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話 桐生恭介 (1)

 無数に折り重なった死体の山の上で、自動小銃の安全装置をフルオートに切り替えて、自らの口に銃口を突っ込む、そして足で引き金を絞る。
 そんな夢で目を覚ます、自らの頭を吹き飛ばす夢。


目覚めた瞬間笑いが止まらなかった



 そのまま起き上がり、細身だが獲物を狙う野獣のような逞しく発達した筋肉に包まれた裸身をさらす、それは傷だらけだった、火傷の跡もあれば刃物で切られたな傷もあり銃で撃ち抜かれたような傷もある、普通の人間なら生きている間に、これだけの傷を負うことは無いだろう、それだけの傷跡を負っているのだ。
 
こんな夢を見て心地よくなるなんてと、自嘲しながら鏡を見る

その顔は丹精に整っているが額からナイフで袈裟切りにされたような跡がありそれがまた、彼自身の雄としての魅力を急激に引き立てている。

陰鬱な気分ごとシャワーで洗い流す

そのまま酷い寝癖頭をヘアワックスで整える。

ズボンと革ジャンに着替えwilyxのサングラスをつけて財布をズボンの後ろポケットに突っ込んだ後、部屋を後にする。

 そのまま牛丼屋に立ち寄り、大盛りの牛丼2杯分に納豆と生卵とキムチととろろを混ぜてぶっ掛けたものを、一気にかき込んだ後、自販機で買ったヒータが壊れているのか、火傷しそうなほど熱くなったブラックコーヒーを一気飲みし眠気を吹き飛ばす。


この久々の休日をどう使うか桐生恭介は迷っていた。



桐生恭介24歳は陸上自衛隊に存在する裏の特殊部隊、通称カルマ機関に所属する兵士だ。

何故裏であるか簡単に説明すると、陸上自衛隊には特殊作戦群という部隊がある、対テロ対ゲリラ戦や用心警護などを専門とした特殊部隊だが、カルマは海外での破壊工作、誘拐、暗殺、報復行動など、日本の法律上表ざたに出来ない任務や、日本の国益に関する秘密作戦を行う部隊だ。

選抜基準に関して説明すると特殊作戦群は自衛隊内の陸曹以上のレンジャーや空挺隊員から志願者もしくはスカウトするのに対し、カルマは身寄りの無い子供達やそれぞれの理由で、スカウトして来た人物たちを尋常で無いほどの訓練で鍛え上げて、生き残った者達や百戦錬磨の傭兵達がメインで構成される。

最初は基本教練から始まり、武器の使い方、戦闘訓練、などのカリキュラムをすべて終えると死刑囚を使った殺人技術の訓練だ、無論死刑囚とは命がけで戦うので命を落とすものもいる、そしてその中で生き残ったものを戦わせ最後に生き残った者達をカルマの隊員とするのだ。

ほかにも特殊作戦軍から抜擢された者たちもいる。

幼くして全てを失い、生ける屍になっていた桐生を育て上げたのはこの組織だ

桐生がこれまで殺してきた人間は200人は優に超えているだろう。

今まで殺してきた人間たちが夢の中で自分を責める、そんなことににも慣れきっているどころか、心地よく思えるほど桐生の心は荒みきっていた。


それは自分が地獄に落ちることを暗示しているようでもあった。

「アパートでエロゲーでもやるか」

 唐突かつ、無性に秋葉に行きたくなった桐生は自分の借りているアパートのひとつがある秋葉原へ向かった

この秋葉原という土地は電気街、オタク街などといわれているが、刃物や暗器などの商品も多く取り扱われていて、装備には事欠かない。

そ の上桐生の隠れた趣味である同人誌や漫画やゲームアニメ関係のグッズ集めにも事欠かない。

 どんな趣味でも金は掛かるものだが、桐生の趣味に掛ける金は凄まじく、1月に50万を超えるほどであるが、その金の大半は給料に上乗せされた危険手当によるものだ。

 池袋から電車で揺られること20分秋葉原への到着を告げる車内アナウンスが鳴り響く、ホームに下りると秋葉原独特のオーラが桐生を包んでいく、そのまま階段を下りて昭和通り口に向かうとアニメの宣伝ポスターや大規模なホビー専門の広告がいたるところに並んでいる。
そのまま改札口を出て右に曲がり中央通りのガード下の方へ出ると近くにはそのまま右の向かうと大規模な同人ショップの本店が在る。

 桐生はそこに入りお気に入りのサークルの同人誌やゲームや表紙を見て気に入った同人誌を大量に買い込むと次の同人ショップへ向かいまた買い込む事を数回繰り返す

  ゲームセンターのミリタリー系のシューティングゲームで凄まじいほどの好スコアをたたき出し、周りから羨望の視線を浴びた後、人気のラーメン屋である九州じゃんがらに向かい思い切りニンニクをぶち込んだ全部入りの九州じゃんがらと肉そぼろご飯を腹にかき込む、ここのラーメンはコシのある麺とスープがマッチしていて実に旨い、アクセントに加えた辛子高菜もまた格別だ。

そしてPC関係のショップで最新のパーツを見て回るショップブランドのPCは高性能で見ていてとても面白いもので普通のPCではお目に掛かれないような高画質の映像を見ることが出来る。

そこでも最新のグラフィックカードやCPUや大容量のハードディスクドライブを買い込んだ

さらにその後は秋葉原でしかお目にかかれないような雑貨屋に向かう。

 そこにはいろいろな工具やらナイフ、護身用品と称した暗器が売られている、桐生はそこでレザーマンのナイフを三種類とそれに対応した工具と、見かけは普通のベルトと変わらないが、中に長さ30センチほどのワイヤー製の鞭が仕込まれているサンダーベルトと暴徒鎮圧
用の手の甲に砂鉄の入ったタクティカルグローブと米製の肉厚で刃渡り20cmのミリタリーナイフを買った

ついでラジオ会館モールス信号用の電鍵を購入した、これは部隊の秘匿通信を独自のモールス信号で行うためだ。

すべての買い物を終えた桐生は万世橋を越えたところにある外神田のアパートへと向かっていった。


桐生の借りているこのアパートは風呂トイレ共用の6畳一間のアパートだ
この部屋には馬鹿でかいPCと大量の同人誌が大量においてある

アパートに着くとまず買ってきた同人誌をサークルとジャンルごとに分けていった。

その後はPCに電鍵と新しく買ったパーツを組み込んだ後で冷蔵庫の中にある真空パックに入った大量の豚足を大鍋で茹で、煮立ってきたら韓国料理店で買ってきた大量のキムチとキノコと魚介類と骨付き肉を1キロほどをさらにぶち込む。

象印の高級炊飯器で四合ほどの飯を炊きつつ鍋の具材が煮え上がるのを待つ。

1時間ほどして飯が炊きあがる飯を2号ほど丼に入れた後、特製のキムチ鍋から煮えたぎるような汁と旨そうな具材を丼に入れてそれをぺろりと平らげた、さらに2合の飯を平らげつつ骨付き肉を手づかみで食べる。


30分ほどで鍋も飯も平らげる、190センチを超える長身だが80キロほどしかない細身の桐生の食欲は体格にしては異常といえたが、
それだけ食っても太ることがない、寧ろ桐生の鋼の肉体を維持するにはそれだけの食事が必要だった。

飯を食い終わるとお待ちかねの読書タイムだ買ってきた同人誌を開く、桐生はその作品のいろいろな解釈がみれる同人誌が大好きだった。

2時間ほど読書にふけっていると、少し眠くなったので軽く眠ることにした、夕方だがゆっくり眠れるだろう。
(2)

 深夜3時頃に目を覚ました桐生は、留守電のランプが点灯しているのに気がついた受話器を取ってメッセージを聞くと意味不明の音楽が流れてくる、これはカルマでの通信に使われる暗号でメロディに意味が込められている。

その内容は破壊工作を意味するもので、中国人の武器商人が北朝鮮の工作員らしき連中と武器の取引を行うからそれを阻止せよというものだった。

場所は新宿の雑居ビルでその情報は中国マフィアと対立する、暴力団員からのたれ込みで信憑性は十分だった
もちろん裏付けはとっている。

 カルマは大手の暴力団員と繋がりがあるのは、簡単に言えば国益を損なう外国人犯罪組織の情報を得るためには、国内の犯罪組織から聞き出すのがちょうどいい、ガセなら抗争に見せかけて皆殺しにすればいいという、桜の連中の意向もあるし、暴力団としても敵対組織を手を汚さずにつぶせるのでメリットは十分にあった。

 桐生は罵りながらも身支度を始める、手首に小型のナイフを仕込むそのナイフは細身ですぐに抜き取れるようになっている、ついでズボンのベルトをサンダーベルトに取り替えておく、このベルトには30センチほどのワイヤー製の鞭が仕込まれており非常時には素早く抜き取れるようになっている、次いで手袋は暴徒鎮圧用の砂鉄入りの手袋にする、その威力は格闘技に精通するものなら頭蓋骨を簡単に砕くことが可能だ、最後にパチンコ玉サイズの魚釣り用の錘が100発ほど入ったズックと超強力パチンコのスリングショットを取り出した。

そのパチンコの名称はリストロケットプロと呼ばれる強化プラスチック製のフレームで作られたもので非常に4本ゴムを使うタイプの非常に強力なもので、その殺傷力は15メーター以内なら恐らく小口径の拳銃に匹敵するだろう、鉛玉を使うのは跳ね返りを防ぐためだ。

 アパートの駐輪場に止めておいた中型のバイクで新宿のビル街へとすすんで行く、目的の雑居ビルはビル街から少し離れた場所にあった

 ビルの周りは中国人っぽい連中が何か雑談を交わしている恐らく見張りか何かだろう、桐生は裏口に回ると、見張りから死角になるエリアを探してそこで片膝をついたズックからリストロケットを取り出して玉受けに鉛玉をのせて左腕でゴムを思い切り引っ張るとそのまま頭に狙いをつけて手を軽く離すと鉛玉が男の側頭部に吸い込まれていった、比較的骨の薄い側頭部に命中した鉛玉は頭蓋骨を陥没させて、男の脳を破壊した。

 事切れた男が派手に倒れた直後次いで二発目の鉛玉がもう一人の頭蓋骨を陥没させる桐生は、二人の男に近づくと慣れた手つきで延髄をナイフで切断してとどめを刺した。 動脈は避けているのでほとんど出血はしない、桐生は死体から鍵を取り出すとそのまま裏口から入る、その直後交代に来たのであろう男と出くわした、3メータはある距離を一蹴りで縮め、右足で男の股間を蹴り潰し素早く左の手刀でをフルスイングしてがら空きになった首を叩き折った。

死体はそのままにして桐生は地下室への入り口を探す、仮に見つかっても皆殺しにすればいい、こういった場所で取引をする場合は目立たない場所でと相場は決まっている。

 ドアを調べていくうちに一カ所だけカードキーによりロックされた部屋があった、桐生はカードリーダーを調べ自らの自らのカードケースから一枚のカードを取り出しカードリーダーに差し込むとロックが外れた、この部隊の人間は大抵の鍵に対応するマスターキーセットを持っているのだ、たとえば車であれば9割方のロックは外すことができる。

ここのカードリーダーもメーカーによる特注では無かったために持ち前のキーセットで開けることができた。

 異変に気づいた中国人の一人がM3ショットガンをもってこちらに近づいてきた。桐生は物陰に隠れて男が手が届く距離に近づいた瞬間左手で男の顔面を思い切り殴りつけた直後、右手でベルトからワイヤー鞭を素早く抜き出して男の顔面をズタズタにした、砂鉄入りのグローブで殴られ顔面を陥没骨折したあげく、ワイヤー鞭で顔面をズタズタにされた男は哀れなうめき声を上げている、桐生はM3ショットガンを拾い上げて銃床で後頭部をスイカ割りの要領で思い切り殴りつけて、永遠に静かにさせた、当分スイカは食べたくない。

男のポケットから25発入りの散弾ケースを4つ取り出すと扉を開けて地下室への階段を下りて取引の場所へと向かった

 一番下まで下りると部屋は一つだけらしくその中でいくつかの武器に関する単語が聞こえたが、そんなものはどうでもいい、桐生はM3ショットガンをセミオートに切り替えた後、右手で腰だめにして左手でドアノブに手をかけゆっくりとドアを開けた刹那M3ショットガンが5回火を噴き中に居る男たちをズタズタに引き裂いていく、桐生はショットガンの実包を詰め直しながら、血と臓物でメチャクチャになった部屋の中に入り、中国人のボスらしき男に近づいていった、運がよかったのか左手をもぎ取られただけで済んでいる、出血と痛みによるショックのために失神していた

男の頬を引っぱたくがいまいち反応が無い、桐生は男の睾丸にナイフを突き立てるとすさまじい悲鳴を上げて中国人は飛び起きた。

「た、助けてくれ・・・救急車を呼んでくれ」

「呼んで欲しければ俺の質問に答えろ、でなきゃ楽には死なせない。」

「こ、こたえるから助けて・・・くれ」

「じゃあ、今お前らが売ろうとしていた武器の取引相手は?」

「これは・・・・・・」

出血の為に意識が遠のいていく男の傷口をを思い切り踏みつけて覚醒させる。

「俺は綺麗好きなんだよ、これ以上返り血で服を汚したくないんだ。」

「き!北朝鮮の連中だ!」

部隊の予想通りだった、過去にも阪神大震災時のがれきの山の中から北朝鮮製、もしくは中国製と思われる銃器や迫撃砲弾が発見されたという話はアングラ界隈では有名な話だ。

噂によれば、3000人近い北朝鮮の特殊部隊員が日本で一般市民に紛れ込んでいるという話もある。

テロを起こされればひとたまりもない、これは余談だが韓国内での北朝鮮工作員の捕獲作戦では僅か9人をとらえるために25万の韓国軍を導入したという。

こういったテロを防ぐには、結果として未然に防ぐしかないのだ。

泣きながらかすれた声で男は叫ぶ

「慌てるな、最後に武器の隠し場所は?」

「奥の・・・鉄扉・・・だ鉄扉の鍵はポケットの中だ。」

部屋の奥に確かに鉄扉があるのがわかった、男の心臓をナイフで刺してトドメを刺した。

「火葬はしっかりとやってやるよ」

鉄扉の鍵を開けて武器庫の中に入ると、中国製のAK47突撃銃のコピーや7.62mm小銃弾が納められた箱がゴロゴロしている

おまけにRPGや軽迫撃砲、m37グレネードランチャーが数丁あった

「これだけあれば小国でなら革命が起こせるな」

物色するうちに欲しいものが幾つかあったが警察に捕まったらめんどくさいので諦める。処分に軽く悩んだが、かといって部隊に渡してしまうのも嫌なので、まとめて爆破することにした。

 桐生は武器庫からC4爆弾を取り出して弾薬や小銃に取り付けていく、爆弾の設置作業が終わると部屋の中にショットガンと実包を投げ捨ようとかんがえたが、異変に気づいた連中がこちらに近づいてくる気配に気づいた。

 次々と現れるM3ショットガンの連射でなぎ倒す、途中給弾不良を起こしたので、ポンプをスライドさせて排莢する襲ってきた連中を粗方なぎ倒していった桐生はショットガンをその辺に投げ捨ててビルを出てバイクにまたがって雑居ビルを離れる。

 少し離れたところでリモコンのスイッチを作動させた轟音とともにビルが吹き飛ぶ、恐らく警察は暴力団同士の抗争ということにしておいてくれるだろう。
2, 1

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