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5月11日

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ゴッホの悲しむ老人を観た。
彼に、
「こう行動すれば前向きになれるよ」
「こう考えたら悩みは減るよ」
なんて言う人がいるだろうか。

彼の心理をカウンセラーする人はいない。
問答は無用だった。正解は必要なかった。
ただ、言葉もない孤独が切り取られていた。

同情なんて要らない。
その絵は芸術の妙。
「生きていると良いことがある」
嘘を吐く 明るい詐欺師

「本当は死にたいんです」
陰気な正直者

太陽 月 夏 冬

日光を浴びなければ
死んでしまう生物

日光を浴びると
死んでしまう生物

餓死寸前の子供に
太った満腹の大人が
「盗みは良くない」

パンを盗んだことに
道徳を教え、説教をして
頬を殴る

「素直になれ」と
頬を殴る

「お前の為に怒っている」と
空腹の腹を蹴る
140, 139

  

眠るイエネコの裏で、衰弱する野良猫。
芽の出ない花。咲き誇る花。
それを羨み、枯れていく新芽。

「ガキなんてセックスすれば出来る副産物。
 相手にするだけで、退屈する」

放任という虐待をする、見た目だけが大人の、子供。
見た目が威圧的だから、小柄な子供は逆らえない。

俺は私怨を綴っていると思うだろう。
これは喧嘩を売っているんだ。
咲き誇った、偉そうな桜に、
咲かない花の無念をぶつけている。

1人の成功者の裏に、1000人の敗北者。
だって母数で言えば、負けた人間の方が多いんだから、
普遍性はそちらにあるだろう。

世界は芽の出ない花。
ほんの一握りを除いて。

誰かの奴隷で、誰かの支配下にいる。
無念を抱きながら。

その復讐の先導に立ちたい。

刃物より切れる鋭い言葉を探す。
街中で破裂するなんて、ワイドショーの暇つぶし、
規模が小さくて、退屈じゃないか。

殺す程度で消化される憎悪なら、
精神病なんかにならないだろうが。

彼女の声なんかとっくに忘れた。

俺は私怨を綴っていると思うだろう。
これは喧嘩を売っているんだ。
1の失敗を恥じて

逃げた先に

100の悪意の落とし穴


分岐点

この道でいいんだろうか

どの道も痛みは変わらない

根本にあるのは人間不信

どう生きても 疑心暗鬼で苦しい

一生 煙に咽せるんだろう
142, 141

  

人間不信は実体験から来るものだった。
それも、傷つけられた側ではない。
傷つけた側だったのだ。

中学時代、不登校の生徒が、奇遇にも学校に登校したのを目撃した。
頭を蹴った。机にチョークの粉をかけた。
親が離婚したばかりで、気が苛立っていた彼は、
憂さ晴らしをしたのである。

不登校の生徒は、二度と学校に来なかった。
それどころか、外出するのすら、怖くなり、
20代半ばにして、首を吊った。

その冷酷。その残忍。その冷淡。
物を知り、字を学び、自分の中にそんな心がある事を知ると、
彼は自分を酷く恐ろしく思えてきた。

被害者ではなく、加害者。

自分自身の、その冷酷に怯え、人は皆、こうなのだろうか。
自分だけが心の冷たい、腐った人間なのだろうか。
それとも人間の大半以上は、自分と同じ、心の冷たい人間なのだろうか。

どちらに転んでも、残忍が消えることはない。

そのうち彼は、人が怖くなった。
人目を避けた。俯いて歩いた。
かつて自分が虐めた様に、
虐められることに恐怖し始めた。
人の集団が、とても恐ろしくなった。

自業自得。

発芽。栄養が足りないのは、
太陽が少ないのでも、雨の多さでもなく、
自分自身が水を与えていないからだった。
自分で、蒔いた種。
芽の出ない花。芽の、出ない花。

目はやつれ、頬がこけてきた。
人は手を叩いて、「ざまあみろ」と笑った。
被害者を気取ることだけが上手くなった。
それでも心の貧相さは隠しきれず、
心のバランスを欠いていった。

自業自得。天罰。
天網恢々、祖にして漏らさず。

被害者ではなく、加害者。
自分自身の冷酷に、既に、彼は殺されていた。

誰に謝るでもなく、
誰に真摯になるでもなく、ただ逃げ続ける。

卑怯者。

利乙的に、文字を書く。
自分が裁かれることを怯えながら。
単なる下衆の、命乞いに、他ならない。

被害者ではなく、加害者。

生きていることは素晴らしいと人は歌う。
だが、生きている価値のない人間は、
本当は、存在する事を知っていた。

それは、彼自身の冷酷に根付いた、
根拠のある、現実の話だった。
人間の心はふわふわした物で、
垂直なんてこの世にない。

数分前は死にたくても、
数分後には生きていたいと思う。

それの何が悪いのか。
そのままでいい。
144, 143

  

死にたいんじゃないんだ
邪魔なあの人に
死んでほしいんだ

頭に霧がかかって
病的な猜疑心 周りは全員敵
一番の敵は くだらない自分

優しさは詐欺
一方的に押し付けられて
見返りを要求される
思考の欺瞞 
価値のない自分

「卑下しないで 
 孤独を選ばないで
 手を繋いで」

無理なんだ 死んでくれ

一人きりを選んだのは
命を長く保つ為の卑怯

他に何を選べばいい
加害者の俺が逆恨みで
憎んでいるのに
他に何を選べばいい

「純粋には愛していない
 嫌いじゃないことは 
 出会った時から
 感じていたでしょう」

無理なんだ 死んでくれ
いつの時間だ
君は誰だ
名前はなんだ
俺は誰だ

愛されないのは
価値がないから
当たり前に転んで
逃げ道を見失う

Only

「勝者は薬に頼らない」と
思想家は言う
「敗者は薬に逃げる」と
今日も逃げ道を 潰される

Only

ずっと 脳は天国
俺は天国 天国
死ぬまで 天国
146, 145

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