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まとめて読む

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これは現実なのかな
こんなに醜いんだ、空想であってたまるか

掴もうと思えば手からすり抜け、それに包まれている間は周囲が全く見えなくなる
それでも息を吹けば簡単に飛んでいく
幸福とは煙のようだ

乾いたパンと飛び交う罵声、叩きつけられた希望の残骸。
ここが居場所だと信じているのは阿保か僕だけだと知っている。

僕の心に火を点けたまま勝手に消えないでくれ。
どうせ消えるなら燃やし尽くしてくれないと、この火傷をどうすればいいのか分からないでは無いか。
そう呟いた君は鏡の奥へと消えていく。
その先は果てしない理想郷への旅路さ。

足元の赤い線を辿ると酷く歪んだ道化師がそこに立っていた。
何故そんな顔を、と尋ねても呆けたよな声でさあ、と返すのみである。
仕方がないので足元の青い線を辿ると美しい身なりの物乞いが座り込んでいた。
何故あなたが物乞いを、と尋ねるも先程と同じくさあ、という返事しか返ってこない。
幾分腹立たしくなりながらも足元の黄色い線を辿ると僕が倒れていた。
何故僕が倒れているのか、と尋ねると彼の口から灰が流れて来た。そうか、僕はここで。

手元にある一遍の詩集に目を落としていると、僕の目の前に立った茜色の靄が語りかけてくる。
虚構と虚像に塗れた言葉に意味などない。
賢者の真似をした愚者は滑稽だ。
しかもその賢者こそが最低の愚者であると気づかない奴はな、と。
何も言い返せずに俯くと、いつしかその詩集は君の亡骸に変わっていた。

感情は口に出した瞬間に嘘に成り果てると思っていましたが、よく見ると僕の中の感情は水水さを失い、道端に落ちている鳥の死骸の様になっていました。
後悔したので今度はちゃんと感情を口にだしてみたら、それは泡の様に消え、僕の唇を濡らしたに過ぎませんでした。
感情を抱くのが間違いだと思い、こころを殺して生きています。
自殺したKが他人の様には思えないのです。
いつだって嘘をついています。
晴れた日も、雨の昼も、あらしのよるも、君が飛び降りた日も。
いつも無口な僕も嘘をつく時だけは饒舌になるのです。
僕の口から淀みなく出てくる言葉ほど淀んでいる物はないのだと臙脂色の煙が僕の首を絞めるのです。

枯れた花から一筋の露が流れ落ちた。
鮮やかに咲き誇っていたあの頃の様にどこまでも澄んだ露が流れ落ちた。
それを手で掬った途端に濁り切ってしまった。
澄んでいたのが幻想なのか、僕が汚れているだけなのか、それを知るのは頭上を飛び回る鳶だけだ。

空の果てには小さな扉があった。
震える手に力を込めてそれを押すと小さくキイ、と音を立てて開いた。
何があるのかと恐る恐る覗くと今まで僕が見てきた風景が広がっていた。
僕はいつまでここに囚われているのだろうか。いや、囚われているんじゃない、好きでここにいるだけなのだ。

歯車と小さな窓
君を殺したのは多分空の青さだ

夢を追っています
夢を叶えた君の前でビールを呷りながらそう呟いた
食べかけた米だけがその言葉に頷いた

一面の青い空とどこまでも続く赤信号。
絡まる電線と等間隔の電柱。
これが青春だった。

追いかけられた魚は群衆の中へ
破られた約束と水面にキスをした
2, 1

  

一輪のスミレを拾った。
壁に飾ると部屋が華やいだ。
一箱のアメスピを拾った。
火を点けるとそれがくすんだ。
一羽の烏を拾った。
籠に入れると退屈そうに窓を眺めた。
一抹の希望を持ってしまった。
もう夜だった。

ねえ、四つ葉は見つかったかい
ええ、あなたの足元で

茨の道とはよく言ったものだ
自分が傷つけていないとでも

君だった泥水を掬い上げようとしましたが、
酷く透明な上澄みしか掬えませんでした。
初めから無理だったんだね、君の全てなんて。

観覧車を背に君は踊る。
錆びついた遊具の音に乗せながら。
照明の当たらない舞台こそが僕らの墓標だ。

いかがお過ごしでしょうか。
まだモッキンバードのベースは使っていますか。
まだサントリーのウイスキーばかり飲んでいますか。
もう時計は動きませんか。
僕はそろそろあなたになります。

春を空にぶち撒けたような日、滴り落ちてくる桜に目を奪われた。
塗り残された雲はそのままにしておいてくれ。
街を冬で染めるまで。
「天下の麻薬犬様がそんな物吸ってていいのかよ。」
 煙で靄がかかった部屋に突然飛び込んできた彼は白々しい顔で笑いかけてきた。黄ばんだ壁の前だと彼の青い毛並みが良く映える。
「天下の麻薬犬様だからこそだよ。この程度で鈍るような鼻じゃないさ。」
彼はそうかと呟くと手に持っていた一升瓶を床にコツと置いた。テラテラと輝くその瓶は琥珀色の液体で満たされていた。
「またブランデーかい。」
「電気ブランさ。お前も聞いたことぐらいはあるだろう。」
「ああ、そういえば。訓練所時代に読んだ森見登美彦の小説の中でね。」
 フィルターに差し掛かりそうな火を消しながらそう答えた。無機質な蛍光灯が僕らを照らしてはいたが、僅かな火が消えただけで途端に明度が落ちたような気がする。
それを退屈そうに見ていた彼は前足と口を使い器用に蓋を開けると、プラスチックでできたコップに器用に注ぎ始めた。コップを埋めていくその液体は僕を見透かしたようであり、彼の心を映すようだった。
「それで、どうしたんだい。僕にこれを自慢するためだけに来た訳じゃないんだろう」
 彼は黒い鼻と醜く尖った牙を電気ブランで濡らすと静かに切り出した。
「自分の夢を誰かが叶えているとどうしようもない感情になる事ないか。俺はあるんだ。どうしようも無い程に。MVを見ている時、映画を見ている時。そしてお前を見ている時だ。」
 時間と空気の粘度が酷く高まる。何かを言おうと口を開こうにも、ヤニのよう粘着質なこの空気が口を押える。胸の中に煙を固めて押し込まれた様な気がしたが、僕はそれらを一切無視して二本目に火を点けた。牙を抜かれ、国家の犬となった僕が羨ましいのか。僕は飼い犬の手だって噛み千切るお前が羨ましいよ。
 水に垂らしたインクのように広がる煙は僕らの本音も建前もすべて飲み込むと、小さな窓から宵闇へと旅立った。
4, 3

  

『死んだあとでまた会おう』
震える唇でそう呟いた君は向こう側へ消えた。
『俺たちは何かで繋がっているさ』
そう大声で叫んだ君は手首を切った。
僕らは一人だね。
あなただけが残った。

生きて居たいよ
祈る星が落ちていったなら
死んでほしいと月が語りかけても
願え!願え!願え!
沈む日は僕が決める

どの扉を開いてもそには既に人で溢れていて席を置く余裕なんて無い。
かと言ってこのまま突っ立っていたら凍えてしまうのでなるべく小さな建物に入ると、僕のせいで誰かが押し出された様だ。
肩に積もる雪を払う暇はない。
安寧の地なんてものはない。
僕には余裕がない。

風に吹かれて一枚の広告が飛んで来た。
どこにもない幸せを描いていた。
風が吹いた。
体が宙を舞った。

一世紀、百年、三万六千五百二十五日
歩幅は変わらない
背丈だけが変わった

蛍光色で着飾り身を隠した
午前九時のスクランブル交差点に
どうか見つかりませんように
誰かの目に留まりますように

青に憧れがあります。
白と緑と窮屈さに囲まれたこの場所では、見上げなければ見つからない色に。
限りなく透明に近い青に憧れています。
ゴミ箱に捨てようとした魚の頭がじっと見つめてきた。
駅を賑やかすポスターが微笑みかけてきた。
テレビのタレントが大口開けて笑っていた。
僕は何をしていた?

雪に浮かぶ兎に名前をあげたいね。
夜でも必死な星に賞状をあげたいね。
海に揺蕩う亡骸には何をあげようか。
「何もあげなくていいよ。唯のゴミだもの」

ありがとうね
忘れてくれて

夜の海は不思議な感じがします
僕と君と彼以外には誰もいないからでしょうか
浮浪者のような老人が釣り竿を引っ提げ、海から釣り上げたような自転車に乗っていました。
遠くでは大学生の団体が青春を謳歌していました。
僕らの釣り竿には諦めたようなアナゴがかかっただけでした。

白球が宙を舞うことも無く。
夏祭りでもめる男女を見ることも無く。
観客が3人しかいないライブハウスで演奏する事も無く。
僕が明日を生きることも無かった。

お前の人生なんて古本の1頁よりも薄っぺらいよ。
お前の背骨よりも傘の骨の方が頑丈さ。
ユーモアたっぷりに僕を詰ったあいつは中古のギターよりも薄い体になっていた。

煙草とアルコールと音楽
これが無ければ生きていけない
「下らないポスターだね」
「君もね」
6, 5

  

1年ってあっという間ですね。
温かいコメントをいただき至極恐悦です。
もう詩を書くこともなくなったので完結です。
ありがとうございました。
7

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