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第弐話「能力」

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僕、神崎一九は今「ザ・メンタル」で言うところの「黒」の本拠地にいる。


「君が断れば世界は終わる・・・多分」

多分ってなんだよ、そんな曖昧でいいの?
世界だよ世界?
そう考えていると、隣の赤髪の・・・名前なんだったかな・・そうッ藤崎紀伊だ、年齢不詳。

「多分はこいつの口癖よ、気にしないで」


っというとマジで僕が断れば世界終わっちゃうの?

「選択は君の自由だ、選びたまえ今すぐ」
黒の指導者こと内藤白秋は静かに言う。
・・・別に僕が死んでも悲しむ人なんていないしなぁ、あっ親が悲しむか。
まっどうでもいっか。

「いいですよ、やりますよ俺が」
「そうか・・それは有難い。
 ところで君の能力は何かね?」
「こいつは、まだ完全に能力が発現し切っていないので不詳だぜ」
間髪いれずに紀伊が言う。
「じゃあ今から1時間以内に発現させたまえ、分かったね?」
「え?1時間以内ってそんなのやり方も分からないのにどうすれば」
「さっさと行って来い、紀伊教えてやれ」

「ッ・・・・なんであたいが・・」
「な に か 言ったか?」
「いや・・
 ついて来い一九」
「は、はい」

・・・・・!?
な・なんだこの場所・・いや空間は。
東京ドームほどの広さの限りなく白に近い空間がそこには広がっていた。

「ふふふ驚いたかい」
「なんなんですかここ・・・こんな場所なかったですよね?」
「この場所は白秋の能力『空間布石』による異質空間、ここだったらなにやっても大丈夫、外部空間には干渉しない」
「へぇーじゃあ僕もこんな能力が・・」
「自惚れないで」
「へッ?」
「この能力は白秋が15年かけてやっと完成させた能力よ、
 完成って言っても2時間程度しか持たないけどね」
「はぁ・・・」

ところで僕は今からどうやってその「能力」とやらを発現させるんだ?
というか今現実世界は何時なんだ?
頭ん中がごちゃごちゃになってきた。

「とりあえず怒って」
「は?」
「精神状態を極限まで高めれば自然と能力は発現するわ、さぁ怒って」

意味が分からない、どうすればいいんだ。
いきなり怒れって言われても怒る要素は1ミクロンもないんだけど。

「早く」
「あの・・いきなり怒れって言われても・・」
「そう・・・じゃあどうしようかな・・」

・・・軽く沈黙が流れる。

「あッあいつがいたわ、ちょっと待ってて」
と言い残し紀伊は姿を消した。
この空間からどうやって出るんだろう、後で教えてもらおう。

・・・20分経過

こんなんで1時間以内とか本当に大丈夫なの?
そういう不安要素を残しながらも、時間は過ぎていく。

・・・40分経過

なんなんだよあの女、もしかして僕見捨てられた?


そして残るところ10分。
はぁ・・もうどうでもいっか。僕のせいじゃないし。


「手前が一九とかいう奴か」

忽然と姿を現わしたその男、見るからに怪しい。
まるでチャイニーズマフィアのような成りだ。

「あなたは・・誰ですか?」
「おっと失礼、拙者の名は『榊政宗』
 手前に怒りをもたらしに来た」
何が拙者だよ、この忍者かぶれが。

「あ、そうなんですか?で、どうするんですか」
さり気なく聞く。
「今から拙者の『能力』を使う、じっとしていろ」

え?
今なんつった?
俺に能力使うの?What are you doing now?

「ちょちょちょっと待・・・」

・・・・・!?
目の前には、見覚えのある男の姿。
その手には妹の写真。
くそッなんで今さらこんな映像が・・
その男は写真に手をかける。

やめろ。

やめろやめろやめろやめろやめろ。

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
やめろォー!!!!!!

一瞬目の前に眩い光が見えた。
僕の意識は遠のいていく、気がした。

・・・・・・

「ほう、それが手前のこちらでの本当の面構えか、いい顔をしとる」
政宗の瞳には間違いなく一九が映っていた。
しかしそれは一九であり一九ではなかった。

髪はまるで錆びついた鉄のような赤茶色、
そして何より目を惹いたのが目の色が右は濁った紅、左が澄み切った白な事である。

「お前か、俺の妹の写真を破ったのは」
「ん?何をいっとる」
「俺の質問に答えろ」
「俺だったらどうする」

その瞬間、その瞬間であった。
政宗の頭がまるで地面に貼りつくようにして動けなくなってしまった。

「なら・・殺すだけだ、じゃあな」

その時であった。

――布石終了――

世界は再び元の通りに戻っていく。

「?」
「見事に能力を発現させたようだな一九」
と白秋。
「危なかった・・危うくこいつに殺られる所であった」
「ふふふ悪かったな1時間は1時間だ」
「あの・・僕は何を・・・」
「お前は自分の能力でこの男を殺しかけたのだよ」
「え?そんな悪い冗談を・・」
「本当だ、手前の能力、見事であった」
「え?僕の能力って・・」
「一九、お前の能力は『重力操作』だ」
「重力・・・操作?自分で使った記憶が無いんですけど・・」


「まったくこいつは・・」


あとがき
なんかgdgdな感じで弐話終了です><;
反省はしてる、しかし後悔はしていない。


次回「第参話 人格」


5, 4

夏目・ミッチェル・佐間乃介 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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