
出来てないみたいなんだよな
まあオレが学説として唱えても
どうにもお偉いさんにはわからんらしい
原生生物には原生生物の時間があるのだ
供給加速性
戦時中の話なんですがね輸出用に
どうにも家畜用の飼料が戦地で増えまして
そんなもん戦地で何に食わせるんだって
そら先生も農家も大変怒ってましたよ
でもなんかそのうちに帰還兵のお土産に
アルフヘイムビーフっていうのが決まりで
なんかこう向こうの土地に適合した品種が
たまたまいたとかなんだとか言うんですが
ええそらまあ活きのいいお肉ですし
アルフヘイム産の食品は栄養価も高いって
老いも若いも喜んで食べてましたよ
でもね段々ちょっとおかしいんじゃないか
っていう話もいくらかありましたね
だって産地がどれも前線で激戦地ですよ?
そこで牛を育ててるんですかね?
だからきっとなんかいけないんだって
アルフヘイム産品の不買運動とかなんとか
ちょっとそれにかこつけて、ええ
まあ臣民としては当然の義務ですよ
そしたらそこからは骨甲皇国食肉加工場
そこから支給されるミンチのほうが宣伝で
確かにおいしいですしレンガパンをお湯で
煮込んで食味やらかくして挟んで食べると
とてもジューシーでレンガの家って名前で
どこの家庭でもよく食べてましたね
けど終戦後、もうアルフヘイムビーフも
レンガの家もめっきりなくなっちゃって
あれはいったい何のお肉だったんですかね?
虫よりおいしかったですし
さいきん流行ってるローパーよりも
脂っこくなくて赤みが多くて
そうですねあれですかね懐古趣味というか
ついむかしがなつかしくて、戦時中
あのお肉は市場からなかなか無くなるって
ことはめったにありませんでしたね
戦時中の話なんですがね輸出用に
どうにも家畜用の飼料が戦地で増えまして
そんなもん戦地で何に食わせるんだって
そら先生も農家も大変怒ってましたよ
でもなんかそのうちに帰還兵のお土産に
アルフヘイムビーフっていうのが決まりで
なんかこう向こうの土地に適合した品種が
たまたまいたとかなんだとか言うんですが
ええそらまあ活きのいいお肉ですし
アルフヘイム産の食品は栄養価も高いって
老いも若いも喜んで食べてましたよ
でもね段々ちょっとおかしいんじゃないか
っていう話もいくらかありましたね
だって産地がどれも前線で激戦地ですよ?
そこで牛を育ててるんですかね?
だからきっとなんかいけないんだって
アルフヘイム産品の不買運動とかなんとか
ちょっとそれにかこつけて、ええ
まあ臣民としては当然の義務ですよ
そしたらそこからは骨甲皇国食肉加工場
そこから支給されるミンチのほうが宣伝で
確かにおいしいですしレンガパンをお湯で
煮込んで食味やらかくして挟んで食べると
とてもジューシーでレンガの家って名前で
どこの家庭でもよく食べてましたね
けど終戦後、もうアルフヘイムビーフも
レンガの家もめっきりなくなっちゃって
あれはいったい何のお肉だったんですかね?
虫よりおいしかったですし
さいきん流行ってるローパーよりも
脂っこくなくて赤みが多くて
そうですねあれですかね懐古趣味というか
ついむかしがなつかしくて、戦時中
あのお肉は市場からなかなか無くなるって
ことはめったにありませんでしたね
スポッター
戦時中の竜破がどう戦ってたかって?
そうだな兵器ってのは目が命でさ
鉄砲も大砲も目方が出来てなきゃ当たらね
ん?竜破は鎧だろってか?変わらねえよ
虫戦車も魔力タンクもそう変わらねえよ
あるべきばしょにあるべき量を
基本はそれだなそれがたぶん分かってた
竜破乗りが眼が良かったって話じゃねえ
むしろ走破距離の話になってくるな
実際な普通の兵隊でもそんな行軍距離は
稼げないのはザラでな、どこも
少ない陣地を切り取るのに何年も何年も
奪い合いして遅々として進まねえなんて
あたりきでよ、そうなると行軍距離なんて
敵地で稼げるもんじゃねえ
けど竜破は別でな相手の一番痛いところ
突いたってのかな、竜破一体の走破距離は
なんでも魔力タンクよりもあったってのが
もっぱらだ、わけもわかろうもんよ?
なんせ敵さんの暴れん坊ってやつは
群れるのを嫌うのよ、そうなるとだ
アルフヘイムにこれぞありってだけで
偉そうに拠を構えて居座ってるんだな
知らずとそいつら過大評価になってて
段々と顔を覚えてるって時計持ちにも
報告がいってさ、そうなると混血どもが
続々と竜破隊に情報提供して
本当なら使い捨てって竜破も共闘して
なんとまあ順番に拠点叩いて戦果上げて
帰ってきやがったのよ
走破距離はざっとアルフヘイム横断できる
そんなくらいは目方にあったってさ
そん時のことから今の竜破にスポッターと
連動するためのセルレーダーと機材が
いくらか扱われてるって話だよ
戦時中の竜破がどう戦ってたかって?
そうだな兵器ってのは目が命でさ
鉄砲も大砲も目方が出来てなきゃ当たらね
ん?竜破は鎧だろってか?変わらねえよ
虫戦車も魔力タンクもそう変わらねえよ
あるべきばしょにあるべき量を
基本はそれだなそれがたぶん分かってた
竜破乗りが眼が良かったって話じゃねえ
むしろ走破距離の話になってくるな
実際な普通の兵隊でもそんな行軍距離は
稼げないのはザラでな、どこも
少ない陣地を切り取るのに何年も何年も
奪い合いして遅々として進まねえなんて
あたりきでよ、そうなると行軍距離なんて
敵地で稼げるもんじゃねえ
けど竜破は別でな相手の一番痛いところ
突いたってのかな、竜破一体の走破距離は
なんでも魔力タンクよりもあったってのが
もっぱらだ、わけもわかろうもんよ?
なんせ敵さんの暴れん坊ってやつは
群れるのを嫌うのよ、そうなるとだ
アルフヘイムにこれぞありってだけで
偉そうに拠を構えて居座ってるんだな
知らずとそいつら過大評価になってて
段々と顔を覚えてるって時計持ちにも
報告がいってさ、そうなると混血どもが
続々と竜破隊に情報提供して
本当なら使い捨てって竜破も共闘して
なんとまあ順番に拠点叩いて戦果上げて
帰ってきやがったのよ
走破距離はざっとアルフヘイム横断できる
そんなくらいは目方にあったってさ
そん時のことから今の竜破にスポッターと
連動するためのセルレーダーと機材が
いくらか扱われてるって話だよ
ウオッチャー
「竜破隊のお嬢さん時間ですよ」
ミシュガルド大陸での竜破の仕事は多岐だ
地下坑道のゲスライム配水除去
城塞都市の破壊された壁面修理警護
原生生物との実戦、どれも大交易所で
難度が高そうなクエストや依頼に冒険者が
挑んだ結果、引き起こされる問題である
そう冒険者が依頼達成しようがしまいが
これを確認し依頼主に報告する義務までを
完遂するに調査が必要なのだ。
その調査を引き受けてる下請け業者は
早々と現地入りして内情を把握して
いつも時間との闘いをしている
竜破はあくまでもその闘いのお手伝いで
いわばよく歩く重機みたいなものである。
「ウオッチャーさん障害の除去完遂です」
「よくやってくれました時間内です
余暇時間はサービスですね
お茶にしましょうか?」
そうして茶器を揃えてくれる灰色の耳
「ウオッチャーさんはこの仕事は
長いんですか?」
「そう長くはないですよ」
紳士的でかついつも時計を気にしてる
「でも」
パタリと時計を閉じると
「あなたのおかげで
長らえてる命でもあります」
紅茶の一滴が血の一滴なのだと武門の家で
そう教えられては来たものだが
たぶん決定的に生きている時間が違うのだ
「さて目標箇所はあと七十二
今日中に頼みますよ」
「ひえ」
ただ今だけは同じ道を歩んでいる
「竜破隊のお嬢さん時間ですよ」
ミシュガルド大陸での竜破の仕事は多岐だ
地下坑道のゲスライム配水除去
城塞都市の破壊された壁面修理警護
原生生物との実戦、どれも大交易所で
難度が高そうなクエストや依頼に冒険者が
挑んだ結果、引き起こされる問題である
そう冒険者が依頼達成しようがしまいが
これを確認し依頼主に報告する義務までを
完遂するに調査が必要なのだ。
その調査を引き受けてる下請け業者は
早々と現地入りして内情を把握して
いつも時間との闘いをしている
竜破はあくまでもその闘いのお手伝いで
いわばよく歩く重機みたいなものである。
「ウオッチャーさん障害の除去完遂です」
「よくやってくれました時間内です
余暇時間はサービスですね
お茶にしましょうか?」
そうして茶器を揃えてくれる灰色の耳
「ウオッチャーさんはこの仕事は
長いんですか?」
「そう長くはないですよ」
紳士的でかついつも時計を気にしてる
「でも」
パタリと時計を閉じると
「あなたのおかげで
長らえてる命でもあります」
紅茶の一滴が血の一滴なのだと武門の家で
そう教えられては来たものだが
たぶん決定的に生きている時間が違うのだ
「さて目標箇所はあと七十二
今日中に頼みますよ」
「ひえ」
ただ今だけは同じ道を歩んでいる
航空支援
アルフヘイムの古来から伝わる戦術とし
『翼があるものの目を信じよ』とある
アルフヘイムの古地図を作り上げた時代
各地の異種族は土地神の祟りを畏れて
翼を持つものを凶兆とし天地の神力に
頼っては霧の護りを得て翼の目を封じた
精霊との契りを結んだ妖精族はもとより
土地神や地母神と天津神・国津神どれも
多くの守護と祝詞の扱いに長けており
畏敬の念は翻って神威を削ぐものとなり
呪詛の類を不和と言の葉の大樹に齎すと
異種族間の霧の縛り陰りが闇の到来に
繋がると翼のあるものに告げ妖精の意を
伝搬させる役職を祝福とともに与えた
ひとつには楽隊を旅芸人の見聞に与えて
ひとつには旗振りを見張りの技と教えて
ひとつには種火を夜目への備えと与えて
ひとつには言の葉を多くの国の礎と渡し
そうして翼のもたらした風は霧を流して
晴れの場を作り古来者そこに天風の祠を
やがて霧の護りから出でて日の光を拝む
多くの異種族が晴れの舞台より持ち帰る
日の源を霧深い暗がりに捧げると土地神
大いに笑って霧模様は晴れの場に冴えた
ただ大地ともなる山神が笑い転げたので
大きなひび割れが各所に興りこれ驚きて
笑み為とし祀って異種族の武勲が興りと
それは為った霧深く立ち込め笑み為より
来訪者は異界の念をもたらさんと度々に
異種族の長と互いの牙と爪や角立てては
お里が知れるになったは長門よりという
これのちに外海に臨む猛者として戦事の
備えとなった故に翼のあるものの目を
信じよと盾と槍に力あるもの程誓うのだ
――アルフヘイム航空隊妖精御言葉荒鷲
アルフヘイムの古来から伝わる戦術とし
『翼があるものの目を信じよ』とある
アルフヘイムの古地図を作り上げた時代
各地の異種族は土地神の祟りを畏れて
翼を持つものを凶兆とし天地の神力に
頼っては霧の護りを得て翼の目を封じた
精霊との契りを結んだ妖精族はもとより
土地神や地母神と天津神・国津神どれも
多くの守護と祝詞の扱いに長けており
畏敬の念は翻って神威を削ぐものとなり
呪詛の類を不和と言の葉の大樹に齎すと
異種族間の霧の縛り陰りが闇の到来に
繋がると翼のあるものに告げ妖精の意を
伝搬させる役職を祝福とともに与えた
ひとつには楽隊を旅芸人の見聞に与えて
ひとつには旗振りを見張りの技と教えて
ひとつには種火を夜目への備えと与えて
ひとつには言の葉を多くの国の礎と渡し
そうして翼のもたらした風は霧を流して
晴れの場を作り古来者そこに天風の祠を
やがて霧の護りから出でて日の光を拝む
多くの異種族が晴れの舞台より持ち帰る
日の源を霧深い暗がりに捧げると土地神
大いに笑って霧模様は晴れの場に冴えた
ただ大地ともなる山神が笑い転げたので
大きなひび割れが各所に興りこれ驚きて
笑み為とし祀って異種族の武勲が興りと
それは為った霧深く立ち込め笑み為より
来訪者は異界の念をもたらさんと度々に
異種族の長と互いの牙と爪や角立てては
お里が知れるになったは長門よりという
これのちに外海に臨む猛者として戦事の
備えとなった故に翼のあるものの目を
信じよと盾と槍に力あるもの程誓うのだ
――アルフヘイム航空隊妖精御言葉荒鷲
千代に社に
宝物殿を備えよと王を名乗るものが発し
タカラを集めよと国長を称するもの伝え
ヒカリモノを揃えよと族長はお触れをし
たまを磨けと頭はしきりに娘たち働かせ
そうしたことを風の噂に翼が伝えたが
妖精はふと王とは何かと翼に問うた
翼は返して三層貫くものと槍をたてたが
妖精は三層留め置くことと翼に伝えた
翼は娘たちに羽根を与え筆とし言の葉に
頭みがきたま祝福されたと土産と献上し
族長ヒカリモノ集ったと祭り催し献上し
国長タカラが一同会したと国事とし献上
王は臣下の立てた宝物殿にこれ納めると
「だれが一番の働きをしたか」と問うた
働きを伝えるは恐れ多きことと災い招く
行いだと国長族長頭は名ばかりと謙遜す
「だれも言葉を携えておらんのか」問う
上のもの達頭たちの娘たち御名で呼ぶが
娘たちは同じ言葉で名乗りの王に告げる
「王とは三層留め置くことだ」と告げる
これは奇なことだ生まれも土地も場所も
肌も声も言葉も異なるが意味は同じくだ
これに王を名乗ったことを恥じたからか
娘たち皆にタカラを頭頂に冠して返して
「これは三層留め置くものです」と捧げ
娘たちは冠を郷に使いのものと持ち帰り
社にこれを祀って三層留め置く冠とした
こうして宝物殿は栄えなかったが備えは
成ったことから三層は留め置かれたを
翼は妖精に伝えるとことにあって応えは
こと王を立てこと訪ねては冠を返すこと
こうして輝きは川となるのだと天を仰ぎ
妖精は千代の世は開けてちりばめられる
翼はアルフヘイムびとのはじまりをみた
宝物殿を備えよと王を名乗るものが発し
タカラを集めよと国長を称するもの伝え
ヒカリモノを揃えよと族長はお触れをし
たまを磨けと頭はしきりに娘たち働かせ
そうしたことを風の噂に翼が伝えたが
妖精はふと王とは何かと翼に問うた
翼は返して三層貫くものと槍をたてたが
妖精は三層留め置くことと翼に伝えた
翼は娘たちに羽根を与え筆とし言の葉に
頭みがきたま祝福されたと土産と献上し
族長ヒカリモノ集ったと祭り催し献上し
国長タカラが一同会したと国事とし献上
王は臣下の立てた宝物殿にこれ納めると
「だれが一番の働きをしたか」と問うた
働きを伝えるは恐れ多きことと災い招く
行いだと国長族長頭は名ばかりと謙遜す
「だれも言葉を携えておらんのか」問う
上のもの達頭たちの娘たち御名で呼ぶが
娘たちは同じ言葉で名乗りの王に告げる
「王とは三層留め置くことだ」と告げる
これは奇なことだ生まれも土地も場所も
肌も声も言葉も異なるが意味は同じくだ
これに王を名乗ったことを恥じたからか
娘たち皆にタカラを頭頂に冠して返して
「これは三層留め置くものです」と捧げ
娘たちは冠を郷に使いのものと持ち帰り
社にこれを祀って三層留め置く冠とした
こうして宝物殿は栄えなかったが備えは
成ったことから三層は留め置かれたを
翼は妖精に伝えるとことにあって応えは
こと王を立てこと訪ねては冠を返すこと
こうして輝きは川となるのだと天を仰ぎ
妖精は千代の世は開けてちりばめられる
翼はアルフヘイムびとのはじまりをみた