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建墓記念の夜に【20/4/8】

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あなたの住む街を見渡せる
少しだけ小高い丘の上に
何とも小さい石ころをひとつ置きました

ここがきっと私のお墓です

春はタンポポに包まれる
少しだけ穏やかないい場所でしょう

あなたもキッと気に入るでしょう

街の光がまぶしくて 星の数さえ分かりませんが
流れ行く時間の中で それでも安らかに眠るのでしょう

悲しくはあってもあまり言葉にはしません

その悲しみの何かひとつでさえ
一体誰がすくい取っていただけるのでしょうか

ただ静かに背中を丸め
唯一にすくい取ってくれたあなたと居るだけでいいのです

幾時代かが過ぎ去り それでも流れ吹く雪の中には
何とも小さい石ころが未だありました

もう誰も知る事はないでしょう

かつてそこに居た一人の人の事など
小さくとも儚くとも確かな人生なのに・・・

過ぎ行く時間の流れなど
もう誰も興味はなく
毎日はただ流浪の如く過ぎて行き
それでも安らかに眠るのでしょう

悲しみがありました

いくつかも大きな

感情はただただそこにあるだけで

だからと言って誰かが泣いてくれるわけじゃあありません

ただ静かに背中を丸め
唯一にすくい取ってくれたあなたが居ただけでいいのです

建墓記念の夜に
ただただ膨らむ妄想をひたすらにつなぎとめ

静かに目をつむると・・・

もう二度とその目が開く事はなかったのです

おやすみなさいと呟いたとしても
誰の耳に届くわけでもありませんでした
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