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外部とのわずかな接点

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 電話は赤色公衆電話がナースセンター窓口の内部に設置してあるのが見えた。
ダイヤル部分はナースセンター側の方を向いていて、廊下側の患者が通行しても良い場所からは手が届かない。
利用したければかけたい所を申し出て、センター内部にいる看護師が受話器を取って10円(ナースセンター内部から持ってきた)を入れダイヤルしてもらい、コードを伸ばした受話器をしゃべる人が窓口越しに受け取って使う。
自分で好きなようにはかけられない。
私は頼んでも使わせてもらえないんだろうな・・・そう感じた。
 テレビは部屋の上の方に設置してあったが、リモコンは一人の決まった人が握っており、好きなチャンネルが自由に見られるわけではなかった。
スイッチの入、切もリモコンでしかできない。リモコンを持っているその人だけがスイッチを入れ、チャンネルを変えて、部屋を去る時消して出て行った。
大体、つけること自体少なかった。
 1日に数回、ラジオ体操の音楽がいきなり館内に流れて何人かの患者が立ち上がって体操を始める。体操を強要されることはない。
基本、ほとんど看護師が部屋に来ることがない。
 お風呂の日も私を呼びに来る看護師はいない。
どこに浴室があるのかを私は知らない・・・自分が動き回れる範囲内に浴室を見たことがないし、私にはバスタオルもない。
まなみさんが、気にかけてくれていたようだが、「わたしの・・、ぁーバスタオルは・・・ぅ〜…ん・・・」と口ごもり、貸すのを(1枚しかないので一緒に使う事になる)ためらう様子だった。
さすがに昨日今日会ったばかりの他人とバスタオルまで共用するのは抵抗があるらしい。まなみさんの神経は極めてまともだ。
   二日目の夜もまなみさんの隣で眠った覚えがある。
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 普段リラックスして暮らしている皆が看護師が来ると緊張が走り、こわばっていた。 

看護師が洗い上がったたくさんの洗濯物をたたんでいる時、自分の服もあったので手を伸ばすと、
「触らないでっ!!グチャグチャになるでしょう!!!」と怒鳴りながら手を叩かれた。
こんな調子で患者を人として扱わないような看護師が数名いた。
そうでないスタッフもいたが。
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多治見リョー 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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