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7月20日(野狐禅)

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芸術を縋る彼を見ると

とても辛くなる

彼を芸術に命を捧げるまでに

誰がここまで追い込んだ 

いつも思う 

傑作は遺書だ
晴れてるサッカー場

チームメイトが病気になったら

自分の出番が増える 喜べと

体罰教師が 叫んでる


君は 暗がりで

助けを待ってる

君の 日常生活だ

気が狂うのは

治す為に読書をしてる


マッシュルーム 空飛んだ

散文詩が好きだ

想像を引き立てる

これはルーシースカイウィズダイヤモンド

これはイエローサブマリン


同性愛者 共和国

好きならそれでいいじゃん

生活苦で 首を吊る人間は

戦争で亡くなった数より多い


童心を覚えてるかい

自由を愛したい

晴れたサッカー場

常識は18歳までに植え付けられた

差別と軽蔑のことだよ


全てを疑って 遂に全てを捨てた 

綺麗な空には 憧れだけが 浮かんでる

恋焦がれてる
165, 164

  

悲しいくらい お人形遊び
自分の世界の中で
言葉を交わしたふりをして
誰とも繋がっていない

僕の言葉に誠実なんて感じない
僕の心に正直なんて感じない

悲しいくらい エゴイスト
自分の妄想の中で
何かをメッセージに変える
都合の良い希望に浸る為に

僕の言葉に生活感なんて感じない
僕の心に正解なんて感じない

どこかで 自分の事を
何かの犠牲者だと
勘違いしていたんだろう

その正体は 誰の事も思わない
被害者どころか 加害者ですらない 
虫以下 卑怯者 宇宙の塵

酔わせるつもりだった

僕の言葉に絶望なんて感じない
僕の心に希望なんて感じない

僕の気持ちに反省なんて感じない
僕の行いに誠実なんて感じない
道を逸れて 地面に倒れ込む
野草を食べて 川の水を飲む
ある程度の人を愛してる
ある程度の人を消えろと憎んでる

地中の虫の這いずりは
綺麗な音楽を生んでいる
クラシック音楽を好きと言ってれば
悦に浸れる時代も終わった 好都合

生きている事は幸せだと
確信を持って言いたいのに
たまにさっさと死にたくなるのは
一体どうしてなんだろう

星なんか興味ない
彼女にちょっと夢見てるぐらい
好きになってる
焦燥感と罪悪感と陶酔感の文学

生きていくには これだけで
充分すぎるくらいの栄養だよ

いいから 野犬を探せ
とりあえず野犬を探せ
数年前に見た野犬はどこだ
畜生談を読んだから
夏用のシャンプーも用意した

たまにさっさと死にたくなるのに
生きているのは素晴らしいと言えと
強迫観念に怒鳴られて襲われる

そんな時間を生きていけるのは
全然普通
167, 166

  

空の色は消えた
優しさも消えた
迷いを捨てたのか

昔 天才だったのは
俺の痛い勘違いなのか
俺が潰されてしまったんだろうか

スマホを眺めていた
頭が真っ白になった
錠剤を飲んだら
どうでもよくなった

感傷の風景画 失ったのか
目に見える全てが 悲しかった
感傷の風景画 燃え尽きたのか
目に見える全てが 疑問を投げかけた
なのに

彼女の優しさを
ぼんやり 思い出す
漠然と 陶酔しながら

確か あの娘が
手首を切るまで
追い詰めたのは
善人を気取ってる
俺自身だよな

感傷の風景画 焼け付いていたのに
目に見える全てが 虚しかった
なのに

特別に憧れていたのか
馬鹿な勘違いなのか
世界は平等に 全ての人は
取るに足らないゴミなのか
全ての人が 特別なのかも知れない
俺だけが取るに足らないゴミかも知れない

感傷の風景画 消え失せたのか
自己陶酔と一緒に
どこにも辿り着けない線路を
何も疑わずに 
罪悪感だけで歩いていた
なのに
世界の終わりを
漠然と望んで
微笑っていたガキが

世界は 本当に
終わっていたと知って
蘇ってくれ
そう叫ぶ人間になった

本当に終わったのは
俺自身で
他の人の世界は 
終わっていない

「自分を卑下して
 何の言い訳が欲しい」

屁理屈を捏ねるなら
地面がないと 建築はできない
人間にも一番下のクズが必要だ
その地面になるんだ

「文字通りの屁理屈だね」

綺麗に泣いて 布団に潜る
そんな真似もしない

明けない夜はない なんて
綺麗事を吐きながら
痙攣もない 静かな夜

それを綺麗だと 
汚いツラで思いながら
漠然と時間を無駄にする
169, 168

  

ゴミを見る目に
気が狂いそうな
羞恥心と自己否定の深夜

人間以下の方法で
人間扱いされてきた
過去の栄光に縋る

ブランケット 引きちぎる
踊ってる 見世物小屋
奇妙な耐え方に嘲笑う

壁に瞳孔の開いた
無数の目があるのは
誰かの監視じゃない
醜い自意識過剰

動物扱いされたら
不満だと喚いて
動物扱いじゃなくても
不満だと喚いてる

結局 全部気に入らない
自分自身の器量の不足

「死んだ方がいい人間って
 本当はいるんだよね
 皆は言わないけど
 何を怯えてるんだろうね」

誰に遠回しに言ってんの

ブランケット 引きちぎる
踊ってる 見世物小屋
奇妙な耐え方に嘲笑う
「お前の為にやってんだよ」
殴打 8針

「お前みたいな奴は消えたらいい」
恐怖 病院

もういいってば

「今まで心配して、色々やったけど
 もう手遅れだよ 
 生まれてくるべきじゃなかったよ
 お前は」

もういいってば
 
「他人の顔色を伺う
 卑怯者のコウモリ人間だね」

顔色を伺わないと
人間は殴ってくるだろう

「お前の為を思っている
 殴る方も心が痛いんだよ」

薄ら笑いを浮かべて
悦楽的な暴力に人間は酔う 

「つまんない人生、お疲れ様」

ひたすら謝れ 

「お前の母親に入ってたローターだよ」

ひたすら愛想を良くしろ
とにかく大袈裟に笑え

「何年前の話引きずってんの
 お前はオカマかよ」

ひたすら謝れ

精神病院のテレビで
加藤智大を見た

もういいってば
171, 170

  

昨日に縛られずに
息を吸えばいい
明日に夢を見ないで
息を吐けばいい

空洞になればいい
透明になればいい

びっくりするくらい
実態のある事なんてなかった

文字も記号も全部
ふわふわと浮いている
空っぽのまま

誰かには優しくて
誰かには冷たい
そんな生活をすればいい

天気予報は
どうでもいい

どっちに転んでも
実態はないのさ
火を触らなければ
火傷はしないから
記憶を失えばいい

そうやって
自分の名前も忘れて
透明になっていく

なんだか理想のある世界

幸せなんか要らない
生きていく上で必要ない
自分の心を忘れて
自分の気持ちを忘れて
自分の全てを忘れて

綺麗な透明
ほら できたでしょう
173, 172

  

その真っ白 魔法
その真っ白 魔法

祝福を受けて
いつでも 
物をよろしく

その透明 綺麗
その透明 綺麗

繋がって とても静か
その透明 言葉はない

欠伸をするとき
静かな多幸感

子供に戻る
その透明
体から魂が抜ける
混ざって 一つになる

意識は遠ざかり
あなたも綺麗に
透明になる

そのぼんやりが全て
綺麗に何もない 
透明な空
苦痛に耐えられず
彼は自分を忘れた
記憶喪失になった

その透明を
悟りの境地と
喝采している

実態がない
くだらない
175, 174

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